弊社が平素お世話になっているデザイン会社女性社長と共に打ち合わせを兼ねて表記の店を訪問。お店は駅から遠くてファザードも店内も昭和な感じなんだけど月曜日の夜でも満席と言う知る人ぞ知る名店。カウンター8席はいつも取り合い。
気の張らない友人と普段使いできて四季折々のホントに美味しいものを最高の状態で出してくれるお店。紹介した友人は皆このお店を好きになる。
この店のお勧めはご主人の人柄。厳選した食材を少しでも美味しく食べてもらおうとするこだわりにいつも脱帽する。最初はビールで乾杯。お寿司の前に肴を頂くんだけどこれがいつも楽しみ。泳いでいるモロコを焼いてもらったり。主人が自分で釣った鮎を焼いてもらったり。川蟹を頂いたり。この日ご主人のお勧めの温かいもずくは有田産。川で穫ったものを冷凍にしてさっと湯通し。真緑に変色したものを卵の入った出汁につけて頂く。香りがとってもいい。。
残ったタレに夏の間に仕込んで冷凍にした鱧のスープ割りをして頂くと違ったテイストが楽しめる。これはよく出来たものと感心。こちらのご主人は銀座の名店の新富寿司で修行をされたとの事。東京の言葉がとっても面白い。銀座5丁目にある新富寿司は昔行ったことがあるけど半茹でにしたえびの握りが秀逸だった記憶がある。
お酒は白雪。こういったお酒が燗上がりして寿司をよりいっそう美味しくさせる。杉の香りが鼻につくがこれは好みがいろいろ。
福岡県合馬産の筍を焼いてもらって食す。真ん中の部分はそのままで姫皮は味噌をつけてアーティーチョークのようにして歯でしがきながら頂く。旬の走りでえぐみは全くなし。
寿司の最初は大阪湾のハリ烏賊。ネタの下に黒ゴマを敷き、イカに塩を塗りスダチを軽くしぼって提供いただく。ハリ烏賊独特のぱりっとした歯ごたえが気持ちいい。
炙った肉厚の太刀魚も脂がのっていてとても美味しい。もみじおろしと塩で食す。
しっかり締められたコハダも日本酒とぴったり。同伴女性社長もご主人との会話も弾み大喜び。
大阪湾のグレは脂がノリノリ。磯魚特有の臭みもなくクリアな舌溶けもあってとっても美味しい。
柔らかでジューシーな煮蛤。濃い目の煮詰めがかかるんだけど見た目よりもあっさりしている。これは江戸前の仕事。
ズワイ蟹の握りはふわふわ。界隈にある冷凍物とは歴然の差。そういや今シーズンは蟹を食す機会がなかったなと考える。
カンパチの握りも炙られていてとっても香ばしい。
この店の名物の一つヒラマサの蕪寿司。この店でこの寿司は味の三段ロケットと言われ酸味のあるサッパリした蕪の味、続いてヒラマサの旨味とコク、そして唐辛子の辛みと続く。主人に「味が三回変わってから飲み込んでね」とい毎回言われる。
鯖は炊いた酒で炊いた昆布で締めるらしい。酸味も柔らかで新発見。これは驚くくらい旨いと感じた。鯖と昆布のハーモニーはかなりハイレベル。青魚のクセやいやな感じは全くない。サバの脂の味がとても上品に仕上がっている。
そして、大将が「ウチで一番柔らかい寿司ね!」と煮あわび。今は珍しくない煮アワビだけど関西で一番最初に出されたのはこの店だと思う。私が若いときには存在しなかったしこんな仕事がある事さえも知らなかった。
烏賊の印籠も江戸前の古い仕事でこのお店の名物。まん中は白子、両端はイカの玉子が入っていて酒がとってもよくあう。これも身、子、白子の3段階の旨さ。サクッとした身の食感と卵のプチプチ、白子の滋味。新富寿司のスペシャリティー。
穴子は塩で食す。表面ぱりっとして中身はふわふわしてとっても美味しい。まるでスフレのよう。完成度がかなり高い。
今日の筍はこれ。と箱を見せて頂く。。福岡のブランド筍。。
この店で一番固いといいながら提供される握りのイクラ。このフレーズもこの店の名物。 岩手県の産卵直前の川に遡上する前の完熟卵にこだわる自家製。遡上したものはいわゆるピンポンいくらとなる。一口で頂くと口の中で暴れまわる。歯で追いかける。ぷちっぷちっと音がするくらいの弾力がある。あんまりこのイクラは他店でいただいた経験がない。旨みはかなり濃厚。醤油ではなく塩漬けしている。この技術が難しい。冷凍することで塩が熟れておいしくなる。
締めは紀ノ川漬けが特に美味しい漬物盛り合わせ。胡瓜に見えるのはズッキーニのぬか漬け。かなり美味しい。
今年で40周年らしい。30周年にも作ったたぬきの湯のみ。これを記念に頂いた。「50周年楽しみにしています」といいながらお礼を言って店を出る。お酒を頂いて一人6000円くらいの会計かな。
大阪市阿倍野区王子町2−17−29
電話:06-6623-5417
営業時間:17:00〜24:00
定休日:木曜日