30年前に大正区の駅から徒歩15分の悪立地に出来た創作イタリアンの美味しさに感動して当時よく通った記憶がある。しばらく通ううちに理由もなくいつの間にか疎遠になりその店の存在すら記憶から消え去っていた。
過日に大正在住の友人と仕事の話をしている途中にその店を思い出し25年振りに訪問する。カウンター8席、8人掛けテーブル1卓の店内は昔と全く変わらず。57歳になる店主も私の顔を見て「うわ〜」と言葉になっていない言葉を発する。
懐かしい昔話を色々しながらお任せで料理を出していただく。移り変わりの激しい飲食業会の中でこのような辺鄙な場所にあるイタリアンが30年変わらず続いていることに対して驚くとともに店主の元気そうな姿と料理に対する熱い想いを昔と同じように聞くことが出来ることに感謝する。
黒板には本日のこだわりメニューが90種類くらい。選んでられないのでほとんどの客がお任せするという。30年前と同様に仕入れは木津市場と鶴橋の市場でいいものだけを狙って購入。食材のこだわり味へのこだわりは当時から半端なかった記憶がある。当然のことながら客筋もよく遠方からタクシーで来る客ばかり。
ワタリガニの身と内子のカクテル。素材の良さが一口頂けばよくわかる。30年間同じ市場で買い物をしているので特別にいいものを仕入れることが出来るんですと店主の弁。
創業当社からのお造り盛りあわせ。カルパッチョじゃないのが嬉しい。大きな鉢の上に氷を敷いて天ぷらの紙を敷いて供されるスタイルは変わらずで懐かしい。生のホタルイカに脂がのりまくった天然鯛、長崎の締め鯖は一度冷凍にして熟成させる。巨大な伝助穴子に口に入れた瞬間に溶ける皮鯨、旨味たっぷりのカワハギの6種盛り。どれもがため息が出るような美味しさ。
日本酒やワインも選りすぐり。好みを言えばドンピシャのものが瞬時に供される。
続いて店主お薦めの河豚の蒸し物。この日は4.8kの巨大天然河豚を仕入れたらしい。養殖とは異なる鶏肉のような食感に舌が喜ぶ。大振りの白子も突き抜ける美味しさ。河豚のエキスの染み込んだ白菜は濃いめの白ワインと最高のマリアージュを見せる。
最後は此方の店の名物料理の蛸のニンニクオイル焼き。当時はアヒージョという料理が日本になかった記憶がある。オリーブオイルに醤油ダレが入っていてこのオイルが30年間ずっと継ぎ足されてきたものらしい。ガーリックの匂いはほとんどしないのが不思議。蛸は当然活蛸を使用。当時はあまり気にせずに食していたのだけど今頂くと甘くて辛くてコクがあってとても深い味に感動する。
残ったオイルはタッパーに入れて持ち帰らせてくれるとのこと。炒め物や焼き飯などに入れると抜群に美味しくなるであろう。内容を考えると価格はとても良心的。座席が少ないので予約は必須。
帰りにタクシーの座席で1000円札を発見。警察に届けようか運転手に告げようかかなり悩む・・・警察に届けても持ち主に戻ることはないだろうし運転手に渡すと・・・とか考えていたら到着してしまう。結果どうしたかは秘密・・・
大阪市大正区泉尾3-3-1
06-6553-3337
営業時間 17:00-24:00
定休日 水