たい焼きマニアの私が個人的に大好きで日本で一番美味しいと思っている堺のお店。。たいやきブームも一段落した昨今、堺東駅から徒歩15分という辺鄙な場所にての営業にも関わらず不動の人気を得ておられる。場所は阿倍野筋を堺方面に南下して一条通沿いのスーパー玉出の横の道を入って3軒目。通りに小さな看板があるだけでかなり解りにくい。店内ではご主人が一人で1つ1つ丁寧に焼き上げている。自社の会社の社員の土産や友人に買って帰るんだけど焼きたてを店の前の椅子に座っていただくと悶絶するくらいの感動がいつもある。
お薦めは粒あんとカスタードの2種。この日はいつものように店先の椅子に座って粒あん120円をいただく。
注文を受けてから一つ一つご主人が心を込めて焼き上げるのを見るだけで頭が下がる。焼き上げているあいだ店主の奥さんと世間話。彼女はこのブログの読者さんでもあり、愛想と人柄の良さに触れ、いつも心を温かくして帰る事が出来る。この日はマスクをしておられたがかなりお美しい方でこのような方に接客してもらえるたい焼き屋さんは日本のどこを探してもありえないと確信する。
焼き上がったたい焼きはビジュアルに特徴があり、パリパリとした食感の羽は炭酸煎餅かゴーフルのよう。お腹の部分は薄皮で柔らかく仕上げられ食感の対比が面白い。餡は頭から尻尾までびっしり入る。他の方のブログでよく紹介されるがまさに「3Dたい焼き」のようである。
とにかく一口食べると「ああ生きててよかった・・・」と実感出来る。あんこは小豆の形を残しながらやわやわのフワフワトロトロに仕上げていて齧り付くと熱々のあんこが飛び出すので注意が必要。食べ出すと3個くらいいっぺんにいってしまう。お茶とか水とかはこのたい焼きには全く不要。軽いので水のように食べることが出来る。高級和菓子に匹敵する品質を有する。夜店や屋台のものとは全く別物である。
たい焼きに使用される粒あんは店の奥で十勝産の最上質の小豆を店主が大きなカマで直火で炊き上げる。上白糖だけだと甘さや旨みが不足するのでいくつかの砂糖を混合する。これが企業秘密らしい。確かに出来合いのあんこに比べるとあっさりしているんだけどコクがあって後を引く甘味が長く続く。これは他のたい焼き店では絶対にない。こちらのお店のたい焼きを食すと「他店では無理」と必ず思うはず。
前から凛とした品格が感じられる鯛の姿がずっと気になっていたんだけど、鋳型を作る木型は現代の名工と黄綬褒章受賞された伝統工芸士である市原吉博氏に依頼したものということを知り納得する。
たい焼きの味を形成する要素はあんこと皮しかないんだけどあんこは小豆の種類。炊き上げる水の種類と量、使用する砂糖の種類、炊き上げ方に分類され、皮は小麦粉の種類とブレンド、水とのバランス、その他の調味料、鉄板の成形などに分けられ後は焼き手の技術で決まるのかなと思っている。すべてがしっかりと計算し尽くされて作られている。あと隠し味は店主の人柄とたい焼きにかける情熱かな。
カスタードも必食できちんと作ったクリームを使用。バニラスティックのさやから取り出したバニラビーンズ、無塩バターを使用する。本物の味と香りは他店のものとは天と地ほどの差がある。少しやり過ぎの感もあるがこれがこちらのご主人の矜持である。現在食べログたい焼き部門で9位、全国では104位に位置するがトップに君臨する日はそう遠くないと確信している。
大量注文をするときは必ず電話で予約くださいね。
堺市堺区一条通9-24
11:00~19:00
水曜休み
TEL:072-227-0808(電話予約がお勧め)