又三郎 7月【大阪市 長居】

所属するボランティア団体の会食会で表記の店を14人で訪問する。
こちらのお店は大ブームの熟成肉を提供するお店の先駆者であり業界全体を牽引する。現在食べログ焼肉部門大阪1位で全国ランキングでも常に5本の指に入る。インバウンドの客も多く最近は全く予約の取れない店としても有名。

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店主の荒井世津子氏は自叙伝を出したりテレビをはじめとする様々なメディアで紹介される有名人でその容姿の端麗さのみならずウイットにとんだ接客は多くの常連客を虜にする。土佐赤牛を世に知らしめた人物としても有名。

年に一度の結婚記念日やメモリアルの日の御馳走でこちらのお店を利用するお客さんも多く、1年後の予約をして帰る方もいると聞く。お客で芸能関係者も多くアイドル系のタレントも多く訪問されるが店主はそんなことも全く気に留めず普通に接しながら「自分の方が勝っている・・・」といつも密かに思うと言っていた。(本人は中村あずさに似ているとよく言われるらしい)

提供する料理がマンネリにならないように前菜やデセールは常に進化し続ける。様々なイタリアンやフレンチ、和食の繁盛店を食べ歩き、良い部分を参考にしながら絶えず新しいものを取り入れる姿勢にはいつも敬服する。デザートもパティシエがオリジナリティー溢れるものを作り続けられている。従業員への指導の厳しさでも有名で彼女の愛情溢れる接遇指導は業界でも有名である。厳しさのあとはしょっちゅうスタッフに対して感謝の集いを開催されるのも素晴しい。彼女は個人的な感性として「お客様に満足して楽しんでもらう」気持ちが誰よりも強いことは確かである。

食材も現在、和牛仕入れ価格が高騰し、いい肉が手に入りにくいなかでも常に理想を追い続け熟成に向くポテンシャルの高い牛を一頭買いされる。この日は団体だったので飲み物込みの大体の予算を申し上げてお任せで献立を組み立てていただいた。

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最初にこの日に提供される肉のプレゼンテーション。この日は山県産の黒毛和牛の赤身とこちらのお店でおなじみの岩手産の和牛のサーロイン部分。どちらも5月下旬からのドライエージング。真ん中は希少部位の和牛のハラミ部分。

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最初の前菜は熟成させたハネシタ部分の薄切りをさっと焼き上げたもの。塩こしょうだけの調味だけど火元から熟成香が立ち上がり、扉の料理として良く考えられていると感心する。

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肉を焼いていただいている間にワインと2つ目の前菜登場。熟成肉を使ったハンバーガーとソーセージ、生ハムの三種盛り合わせ。ハムの下にはアボガドが潜む。

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塊で何度もアルミホイルに包んで休ませながら焼き上げたハラミ肉は大振りにカットされてサラダとともに供される。セロリや水茄子、ズッキーニなど牛肉に合う野菜とともに美しく盛りつけられる。ハラミ肉は熟成させていないが和牛の美味しさは食せば判る。荒井オーナーが焼き上げるので火入れは当然のことながら完璧。焼きながら繰り広げるオーナーの話芸も名物である。

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ワインも手頃なものからプレミアムなものまでいろいろと取り揃えている。この日は3種類のワインを飲み比べて楽しむ。

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メインディッシュは赤身肉とサーロインと食べ比べが出来るように供される。塩と生の胡椒でいただく。口に入れて噛み締めると肉汁が溢れ出て茶豆のような熟成香が鼻腔から抜ける。熟成によって凝縮された肉のアミノ酸の旨みで口の中が満たされる。

普通の焼肉はどこでも食すことが出来るので私は厚切りの熟成肉のみをを食べまくることをお勧めする。熟成肉ブームで同じようなものがあちこち見かけるが他店とはレベルが全く異なる。特に大阪のウルフギャングやNYや六本木のピータールーガーとは比較するのも申し訳ない位の価値を此方の店には感じる。いろいろな方面から新規出店のオファーもあろうかと思うが本物を追求するためすべてお断りしているとも聞き及ぶ。

予約を取るのは至難の技だけど平日の早い時間が21時以降なら比較的予約しやすいと言っておられました。

過去の詳しい又三郎の記事はこちら

大阪市住吉区長居2-13-13
営業時間:11:30~14:00
17:30~23:00
定休日:木曜日

大阪市 長居 焼肉

ニューとん助 7月【大阪市 北加賀屋】

自社近くの表記のお店で一人ランチ。店名の通り豚カツとニンニクたっぷりのポータージュスープが超有名なんだけどその日の晩に焼肉を食べる予定があったのでこの日は大好物の海老フライ(大)1300円を所望する。

こちらのお店はランチ営業のみでディナー営業はなしで日、水と休み。
カウンター14席のみなので開店時間前に並ぶのが定石。店主と女将さん若い女性のホール係と男性の調理師の4人で運営。
メニューは 豚カツ900円 豚カツW1100円 ハンバーグ800円  エビフライ1000円  ライス小100円  ポタージュスープ300円 ヘレビフカツ1600円ヘレテキ2500円  ヘレテキスペシャル4700円。

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出て来た海老フライは25センチ級のサイズ。ニンニクたっぷりの濃い〜ドミグラスソースがたっぷりとかかる。会計をして会社に戻るとライス代の支払い不足に気づく。再び300円を支払いに行くと女将さんが大恐縮。何度もお礼を言われこちらも恐縮。
いつもながらいいランチでした・・・

過去のニューとん助はこちら

大阪市住之江区中加賀屋3-1-22
10:59~13:58
定休日 日曜日・水曜日

ニューとん助洋食 / 北加賀屋駅住吉大社駅粉浜駅

昼総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 北加賀屋 洋食

Il Povero Diavolo (イル ポーベロ ディアヴォロ)7月【大阪市 大国町】

1年間お世話になった奉仕団体の職員のかたと表記の店を相伴する。

最近は私とご一緒した友人が何度も訪問するのでつとに予約がとりにくい。普段は滅多に降車しない南海電鉄の今宮戎駅から徒歩3分にある「木津卸売り市場」に隣接する阪神高速の高架下のグルメゾーン「なんば木津まち横丁○(エン)」の一角に位置する。

店の入り口はビニールシートなんだけどそのビニールに微妙に墨色が入っていたりしてかなり感度の高い内装となっている。

カウンタ−とテーブル席で全部で14席。メニューは魚介のみのコース¥7500。スタートはいつものようにヴェネト州のさっぱりとしたスプマンテを所望する。

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一品目は「豆と鱧」。サーブされるときは素材名だけ告げられる。食べながらインスピレーションを駆使してソースや調理法を解読する楽しさが醍醐味である。

活鱧を骨切りして軽く燻煙しながら火入れをし、それを凍らせてから削ってパウダー状に乾燥させる。緑の粉とソースは豆をペースト状にしたもの。全体をかき混ぜていただくと三度豆や豆のペースト、豆を粉状にしたもの、トマトと和風の出汁の味が混ざった泡のソースが一体になりバランスのいい逸品となる。

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2品目は「カマスととうもろこし」塩をして脱水したカマスを皮目だけ炙ったものに大きめのベビーコーンのフリットと火入れしたとうもろこしとそのソース、黄色いズッキーニを合わせたもの。異なる食材同士の相性の素晴しさと和素材や調味料を一部組み込むことでの食べやすさなど科学的創意に満ちたコース仕立はさすがである。

3品目のムール貝と微塵にカットされた烏賊、素麺カボチャは写真を撮り忘れる。素麺カボチャがパスタのようでビジュアルも食味もかなり楽しい。

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4品目は「蛸 茄子 パプリカ 赤みそ」という料理。焼き茄子に柔らかく火入れした蛸とパプリカのペーストを合わせたもの赤みその入ったソースは見た目よりも穏やかな食味。付け合わせは茄子のステーキ。

料理の味もさることながらシェフの調理法の独創性とビジュアルの芸術性にビックリ。蛸は和食の料理法を使用。

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この日はすべての料理にそれぞれお任せのワインをつけていただく。

こちらのお店は北イタリアのリミニ州の一つ星オーベルジュ「IL POVERO DIAVOLO」の暖簾分けらしい。こちらのシェフはその本店でスーシェフを務めていたと聞き及ぶ。現在33才の鬼才である。

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蝦蛄海老をミキシングして凍らせたものと角切りにして火入れした蕪と毛蟹を合わせてネットリと味噌漬け風に火入れした卵黄を調味料として使用した本日一番のお気に入りの逸品。すべてを掻き回してぐちゃぐちゃにしていただく。蝦蛄海老が調味料の役割をするのにビックリ。

食器はすべて暖かみのあるイタリア製の「ヴィルジニア カーサ」。同伴者は100均?かと思ったと言っていた(笑)

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メインディッシュ登場。笹で包まれたものはソテーされた伝助穴子。プリプリの食感に笹の香りがいいアクセントになる。これを黒豆で作ったソースと言うかババロアのようなものと一緒にいただく趣向である。煎り上げたハト麦の食感がとてもいい。

異なる食材の素材の味わいの相性(和食で【出会い】という)を科学的に考察し、調味料やハーブを触媒としながら独自の解釈で緻密に論理性を確立しながら重層的につくられるので何を食しても美味しい。和食の足し算や引き算的な考えではなくかけ算と因数分解を駆使したような手法と言えよう。いつもながら世にあるすべての食材のテクスチャーを再構成する力に脱帽である。

 

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後半のワインもパンチのある料理には白でもしっかりしたものを合わせる。白のヴィンテージ・トゥニーナは今やイタリアの白ワインの造り手としてナンバーワンと言われるイエルマンのもの。辛口の重口でコクもあって蜂蜜や果物のようなアロマも強く感じる。かなりエレガントかつ個性的で複雑な味となっている。

料理の素材だけではなくワインとのマリアージュも楽しむことが出来るのが嬉しい。ある料理に関しては日本酒が欲しくなったりするが食材や調味料に和の素材が使用されているからであろう。

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時鮭と夏牛蒡とアーモンドのパスタ。アーモンドはクラッシュして脂分を使用。クリーム等の乳脂肪は使用していないとのこと。パスタは太麺の「マンチーニ(Mancini)」しっかりとしたコシがあり噛み締めると小麦の味がする。

最後はスッポンのリゾット。バイ貝とそのジュが入っており何とも言えないパンチのある濃厚な食味が印象的。あとで聞けばスッポンの身だけではなく血や内臓も一緒にミキサーにかけて使用しているとのこと

ポルトガルやトリノで鶏や

豚の血が入ったリゾットを食べたことがあるがその横展開であろう。イタリア料理でスッポンをいただいたのは生まれて初めて。赤の骨格のしっかりとした濃厚なカベルネソービニオンと相性ばっちりでいつまでも食べ続けていられそうな錯覚に陥る。ありがちな塩分の尖りも感じられず滋味深い後を引く味はリゾットの最高傑作と言い切りたい。。予算が許せば国産松茸のみじん切りが入れば卒倒すると思う。

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ドルティエの一皿目はウメールバーブとヨーグルトの氷菓子。(これは写真なし)2皿目はスペシャリティのトロトロ杏仁豆腐のホワイトチョココーティング。下敷きはクラッシュしたクッキーと杏。

コースは全10品で7,500円(税込)サービス料別。
ワインをお皿ごとにペアリングして頂いて二人で29,000円の支払いでした。

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ちなみに去年の7月にいただいたコース(ブログ不掲載)のメインディッシュが「鯉と大豆」でイタリアンで鯉料理を始めて頂いたことを思い出す。自家製のきな粉と合わせる和風テイストのセンスが強烈な印象。

 

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*帰りに見た「支持政党なし」政党のポスターは本当に不可解なり。

大阪市浪速区敷津東2-2-1-317
06-4395-5150
営業時間:18:00~23:00
定休日:水曜日

大阪市 大国町 イタリアン