琵琶湖の西端にある「おごと温泉」で現在最も女性に人気があるといわれる表記の旅館に宿泊。雄琴界隈は昔からソープランドが立ち並び(今もあるが)雄琴温泉の近くの琵琶湖で若い女性が泳ぐと妊娠するという都市伝説も昔に聞いたことがある。そんないわば風俗街と呼ばれる温泉街のなかで近江牛や地元の食材をふんだんに使用し多くの女性客を中心とした固定客に支持されている名旅館である。今回はこちらの旅館のオーナーでもある美人女将にお会いするのが楽しみだったんだけどあいにくこの日は所用で留守だったのが残念。
ゆっくりと温泉につかって夕食はジャズコンサートのディナーショーを相伴する。料理は俵屋等で修行をされた近江の名工である料理長の指揮のもと、地元の食材をふんだんに使った会席料理が中心となる。館内に料亭の施設もあり日帰りでの温泉と食事を楽しむことが出来ると聞き及ぶ。
今回はディナーショーと言うこともあり会席の簡易版を宴会場で頂くこととなる。
ビールで乾杯をして三段の塗りの箱に入ったものが最初に登場。
蓋を開けると上段は口取りとなる。春菊と菊花の白和え、粟麩、胡桃豆腐やさい味噌掛け、鯖小袖寿司、イクラと長芋、手長海老、むかごカステラ、しめじと燻製チーズの松葉刺し。
どれも丁寧に手作りされた玄人受けするものばかり。何を頂いてもとても美味しい。これだけで日本酒が3合は飲めそうな感じ。
お造りは養殖鯛、甲烏賊、琵琶ますの3種盛り。これは特にどおって事はない。しかしサービススタッフの目配りと対応はさすが。
半熟卵、真魚鰹西京漬、じゃがいもで作った木の葉、松葉蕎麦、炙りサーモン、貝柱、玉ねぎ、こんにゃく寒天の湯葉巻、舞茸など。
小鍋は大振りに切り出された松茸と甘鯛、近江地鶏と季節の野菜。出汁の美味しさは群を抜いている。仕事がとても丁寧ですべてがワンランク上のできばえ。
洋皿として近江牛の湯引きの野菜巻。三杯酢のジュレがかかる。牛肉の凝固点以下の温度で軽く湯引きされ脂を適度に落とした近江牛は赤身部位だけどとても柔らかで舌触りもよく肉の旨みが口の中で炸裂する。三杯酢の酸味が肉のおいしさをより引き立たせる。
食事は近江のコシヒカリのとんぶり入りとろろ芋掛け。米の美味しさは秀逸。新米ということもあるが今まで頂いた白米の中でも有数の優れた食味を感じた。
デザートは濃厚なプリン、シフォンケーキ、巨峰、無花果の盛り合わせ。
すべての料理が一級品である。価格もそう高くないのでちょっと贅沢したいときに期待を裏切らない食事と施設である。これからの紅葉の季節は大忙しと言っておられた。