私が30年以上ずっと通っている創業50年を超える阿倍野の表記の寿司店を友人と訪問。国道13号線(あべの筋)の松虫交差点を南に200m、路地を東に入った場所に位置する。(チンチン電車の東天下茶屋駅徒歩3分くらいで天王寺からタクシーで1000円くらい)
昭和の残り香が漂う店内はカウンター8席と小上がり2卓のみ。ご主人とご子息、奥さん3人の家族経営。大阪の江戸前鮨のパイオニアと言われるお店でよく雑誌にも掲載される。(テレビ出演は辞退されているとのこと)
こちらのお店のご主人は東京生まれで東京銀座の名店「新富寿司」で修行。しかしながらお店が厳しすぎて1970年、大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で少し修行をして自分でこの店を出したと言う話もかれこれ25回は聞いている。名前は安田豊次、だから「すし豊」。お店はご主人と客からボンと呼ばれるご子息、奥さんで切り盛り。
目の前にある水槽の中には大量の鮎が泳ぐ。ご主人が定休日の木曜日に滋賀県安曇川で友釣りしたものでこの日は80匹釣れたらしい。この時期は金曜日の訪問がおすすめ。
最初に鮎の刺身。脂っ気もあってふくよかで旨みたっぷり。蓼の葉っぱを齧りながら食べてねと言われる。頭や骨は唐揚げにして供される。清酒白雪のぬる燗との相性抜群。
続いてウルカ(鮎の内臓)を合わせた味噌を炙ったものが供される。米粒のサイズで箸で摘んでチビチビとお酒と一緒にいただく。続いて小鮎の天ぷら。皿の上でも泳いでいるように見える。頭部分は唐揚げのようになっていて香ばしい。1匹を3口でいただくのが作法とのこと。
このあとは寿司をおまかせで握っていただく。最初に大阪湾のハリイカ。中に黒ごまが鋳込んでいてとても香ばしい。続いて脂のしっかり乗った天然鯛。大きなコノシロサイズの小肌、強めの火入れと味付けの蛤、片面を香ばしく炙って紅葉おろしでいただくカンパチと続く。
締めたヒラマサを紅白のかぶらで巻いて唐辛子を添えたものは「味の三段ロケット」という名称で「食べてる間に味が3回変わるよ〜」というご主人の講釈と一緒にいただく。
淡路の鱧は梅肉を乗せて、大阪湾のシラサエビ、鯖の漬け、「うちの店で一番柔らかいよ〜」という講釈と一緒に煮鮑が供される。これだけ食べて飲んで一人10000円でお釣りがくる。いいお店です。。
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大阪市阿倍野区王子町2−17−29
06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日