桜富士山 10月

最近ヘビーユースする最近自身の口に最もよく合うと思う南インドカレー店。地元の人以外は通らないような住吉大社近くの路地裏にあり、その店舗もまんま民家(綺麗にリノベーションされています)という希有なお店。しかしながら取材やグルメブログで有名になり連日満席で訪問するときは店名を検索すると店主のツイッターが出るのでそれで「席が空いているとき」「満席のとき」が判るようになっている。*割と便利です・・・

こちらのお店ではほとんどの商品(カレー)を過去に制覇しているのだけど今回、新商品が出たということを聞き及び喜び勇んで訪問する。この日、店主お薦めの「ホワイトカレー」。よく似たものを雑誌とかでたまに見ることもあるが実際にいただくのは初めて。

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色のつかないマサラ(インドの香辛料)を合わせて作ったものらしいけど見た目はクリームシチューのよう。食すとカレーというビックリな感じ。中身はこの日は大粒の牡蠣が2つと白い茸。インド宮廷料理のタングリーヌラサ?という料理のひとつらしい。

食べすすむとかなりスパイシーでホワイトペッパーの絡みとその香りも後から立ってくる。牛乳と生クリーム、チーズも入っているのでスパイシーだけど味はマイルド。カシューナッツの香ばしさもあってクセになりそうな感じ。パクチーもたくさん入っていて食べすすむほど美味しくなる。いくら食してもいくらでも食べれそうな感じ。

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今回はミールス(定食)にしたのでカレー以外にいろいろなものがつく。キャベツと銀杏、舞茸のアチャールは箸休めにぴったり。辛子がピリリと効いたマサラポテサラはビールが飲みたくなる感じ。マサラ鶏ハムも柔らかくて火入れも完璧。

カレーとご飯と副菜をばくばく食べて7割くらい食べすすんだら皿の上にカレーやアチャールをご飯の上にぶっかけごちゃごちゃにして食す。豆の粉で作った煎餅のパパドも砕いて一緒にかき混ぜていただく。これが何とも言えず口に合いまくる。

この間にも店主がカレーの話やインドの話など横に来てしていただく。最初から最後までおもてなし感満載であっという間に時間が経つ。カレーも美味しいし店主も優しいしお店にも癒されてここはまさに住吉の桃源郷である。

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以下店主の玉井氏(とても美しい女性です)のブログより引用

うちは
一流になりたいから
一流の店で修行して技術を得た
現地で実際に見て学んできた
血と涙を流して体得した確かなもの
自分の芯にある揺るぎない自信
まだまだ大阪にないぎょうさんの
美味しいスパイス料理がある
それを伝えるために桜富士山はある
ただのカレー屋ではなく
知らない美味しさの感動を
私にしか出来ないことを
桜富士山の料理は
スパイスカレーではありません
ちょう本格スパイス料理です
桜富士山には
基準のわからない評価も
美しく撮られた写真も
必要ありません
心地よい空間で心を解放して
美味しいごはんを食べてください
皆様のお越しを
お待ちしております
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これを見るといつも元気が出る。

大阪市住吉区住吉2-11-6
電話: 06-7181-1467


カテゴリー 住吉公園, 住吉大社, カレーライス |

又三郎 10月

約30年くらい仕事とプライベートでお世話になっている大切な方の快気祝いにずっと前から予約してやっと訪問。熟成肉のパイオニアとして常にトップランナーをひた走る此方の店は今や予約がほぼ取れない人気店。インバウンドの客も多くこの日も後ろの席に香港の有名なムービースターが来られていた。その人気の秘密は肉の仕入れから熟成まで、また食べごろを見分ける妥協のない目利き、もっと美味しく食べてもらおうという創意工夫に魂を燃やすオーナーをはじめとするスタッフにある。

この店には超繁盛飲食店の必要要素のすべてがある。最近もお店をリニューアル・リデザインされて使いやすい個室の増設や床などを張り替えてイメージ一新。常に進化し続ける此方の店は同じ飲食店経営者として羨望の眼差しを禁じ得ない。これだけ繁盛しても次の一手を常に考え、アメリカや最近はスペインバスクに肉料理の研究に行かれるオーナーマダムにいつも敬服する。

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いつものように最初は肉のプレゼンテーション。最近ご無沙汰であった高知県の土佐赤牛のリブロース熟成73日目と松坂牛の熟成45日目のモモ肉のザブトンと呼ばれる部位を本日は焼いていただけるとのこと。これだけで口の中が肉の戦闘モードになる。

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最初の前菜はブリスケという部分の薄切りをさっと焼いていただく。肩ロースの近くの肉だけど希少部位。火元から熟成香が立ち上りこれがアペリテェフとなる。食味は柔らかくてコクがあって後味もスッッキリして舌の上でジュワッと溶ける感じもある。現在黒毛和牛を始め様々な食材が値上がりしてしかも供給量も少なくなっていい肉が手に入りにくい状況が続いていると言われている。その中でオーナー自身が理想とする熟成に向くポテンシャルをもった肉を丹念に調べ上げて常に一頭買いされる。熟成に向かない部位は焼肉に使用したりランチのハンバーグやスープの材料にされたりすると聞き及ぶ。

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カリフラワーのスープに熟成肉の切れ端で作ったコンソメゼリーを浮かべ、その上にバスクでオーナー自らが買ってきたチーズのスライスが添えられる。一口含んだのち、あっと幽かな叫び声が出る。和食の出汁を思わせるような澄んで透き通った滑らかな口当たりのスープは喉にストンと垂直に落下する。コンソメの旨味と相まってチーズのコクを衣に纏い、えも言えぬ縦糸と横糸を紡ぐ一つのムスビをイメージさせる佳品となる。

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大きな木の皿に入って出てきた前菜は自家製の熟成肉の入ったソーセージとサワークラフト、皮付きの豚肉をカリカリに炭火で焼き上げたもの、熟成肉のハンバーガーはバンズも地元の有名店でレシピ指定で作っていただいているとのこと。パリパリした食感のバンズと熟成香のあるパテが何とも言えない相性でワンランク上の大人のバーガーである。自家製のベーコンに価格高騰中の生野菜。

提供する料理の印象がマンネリにならないように前菜は常に進化する。オーナーやシェフが自身の審美眼をもって大阪のみならず様々なイタリアンやフレンチ、和食の繁盛店を食べ歩き勉強されてそのよい部分のエッセンスのみを自分の店に取り入れる。

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ワインはいつもいただくカリフォルニアのオーボンクリマ<Au Bon Climat>6500円。価格の割りには味が複雑で樽の香りも効いていて余韻深く、苦味もありながらとても上品でエレガントなこの店のオーナーのような味わい。

私よりも遥かに年上だけど全くそうは見えない長居の「中村あずさ」こと店主の荒井世津子氏は自叙伝を出したりテレビをはじめとする様々なメディアで紹介される有名人。従業員を指導するときの鬼の顔とお客を接遇するときのウイットに富んだ会話の際のおもてなし感溢れる笑顔のギャップには高低差がありすぎていつも耳がキーンとなる。

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こちらのお店は季節ごとに料理教室やBBQなどのイベントを開催したり様々な種類の肉で熟成を試したり、新商品を開発したり私の知っている焼肉店では最も革新的で客の嗜好に合わせた店作りを絶え間なく続けている。お客に楽しんで満足してもらうという気持ちの上に従業員満足に対する思いも強く、定期的に従業員の家族参加の食事会をしたり海外での視察に社員を連れて行ったりなど、現在は週に2回の休みにしようかどうか悩まれていると聞き及ぶ。

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口直しは富有柿とシャインマスカット。一口食べると気分はまーすかっとした。

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しばらくして肉のかたまりをまんべんなく移動させながらアルミホイルで休ませ、約40分かけて目の前で焼かれた肉の塊がキッチンでカットされて銘々に盛りつけられて登場。

土佐あかうしのロースは噛み締めたときに甘い脂とミルキーな肉の旨味が口の中に迸る。噛み締めたときの食感も飲込んだあとの茶豆のような香りも炭香もすべてが瞬時に脳のシナプスを通して大脳に強烈な信号を送る。

「脳髄の番人の記憶力も朦朧となり理性の器も蒸留器のようになる」というハムレットの一節を思い出す。

松坂牛の方は赤身肉なんだけど小さな小サシがしっかり入っていてしっかりとした噛み応えと和牛の甘い脂と焙煎したてのアーモンドやナッツの香りが脳幹を刺激する。噛めば噛むほど味わい深く添えられた岩塩や生の胡椒を付けてそれぞれを食べ比べると多幸感に包まれながら知覚のゆがみを感じて夢幻状態に陥りそうになる。

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ワインが少し残っていたのでオーナーがバスクで買ってきた青カビのチーズを少しいただく。

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食後は小松菜で作ったデザートドリンクで〆。周りを見るとこの日も超満席。

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デセールもこだわりがあって専任のパティシエが季節にあったものをそのつど考える。美味しいだけのお菓子は誰にでも出来るが肉を食べたあとで重たくなく後口のいい、印象にも残るデセールを常に開発されている。

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ベリーのソルベも滑らかで酸味と甘味のバランスも抜群。

こちらは美味しいだけではなくて楽しくいつまでも記憶に残る関西では希有な素晴しいお店です。まさに「THE BEEF WONDERLAND」。 記念日にオススメです。。

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以下こちらのオーナーのブログより
料理研究家の山田直美先生と直美先生が主催する
お料理教室の生徒さんたち10人余りで、
スペインのバスク地方に出掛けました。
参加されている方は、
皆さん、食いしん坊で好奇心の塊のような方ばかり,
居心地良かった〜(^∇^)
行く先々の市場で、
食材を買い集め、
スーツケースは、軽く23キロオーバーは、
当たり前⁉️(^◇^;)、
何とか32キロ(超過料金の範囲内)
収めようと、あの手この手(@_@)
バスク豚の農家さん
ワイナリーのマルケ ド ムリエタ
有機のオリーブオイルの農家さん
イデアサバルのチーズを作る羊農家さん
ビルバオ、ログローニョ、サンセバスチャンの
旧市街のバル巡り
フレンチバスクの小さな村は、
フランス映画に出て来そうな佇まい
ステーキを食べ歩いた3軒のお店も印象深かった
BEDUA、ネストール、カーサ フリアン、
特にBEDUAは、今の私にとって実現させたいお店に
一番近い存在です。
バスクの穏やかな空気を吸って、帰って来ました(^ν^)
また、何処かへ出掛けるまで、精を出して働きます‼️(*^^*)

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この日は特別にカレーパンの試作を試食させていただく。日々前進する姿に頭が下がります。

大阪市住吉区長居2-13-13
営業時間:11:30~14:00
17:30~23:00
定休日:木曜日


カテゴリー 長居, 焼肉 |

こいき 10月

四天王寺夕陽ケ丘駅3番出口から徒歩1分。熟れた庶民的な雰囲気とご主人のキャラが大好きで季節ごとに訪問している寿司店。とても几帳面な方で昼間はいつも店の掃除をされている。店内はカウンタ−10席のみ。最近は大人気でなかなか席が取れないことが多い。日曜日はネタが少ないけど予約は比較的狙い目。

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最初はいつもの通り徳島産の蒸し鮑。大振りにカットしたものを一口でいただくと口の中に独特の旨味が広がる。肝も秀逸。藻塩を少し付けてからいただく。夏に済州島に行ったときに養殖のアワビを食べたら肝は食用禁止と言っていた。養殖場の衛生状態が悪いために水銀だらけらしい。身も生食出来るものは限られていて中国人観光客は気にしないので高価で売れまくると言っていた。

続いてセロリと剣イカの足の和え物はさっぱり(さ〜パリに行こう!)軽く霜降りされた牡蠣は最近よく見る仙鳳趾のもの。身はしっかりと締まっていてプリプリの食感で甘味も強くて濃厚な味。

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和和和という純米吟醸美山錦のひやおろしを所望する。特有の芳醇でふっくらとした丸みのある味わいはこのお店の食事にとてもよく合う。トコブシの煮付けは鮑と違ってさっくりとした歯切れのいい食感で、同じような貝でもここまで味の異なりがあるのかとビックリ。

ピンピンに光る秋刀魚はスタンダードに塩焼きにしてもらう。遅きに失した感があるが今季初の秋刀魚に舌が喜ぶ。巨大な甘エビを昆布〆にしたものは昆布の香りもさながら海老の水分が抜けて甘さが更に引き立つ感がある。

もう少しアテ食べますかとのことだったので甘手カレイを造りでいただく。1日寝かして熟成させているけど身はコリコリで旨味も満点。縁側部分は特に旨味も濃くて大満足。

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握りの扉は富山産の白海老から。独特の食感と甘味に小さく唸ってしまう。ほんのり温かいシャリは酒粕を材料とする赤酢を2種類ブレンドしたもので砂糖は使用していないと言っておられた。酸味と旨味ともに強めのすっきりとエッジの効いたコクのある味わいはとても特徴あるもの。赤酢の独特の癖と握ったときにどうしてもバラバラしてしまうのが難点。

小肌は1枚付けだけど食感が柔らか。これをしっかり〆てしまうとシャリと喧嘩をしてしまう。よく考えられている。ご主人見た目と異なり、かなり繊細で客にも気配りしまくりで客に常に向き合って仕事をされる。釣りの鯵も秀逸。お造りでいただいたアマテカレイを分厚くカットして握っていただくと味わいもまた異なる。剣先烏賊もシャリと相性が良かった。

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好物の海老はこの日はこの時期に泉州で獲れる赤足海老。味噌も付いていてお酒も進みまくる。愛媛の石鎚のひやおろしをここから3合続けていただく。すっきりした辛口なんだけど旨味もしっかりと感じられる夏越しの銘酒。

北海道の粒貝と本マグロのトロ、腸の部分だけを軽く炙った北寄貝。小さな小鉢に入ったイクラは赤酢のシャリと相性抜群。

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北海道のバフンウニも藻塩でいただく。こちらのお店のスペシャリティーの鰻はしっかりと蒸し煮されているんだけど鰻独特の濃厚な旨味もしっかりと残されていてパンチのある仕事となっている。甘エビがもう一回出てきて最後はハリイカでフィニッシュ。

派手さはないけど美味しいものをしっかりと目利きして最高の状態で出していただく。けれども講釈や自慢は一切しない。安心して寿司を楽しめる界隈では希有な店である。

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食後はいつものように店の前にあるワッシーズダイニングスープルでワインをいただく。寿司のあとだったので軽めのお手頃ワインとこの店のシグニチャーメニューのトリュフのスクランブルエッグと玉ねぎのキッシュとチーズを所望して秋気澄む夜を楽しむ。

糸を繋げることもムスビ
人を繋げることもムスビ
時間が流れることもムスビ
ぜんぶ同じ言葉を使う・・・
君の名は・・・君は誰なんだ・・・

大阪市天王寺区四天王寺1-7-15
06-6772-0379
17:00~23:00
月曜定休


カテゴリー 四天王寺前夕陽ヶ丘, 寿司 |