すし豊 10月

友人と阿倍野にある表記の江戸前寿司店を訪問。普段使いで気の置けない友達と行く事が多い。お店は駅から遠くて(阪堺線の東天下茶屋徒歩7分)ファザードも店内もかなり昭和な感じ。カウンター8席とテーブル席が8席。

生ビールとともに子芋の炊いたものとげその湯引きをいただく。子芋は煮鮑のタレを使用。そのためにゼラチンが固まったまま出てくる。味はかなり濃いけれどビールにぴったり。げそはハリイカのものを使用。小振りなのでとても柔らかい。

名称未設定

かなりいい上質感があって何を食しても美味しい。いつも書くんだけどこの店のお勧めはご主人の人柄。料理が彼の説明でよりいっそう美味しくなる。厳選した食材を何とかして少しでも美味しく食べてもらおうとする工夫とそのこだわりに敬服する。

寿司の最初は大阪湾のハリ烏賊。ネタの下に黒ゴマを敷き、イカに塩を塗りスダチを軽くしぼって提供いただく。ハリ烏賊独特のぱりっとした歯ごたえが気持ちいい。毎度寿司のスタートは烏賊から始まる。鯛は少し熟成感があってねっとりとした舌触り。

いか

友人は3分間漬けられた漬けマグロ。私はこの店の名物の一つヒラマサの蕪寿司。この店でこの寿司は味の三段ロケットと言われていて酸味のあるサッパリした蕪の味、続いてヒラマサの旨味とコク、そして唐辛子の辛みと続く。主人に「味が三回変わってから飲み込んでね」とい毎回言われてはや15年。コハダはしっかりと締められている。小骨を感じるがこれはしょうがないか。

づけ

濃いたれで味つけられたハマグリは濃いめの煮詰めが更にかかるけど見た目ほど辛くはない。炙りのカンパチはすだちと塩でいただく。香ばしくて脂が甘くてとても美味しい。

はまぐり

大阪湾のシラサエビは子持ちで味噌もかなり甘い。酢で締められたさんまはあっさりしているけど脂もたっぷり。まさに旬の味。お酒は白雪の常温。香りも強すぎず寿司の味の邪魔をしない

えび

そして、大将が「ウチで一番柔らかい寿司ね!」と2時間煮込む煮あわび。今は珍しくない煮アワビだけど関西で一番最初に出されたのはこの店だと思う。「この店で一番固いよ」といいながら提供される握りのイクラ。 岩手県の産卵直前の川に遡上する前の完熟卵にこだわる自家製。遡上したものはいわゆるピンポンいくらとなる。

一口で頂くと口の中で暴れまわる。歯で追いかける。ぷちっぷちっと音がするくらいの弾力がある。旨みが強くかなり濃厚。醤油ではなく塩漬けしている。この技術が難しい。冷凍することで塩が熟れておいしくなる。

あわび

今が本当の旬の鱧は脂がしっかりのっていてとても美味しい。べっ甲色した鯛はしっかりと熟成されて締められたもの。

はも

口の中で溶けちゃうよと言いながら出されるさっと炙られた大阪湾の煮穴子はスフレのような食感。塩でいただくとかなり美味しい。烏賊の印籠も江戸前の古い仕事でこのお店の名物。まん中は白子、両端はイカの玉子が入っていて酒がとってもよくあう。これも身、子、白子の3段階の旨さ。サクッとした身の食感と卵のプチプチ、白子の滋味。

あなご

しっかり締められた鯵の手巻き寿司。としっかりめに炊き込まれた子持ちシャコ。あじ

寿司の出てくるタイミングも絶妙。昔から顔にしわのない年齢不詳の東京弁バリバリのご主人は東京銀座の名店「新富寿司」で修行。しかしながらお店が厳しすぎて1970年、大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で努めて自分でこの店を出したと言う話もかれこれ20回は聞いた。名前は安田豊次、だからすし豊らしい。

今日も美味しかった。。ごちそうさまでした。

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
電話:06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日


カテゴリー 東天下茶屋, 寿司 |