西中島の表記の寿司店を過日に友人と訪問。1910年東京で創業され、大正5年に大阪の日本橋に移転、110年以上の歴史を持つ言わずと知れた有名老舗店。若い時に訪問した記憶のある日本橋のお店は大阪の寿司の最高峰と言われていたが惜しまれて閉店。
しかしながら3年前にこの地で再開とのこと。西中島南方駅、南方駅から南に徒歩5分のマンションの一室に位置する。お店の前の道路には日本橋時代と同様に柳の木が風に揺れる。エレベーターを降りると瀟洒なファザードが登場する。
店内は白木の端正なカウンター7席と個室6名のみ。3代目のご主人と奥様、4代目のご子息で切り盛り。近年こちらのお店のご出身の方のお店はよく伺うが本家本元は流石の風格を感じさせる。
メニューはお好みアラカルトのみ。最初にガラスのネタケースの中のおすすめを聞いてお酒と一緒にアテでいただく。大阪でネタケースを取り入れたのはこちらの店が初めてと聞き及ぶ。
最初に脂のよく乗った香りのいい鯛の刺身を数切れと湯掻いた鯛の白子(写真なし)をお酒と一緒にいただく。
赤貝を食べたかったんだけど今期は終了とのこと。代わりに水槽から引き上げた新鮮極まりない大きな殻の平貝を握りでいただく。
続いて好物の光り物4種類。しっかり締めた鱚、大きなサイズで活り気のある細魚。ソフトな食感の小肌も過去で1番の美味しさ。独特のフォルムに握られた小鯵と続く。ご主人が本当に美味しいと思うネタだけを厳選して提供される寿司原理主義のようなスタイルはとても格好いい。本手返しで木桶をポンと叩く捨てシャリの所作はこの店ならではのもの。
ご飯は艶と穏やかな甘みがある今どきの辛すぎるシャリと一線を画す。
艶かしく光るマグロはこの部位が入った時にしか提供しないと言われる血合い横の鉄分の多いトロ部分を使用(私はパス)。大きくて新鮮な甘エビもこの日のおすすめで上品な食感にびっくりする。ゆがきたての五島列島の車海老はかなり立派。
低温で処理した蛤もいただいてから名物の握りが最後に3貫続く。穴子の握りは大ぶりのものを柔らかく煮込み、仕上げに皮目を限界まで焼き込む。スフレのような食感で東京の寿司店にも今や残っていない仕事とのこと。煮たこもこの店のスペシャリティでかなり滋味深い。最後は特徴のあるビジュアルの焼き目を一切つけずに焼き上げる玉子。
日本酒は大関と白鶴の流通していないものを供される。会計は一人35000円くらい。大人の社交場のようなお店です。。
大阪市淀川区西中島1−9−13
クレアシオン新大阪ビル3F
06-6795-9088
12:00~14:00/17:00~21:00
水曜定休
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