お店ジャンル

居酒屋鮮道 こんび【大阪市 天王寺/阿倍野】

グルメな友人から天王寺で美味しい魚を食べるならここが一番、と言われてすすめていただいた居酒屋さん。友人のご子息と一緒に訪問。JR天王寺駅北口から横断歩道を渡って阿倍野筋を北に少し行ったところに位置する。間口が狭くファザードは地味なのでかなり判りにくい。

縦に長いお店はカウンターが中心で手前にテーブル席が2つ。お店の奥には座敷と2回に個室があると言っておられた。ビールで乾杯して女将さんお薦めのお造り盛り合わせをまずは所望する。

<S>2名盛り 1,280円
<W>4名盛り 2,480円
※3名盛り 1,880円/5名盛り 3,000円

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この日の造りは手前から「縞鯵」「鮑」「あこう」「シカ鯛」「カンパチ」「ヒラメ」「金目」「鰤」「鯛」「甘鯛」の10種盛り。珍しい高級魚もたくさん入ってどう見ても原価割れ商品であることは間違いない。この内容と価格のアンバランスさにほとんどの客はやられてしまう。白身の魚は一見同じように見えるが脂ののりやその味わい、舌触りなどそれぞれの異なりを楽しむことが出来る。どれも新鮮で金目は熟成感もあってどれも美味しい。お造りはそれぞ、アラカルトもあってそれだけを目当てに来る客も多いらしい。

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お薦めのお酒を尋ねると天狗舞の純米吟醸生酒を出していただいた。すっきりした切れ味のある新酒で辛口だけど味わいも深い。

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女将さんお薦めの出汁巻玉子も所望する。ビジュアル通りに強火でさっと焼き上げているのでふわふわしてとても美味しい。こういった居酒屋さんで出汁巻を見ると30年くらい前、自分のお店の弁当に入れる出汁巻を毎日50本くらい朝から焼いていた記憶が蘇る。出汁巻は出汁が多ければ多いほど美味しく仕上がるけど焼くのが難しくなる。弁当に入れるので出汁がこぼれないように「浮き粉」という小麦粉からグルテンを除いたでんぷんを出汁の中に入れて出汁を玉子の中に閉じ込める工夫をしていたことを思い出す。

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スケソウダラの卵の煮付け。上手に炊かれているのに感心する。こういうおばんざいのような肴が日本酒によく合う。器の中の小さな手間ひまが更に美味しく感じさせる。

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「かき揚げも是非お召し上がりくださいね〜」ということなので数あるメニューの中から海老と貝柱のかき揚げを所望。ボリュームもたっぷりで海老もたっぷり入って大満足。

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金目とアコウの酒蒸しは出汁の塩梅もドンピシャで作っているのがかなり腕のいい職人さんであることが判る逸品。リーズナブルで本格的で何を食してもワンランク上の美味しさ。スタッフさんも明るくて目配りも抜群。女性客も多くて界隈のおっさんばかりが集まる昭和居酒屋とは完全に一線を画すお店。これからの季節は予約が必須。とてもいい時間を過ごすことが出来ました・・・

大阪市天王寺区堀越町13-15
06−6770−5305
営業時間:11:30〜14:30
17:30〜24:00
定休日:日曜日

居酒屋鮮道 こんび居酒屋 / 天王寺駅天王寺駅前駅大阪阿部野橋駅

夜総合点

大阪市 天王寺/阿倍野 居酒屋

つるやⅡ【大阪市 天王寺/阿倍野】

JR天王寺駅周辺は焼肉の激戦区。王道をひた走る「平和」(通称ピンフ)ではそれだけを食べることもあるくらい上ロースが美味しくて安い。その横の「萬野ホルモン舗」は名前の通りホルモンの美味しさが突き抜けている。その他の店も含めてTPOで使い分けるけどその中で最も愛してやまない店が阪和商店街にある表記のお店。

普段は一人か気のおけない友人と行くことが多い。しかしながら席数が少ないことと人気があることで時分時はいつも満席。この日は21時半に伺い、たまたま2席空いてはいたがすぐに満席となっていた。

すぐ近くには普通の焼肉店舗の「つるや」がある。こちらはつるやの串焼き専門のディフージョン版。通称「つるツー」と呼ばれる。席の後ろ全面が引き戸で外から自分の目でしっかり観察して客がいないところの引き戸を開けて入店する。席数は7つのみ。店主を含めてお店の喫煙率は高い。しかし目の前で焼く肉の煙でタバコが気にならない。

店内は薄暗くてどよーんとした感じ。同伴者が聞けば今年で35年になるらしい(この前は30年と言っていたが・・・犬並みに年を取るのであろうか)

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味のある手書きのメニューが渋すぎる。ヨネスケ師匠そっくりの店主のケンちゃんは50代半ば。気さくで楽しくてすべての客に分け隔てなくお酒を飲みながら接する。客も順番にケンちゃんにお酒をおごりまくる。客全員でテレビを見ながら世間話をしながら飲み食いする。家族の団らんのようでかなり楽しい。

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まずは上タンを塩でいただく。炭火でレアに焼かれたタンはボリュームもあって食べ応え満点。価格はすべて2本の値段。ロースも塩でいただく。焼きセンマイは分厚くて焼きにぴったりの部位を使う。生センの場合は柔らかい部分を使用。お酒は名物のカボスの入った酎ハイ。この日は5杯いただいた。客のほとんどが同じものを飲む。

ニンニクとニラ入りのこってりした醤油ダレにコチジャンをいれていただくんだけど突出したバランスの良さはホルモンとの相性抜群。赤センやマル腸との相性は特に秀逸。食感や歯ごたえがいろいろな串焼きホルモンは素材がいいので何をいただいても美味しい。

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私の一押しのソーセージはシャウエッセンを使用。炭火で焼き上げられケチャップとマヨネーズと辛子をつけていただく。ハラミの火入れは軽め。独特の串打をする手羽も普通に美味しい。客は長居せずにさくっと食べて好きなことしゃべってさっさと帰るのがマナー。釣りを取らない客が約半分くらい。心もしっかり温まって店を出る。

大阪市天王寺区堀越町15-5
定休日:日曜日
営業時間:17:00~23:00

大阪市 天王寺/阿倍野 串料理焼肉

すし豊 11月【大阪市 松虫】

日曜日は早朝から夕方まで障がい者施設でボランティア。雨の中での重労働のあと、銭湯で汗を流して自宅で1時間昼寝をして嫁さんと口喧嘩してから表記の店を訪問。場所は阿倍野の王子神社の近くの路地を入ったところ。すぐ先には個性派カレーの「堕天使かっき〜」のお店。下町風情溢れまくりの昭和な感じのファザードと同様、店内も昔のドラマに出てくる大衆寿司屋そのまま。カウンター8席と小上がり2卓の店内。記録を調べると私も22年前からこちらに通っていることが判明・・・

昼ご飯が遅かったのでいつものようにコースではなく好きなものだけをアラカルトでいただく。寒かったので白鹿の熱燗とともに河豚皮とアンキモを所望。

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河豚皮は普通な感じ。日本酒をいただきながらぼそぼそと食べているとご主人が「鷺岡さん(私の本名)、最近あなたのブログ見て店に来る人が多いんだよ〜」と東京言葉でのたまう。棚からメモを出して客から聞いた私の名前と職業とブログ名を記したものを私に見せる。指名手配されてるようでビックリ。ご主人がメモを取っているということはそんなには嫌がっていないということであろうと納得する。

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酒蒸しされたアンキモも丁寧な仕事で上品な仕上がりで普通に美味しい。外国産の嫌な匂いは全くしない。甘めの熱燗と相性ぴったり。

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目の前のカウンタ−の水槽には川蟹がわんさか入る。季節によって中に入るものが異なる。蟹のあとは琵琶湖の天然もろこ。そのあとは稚鮎や鱧が泳ぐ。

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富山の島田一雄さんの獲ったもので10匹に1匹しかない大きな雌のみを仕入れると言っておられた。いわゆる松葉ガニのタグのようなものであろうか。川蟹の鍋は前日までの予約で仕込みにとても時間がかかるとの説明。

諸々の話を聞いていないのにご主人から詳しく説明いただく。何度もいただいているのに同じ話は毎回される。知らない振りをして「ヘー」とか言って話を聞く。まず生きた蟹を冷水で締めて失神させる。それをさばいて殻ごとミキサーにかける。それを裏ごして殻をとる。同じ事を3回くらい繰り返して丁寧に身だけを削ぎ落とす。手間をかけて取り出した生身を蟹味噌と卵のついた殻と一緒に鍋に入れて食す。

出来上がりのビジュアルは卵白のような感じ。蟹身は独特のコクと旨みがある。途中で殻や卵から蟹のエキスが出てきてゴボウや豆腐に蟹の味が移り出汁と相まって最高の滋味となる。上海蟹よりも味わいは上品(今年は上質な上海蟹は日本に入って来ないので最近は川蟹の相場も上がっているらしい)

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握りの扉は大阪湾のハリ烏賊。熟成感もあり独特の旨みがある。中に鋳込まれた胡麻の香りが口の中に広がる。塩とスダチを軽くあてているので甘味が引き立つ。

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脂がのりまくりでネットリした鯖の漬けは口の中で溶けまくる。あこうの昆布締めも味わい深い。〆ているので歯ごたえはないが後から甘みが来てそのあと旨味も広がる。刺し身にはそのままでも美味しい高級魚だが寿司には合わない。昆布締めにすることで魚の美味さが寿司飯を通り抜けることを防いでいる。

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しっかり締めた大きな小肌。コノシロのサイズ。これはこれで美味しい。日本酒ととても良く合う。

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カンパチは片面をしっかり炙って紅葉おろしでいただく。ビジュアルもとても美しい。焦げた部分の甘い脂が咥内にまとわりついてそれを日本酒で洗い流す。握りながらも魚の話や東京での修行の話など本当に愛想よく客の相手をされる姿に頭が下がる。出される料理が彼の説明でよりいっそう美味しくなるのは確か。2016-11-27-21-19-44

濃いめのたれでしっかりと煮込まれたハマグリは濃いめの煮詰めが更に上から塗られる。しかし見た目ほど辛くはない。蛤も東京で獲れるものが最高とされていて我々の業界用語で「場違(ばち)ハマグリ」と言われる九十九里や鹿島灘産の外洋性のものはハマグリではなくチョウセンハマグリと貝種が異なるのはあまり知られていない。スーパーで販売されているのは韓国・中国のシナハマグリ。三重でシナハマグリの種を輸入したものを畜養して国産として販売していることも多い。

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名残の鱧は脂がしっかり乗ってふわふわしてとても美味しい。東京の寿司屋では鱧はあまり見かけない。その逆で山口県の寿司屋では産地ということもあり必ず出てくる。条例で山口県の寿司屋は鱧を出さなければならない・・・と決められていると聞いたこともある。

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300gオーバーの大きな鮑を2時間煮込んで作る蒸し鮑。柔らかくて旨味たっぷりで寿司飯とも良く合う。提供する際にご主人が「ウチで一番柔らかい寿司ね〜!」と言いながら出される。この口上も約20年くらい聞き続けているのでほぼ物まねが出来る。(でもしない)

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もう一度鯖の漬けをいただいてから最後に軽く炙られて提供されるこの店のスペシャリティである烏賊の印籠詰め。ヤリイカを使用する江戸前の古い仕事。この仕事についての解説も3分くらいあり世間でよくあるイカめしとの異なりをこと丁寧に教えてくれる。烏賊の胴体とシャリの間に白子が入り、両端はイカの卵が入る。レアに火入れされて甘味を増した烏賊の身とともに卵と白子の味と食感の異なりを楽しむことが出来る。

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酒が残ったので秋唐墨を出してもらう。気分はフレンチのフロマージュのようなものか。当然自家製で手前からヒラメ、鮎、ボラの稚魚。卵の種類は季節によって異なる。まろやかな仕上がりのために冷蔵庫で塩漬けして冷蔵庫で干して冷蔵庫で保管。ここでご主人の唐墨談義が始まる・・・・気楽に美味しい寿司を食べて、価格もリーズナブル。あまから手帳編修の「関西寿司100選」のトップを飾っています・・・

ご主人の 名前は安田豊次、だから「すし豊」。いい店です。。

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
電話:06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日

大阪市 松虫 寿司