近畿地区

高台寺 和久傳

ずわい蟹が解禁になったので京都の表記の店に友人と蟹懐石をいただきに訪問する。京都を代表するこちらの店で修行された料理人さんがたくさんの有名繁盛店を作られているため日本料理会の東大と呼ばれている。

私の知っている京都の店だけでも「緒方」「京天神野口」「木山」「祇園丸山」「祇園ろはん」「燕」「ごだん宮ざわ」「はしたて」「ふじやま」など・・・実際はこの数倍の方々が色々な場所で独立開業されていると聞き及ぶ。

こちらの店の歴史は明治3年に丹後峰山町に和久屋傳衛門が始めた旅館が和久傳の始まりと担当の料理人さんが言っておられた。こちらの本店以外にも京都に数店舗ありそちらはすべて何度か伺ったことはあるけどこちらの本店は初めての訪問。

食事まで時間があったので高台寺で夜間拝観をしてから店に向かう。場所は高台寺の下の塔頭の圓徳院の並び、多くの高級料亭が並ぶ円山公園の南側に位置する。

到着すると仲居さんが3人店の外でお出迎え。。昭和27年築の独特の存在感のある建物は日本舞踏の家元の住居だったという数寄屋造り。

お店に入ると足が楽な個室の掘りごたつ式のカウンター席にご案内いただく。この時期の料理はデフォルトのものと別に焼き蟹コースと蟹会席コース(共に66000円)がある。今回は蟹懐石コースを所望。

座付は松の実の入った白湯の様なもの。。お腹を温めると胃の調子が良くなる。

最初に一献。生竹を使った器に入れられた名物の丹後の酒。創業からあるらしい。独特の竹の香りとすっきりした飾り気のない味わい。

今年の初物の香箱蟹。。外子と中に内子、酢ゼリーが鋳込まれている。

2皿目は丹波牛のカツレツ。衣は柿の種を使用。脂分と旨みが詰まった鮮烈な味わい。

かなり大粒の揚げ銀杏。。

本日使用の蟹のプレゼンテーション。1.2キロサイズの活の巨大な間人蟹(たいざがに)。特別なコネクションで産地から直接仕入れているらしい。

煮物椀は10月末に解禁になった猪の肉でとった出汁を使った沢煮仕立て。野趣あふれるビジュアルだけど肉は入っておらず味わいはとても上品。

お造りは昆布締にした河豚の炙り。酸味の効いた柑橘のジュレと一緒にいただく。コリコリの食感がとてもいい。

ここで職人さんが登場して真ん中の囲炉裏にビジュアルも美しい形の揃ったまん丸の備長炭を組み始める。

調理場で先ほどの蟹を解体して丁寧に焼き上げるという趣向。

若き料理人さんが備長炭を使って熾火でじっくりと焼き上げる。部屋を満たす独特の蟹の香りがなんとも言えない。この時期は店のすべての部屋で蟹を焼いていると言っておられた。

蟹は一番太い脚部分から供される。最初は半生状態で、続いて少し強めの火入れで味の異なりを楽しむ。日本酒との相性は抜群なり。。

焼き蟹の殻をよく焼き込んで上から熱燗を注いだもの。ヒレ酒の様な感じで蟹の風味が日本酒に溶け込んで自分が蟹になった気分になる。

続いて蟹味噌の入った巨大な頭部分の殻が登場。時間をかけてじっくりと火入れをする。

中身は蟹味噌と日本酒と少しの醤油だけを火入れしたもの。濃厚なポタージュスープの様な深い味わい。

一見ありがちな料理なんだけどどこにもない突き抜けた美味しさ。。同席した客が「暴力的な美味しさですね」と語っていた。

一口残してもう一度日本酒を注いで次は完全な甲羅酒。香ばしくて美味しくて頭の箍が外れそうになる。

追加料理の蒸し蟹と蟹味噌。繊維も細かくて身がとても甘い・・・・

口直しの芹とほうれん草の胡麻よごし。。こういったちょっとしたものがとても美味しい。胡麻も煎りたて・・・

目の前で時間をかけて焼き上げる和久傳名物の巨大な唐墨餅。唐墨は10月に仕込んだものらしい。雅な京料理とはかけ離れているが美味しさと品の良さは突き抜けている。唐墨の濃厚だけど控えめな塩分とさっぱりした餅の相性がとてもいい。これぞ至福の味わい。餅は今朝ついたものらしい。

大人のげんこつサイズの島根産の巨大赤貝の殻の中にはたいらぎ貝と赤貝の酢の物。貝の美味しさはともかくパンチのある辛味のある酢味噌の味が秀逸。

食事のお供の多種多様の香の物。。すべての塩梅が素晴らしい。

平湯葉の入った味噌汁。。

名物の蟹の身が入った玉〆。味わいはふわふわのトロトロ。糖質制限中なのでご飯はちょびっとだけにする。

奈良県吉野産の大城柿は渋柿の渋を取り除いてから暖かい部屋に置いて熟柿にする。トロトロで上品な甘み。こんな大きくて美味しい熟柿は初めていただいた。

萩焼の茶碗に入ったお薄とともに和栗を使った茶巾。素朴で上品な甘み。食事終了まで約3時間。仲居さんの接遇も適当な距離感があって素晴らしい。

料理は全般的に最高の食材を用意しそれを活かしきっていることに感動。どの料理もありがちな「やりすぎ」がない。これは簡単なようでいてとても難しい。料理盛り付けもすべて引き算の美しさがある。さすが超一流の店と敬服致しました。

京都市東山区高台寺北門前鷲尾町512
電話 075-533-3100

高台寺 和久傳日本料理 / 祇園四条駅東山駅三条京阪駅

夜総合点★★★★ 4.0


カテゴリー 和食, 京都市 |

マサラ庵 Takumi

グルメ友達がお勧めしてくれた奈良の富雄にある隠れ家古民家インド料理店を友人6人で訪問。近鉄難波駅から電車で40分。富雄駅から1.5キロくらい離れた場所に位置する。

昼も夜も完全予約制となっている。

築150年以上の古民家を改造した店内は非常に雰囲気があって広い前栽を渡って店内に入る。これがインド料理とはだれにも分からない外観。
靴を脱いで店内に入るといくつかの部屋ごとにイスとテーブル(座敷ではない)がセットされている。

料理はコース料理のみの完全予約制で価格は以下の通り
・ランチ  2,500円 3,500円
・ディナー 3,000円 4,000円 5,000円

この日は5000円のコースを所望する。。

最初に奈良産の地ビールで乾杯。そのあと自家製豆乳ヨーグルトのラッシーが登場。これで静かに胃を目覚めさせる・・・

インド風の前菜盛り合わせは大きな皿で提供される。生地にスパイスが13種類入ったケークサレとブロッコリーのスパイスソテー。インドの赤レンズ豆のスパイス煮込み。ワカサギのエスカベッシュは普通。スパイスチキンの低温調理したもの。冬瓜の蜂蜜レモン漬け。自家製スパイスロースハムと奈良産野菜のマスタードソース。三輪そうめん山本製パスタと四角豆など。。強烈なスパイス感はないけどどれもが丁寧に作られている。

色々なスパイスが入ってとても複雑な風味の小芋のスープ。中には手長海老の身が入っている。。

熱々の魚介のトマトカレーグラタンには帆立貝が潜んでいる。

魚料理は真鯛のソテーとアサリを使ったインド風アクアパッツァ。これも見た目よりあっさりとした澄んだ味わい。

ピノ・ノワールとシャルドネともに3800円くらいで価格以上の味わい。

メインディッシュはヨーグルトとスパイスに24-36時間程度漬け込んで、最後にタンドールで焼き上げた本格的なタンドール料理。チキン、シュリンプ、マトン、鴨、ヤマトポークなど一つずつお願いして皆でシェアしていただく野菜は奈良県宇陀市のものが使われる。

締めのカレーはこの日は6種類

①朝びき若鶏のゴア風スパイシーカレー「チキンビンダル」
②子羊肉のゴア風スパイシーカレー「ラムビンダル」
③サブジマサラ「季節野菜のカレー」
④朝びき若鶏と淡路玉ねぎのカレー「チキンドピアザ」
⑤エビのココナッツマイルドカレー「ブラウンマラバーリ」
⑥牛頬肉のカレー「ビーフクンビ」

これも全てお願いしてシェアする。

鳥取県のカレー専用バスマティライスとコシヒカリがとても美味しい。小さいナンorチャパティに淡路島玉葱のピクルスが添えられる。どのカレーも癖はなく旨味と様々なスパイスの味わいがとても豊かな印象。

デザートはマンゴープリンなど。とても濃厚で味わい深い。

女将さんの接客もフレンドリーでとても楽しい時間を過ごす事ができた。総じてこちらのお店はインド料理店というよりはインド料理を基調にした創作スパイス料理で辛いものが苦手な人も大丈夫です。大阪から少し遠いのが玉に瑕・・・

奈良県奈良市中町2281
0742-47-160
12:00〜15:00(13:00LO)、18:00〜22:00(20:00LO)
火曜休、不定休あり

まさら庵TAKUMIインドカレー / 富雄駅学園前駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5


カテゴリー 奈良県, カレーライス |

37+1(さんじゅうはち)

奈良県の高田にある表記の店を訪問。阿部野橋から近鉄線に乗って高田市駅まで30分。そこから寂れた商店街を抜けたところに位置する。不思議な店名の由来は不明。若き店主一人で営む。

店内はカウンター席が6席とテーブル席が2つ。コース料理は数種類。今回は8000円の一番高いものを所望。価格の差は食材の差とのこと。

最初の一皿は今が旬の黒豆の枝豆をオリーブオイルでソテーしたもの。そこに麹につけたチーズをかけたもの。枝豆とチーズの相性がとてもいい。

2年2ヶ月かけて熟成させた自家製の生ハムとイチジク。しっとりした舌触りがなんとも言えない。。単純な取り合わせだけど完成度はかなり高い。

釧路仙鳳趾産の牡蠣のバターソテーに胡瓜とオクラの叩いたものをかけたもの。牡蠣の美味しさはもとよりオクラとの相性もとてもいい。

ワインはペアリングでお願いした。この日は全て国産ワインをサーブいただく。珍しいものばかりいただく。

丁寧に火入れした鰆にフィンネルを乗せたもの。薬味は青唐辛子を叩いたもの。ピリッとした後味がとてもいい。

自家農園で作る野菜の盛り合わせ。丁寧にピンセットで盛り付けされる。ソースはフルーツトマト。。こちらのシェフは料理はもとより調味料まで全て自分で作られる。バケットも自家製で糖質制限中だけど美味しすぎて5つも食べてしまう。

かぼちゃのバターナッツと水だけで作ったスープ。体に染み渡る味わい。。

魚料理は南国の赤ミーバイのソテーに玉ねぎのソースを合わせたもの。これも火入れが絶妙でするすると胃に入っていく。

最後は大和牛のヘレ肉。焼いては冷ましを繰り返し綺麗なロゼピンクに仕上げられる。原木椎茸のソテーと赤ワインのソースも秀逸。

デザートも当然自家製。最初の一皿は苦味の効いたティラミス。

続いては濃厚なチーズケーキと旬のぶどうをエスプレッソとともに。。どれもが美味しくて大満足。。シェフとの会話も楽しいカウンター席がお勧めです。

大和高田市片塩町12-11
0745-22-3118
定休日 火曜日、毎月第1水曜日

37+1イタリアン / 高田市駅高田駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5


カテゴリー 奈良県, イタリアン, フレンチ |