LA視察2016  6月①

6月17日から1週間LAを訪問。7年くらい前から毎年2回くらい渡米して飲食店や小売店を定点観測。日本よりも10年進んでいる食のトレンドや流通の仕組みを学び自社の業態開発のヒントにする。今回は社員を同伴し新業態・新商品開発のアイデアを一緒に考える。

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LAを中心に南カリフォルニアに18店舗を展開するブッフェスタイルの惣菜カフェレストランの「lemonede」。ケールやビーツ、西洋カボチャなど季節ごとの種類豊富な新鮮な野菜を好きなだけ選んで盛りつけていただける。半分に切ったアボカドにフィッシュサラダ(サーモン)を詰め込んだもの(写真)や、赤味噌のビーフシチューなど大胆なシズル感溢れるディッシュも多い。

日本人にはないレシピのサラダがどれをみても美味しそうなのはファインダイニングのトップシェフが料理を手がけているからと聞き及ぶ。メインディッシュは注文を聞いてから作られる。注文方法はトレイをとってサラダを1 種類 (2.75 ドル)、2種類 (5.25 ドル)、3 種類 (7.50 ドル)、4 種類 (9.25 ドル) と何種類盛り付けてもらうかというボリュームをまず決めてからメインディシュやスープやデザートなど好みで選ぶようになっている。

店名にあるレモネードの種類も豊富で、キュウリ&ミント、スイカ&ローズマリー、パイナップル&コリアンダーなどのフレイバーが楽しめる。日本人には酸っぱすぎるかも知れない。こちらのお店は現在、南カリフォルニア大学やロサンゼルス現代美術館、ロサンゼルス国際空港などの施設にも入られていると聞く。

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ずっと前からベンチマークしているテンダーグリーンズはグルテンフリー・ビーガンフードなどを中心に現在25店鋪の展開。今回もいくつかの店鋪を訪問したがどこの店もお客で一杯。店鋪平均売り上げは3億5000万円でコンセプトは1930年代のビーチサイドのコテージ。
店の特徴は各店舗に一人ずつ配置されたエグゼクティブシェフで名だたる有名店の調理人をスカウトして採用しているらしい。メニューを絞り込むこととサーブをなくすことで最高の食材を使った高品質な料理を低価格(客単価15.5$)で提供出来る。

野菜がビックリするくらい美味しい。特にレタスが新鮮なのは毎朝OXNARD農園から取ったものを使用してるからだそう(当然オーガニック)でドレッシングも毎日各店舗で作ってるらしい。

太平洋で捕られたマグロやカジキなどの魚、放し飼いで育った鶏肉、数種類の穀物を食べて育ち、ホルモン・抗生物質を与えられていない数種類の牛肉などのメイン食材にサラダ、ガーリックトースト、マッシュポテトまたは焼き野菜が付く。店内で手作りされたデザートなどのオプションもある。先に会計をしたらトレーに乗った料理を自分で持って席へついて食すという仕組み。

店にあるパンフレットを訳してみると。
1.人と食の関係を考察、何を食べるかを意識することを信条とする
2.食材のほとんどが、Scarborough Farm で毎日収穫されたもの
3.上記の農場にない野菜はその近くのの小さな農場から購入する
4.穀物で育ち、ホルモン・抗生物質を与えられていない牛肉を使用
5.放し飼いで育った鶏を使用
6.太平洋で捕られたマグロを使用
7.その他、オリーブオイルやマスタード、ビネガー、チーズ、ワインなども厳選
8.パンやデザートは店内で毎日焼いたものを使用

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「LAWRY’S CARVERY」は大阪の西梅田にもある「ローリーズプライムリブ」のファストカジュアル業態。

ファストカジュアルというのはファストフードとファミリーレストランの価格と調理時間が中間のアメリカならではの新業態。現在アメリカの外食で一番伸びている業態でもある。 店内で食事を採れるものもあれば、持ち帰りも可能なのが特徴。また価格がファストフードより高いということもあり使っている素材に一定のこだわりがある。

こちらのお店はショッピングモールの中にありプライムリブのサンドウィッチが主力商品。肉汁とワインを煮詰めたソースと世界一のプライムリブの薄切りをパンで挟んだものが看板商品。

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サークジャパンは日本食ファストフードチェーンで最も成功している企業で全米のフードコートに約250店舗展開中。鶏肉の照り焼き丼が主力商品のお店。近年はベトナムにも大展開中と聞き及ぶ。

日本人には甘すぎるタレがアメリカ人の嗜好に合うらしく、醤油とライスと鶏肉と野菜のヘルシーな組み合わせが大受けらしい。中華料理店舗数No.1の「パンダエクスプレス」も味が甘過ぎて私の口には合わないがアメリカ人には大きく支持されている。

鶏以外では海老や牛肉も同じように鉄板で焼かれて一緒に焼いた野菜とともにドカ盛りでオーバーライスされる。店頭で日系人2人が焼きまくる。本社はカナダで経営者は香港から移住した中国人らしい。

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夜にはウォルマート、ターゲットなどの小売店を視察し、食品の比較対象をするためにナチュラル&オーガニック・スーパーマーケットの「Whole Foods Market」を観察する。

こちらのお店は現在431店舗で売上高1兆4000億円。自然食品のお店では世界一の規模。HPで調べるとホールフーズの理念は”Whole Foods, Whole People, Whole Planet(自然食品、健康な人々、健全な地球)らしい

1500坪以上の巨大なフロアにオーガニック食料品マーケット、アレルギーに優しい衣類、自然派化粧品など上質な生活に必要なものをすべて取り揃えている。

いつも進化しているのがPrepared Fare(デリカテツセン)コーナー。多彩なメニューがありピザをはじめとするイタリアン料理、スペイン料理、メキシカン料理、寿司、サンドイッチなど選ぶのに迷うほどの総菜が並ぶ様子は壮観である。どれもがレベルが高く日本のスーパーや総菜店とはレベルが全く異なる。

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好きなコーナーで、好きなものをセルフで箱に詰めたり売り場で注文した商品はキャッシャーで清算した後に店舗にあるテーブルで食することも出来る。
今回は数種類のローストビーフとサラダと温野菜とクラフトビールをもってこの日の夕食とするが好きなものを好きなだけいただけるので満足度はかなり高い。

ワシントンDCのシンクタンクではアメリカの18才以下の子供がいる家庭の40%は稼ぎ頭が女性と言われている。以前から言われる女性の社会進出ではなく家庭の中の大黒柱としての女性になりつつある。そういった一線で仕事をする時間のない女性でもこのような店があれば身体に健康的な総菜を買ってお店で食べたり家に持ち帰ったりすることで豊かな食生活を維持することが出来る。実際に店舗内で総菜を食べている夫婦らしき姿も多かった・・・・

レストラン 海外

堕天使かっき〜【大阪市 東天下茶屋】

地元の友人に紹介いただき表記の店を訪問。

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スパイスカレーの店なんだけど本職はミュージシャンで夜は阿倍野にあるお店、昼はこちらの王子町のスナックを間借りしての営業を続けられている。

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上町線の東天下茶屋駅徒歩5分。すし豊さんの東50mにある。近くまで来たらカレーの香りがするのですぐに判る。店の名前と同様に店構えもパンチがある。普通の人は多分入れない・・・と思いきや店を覗くと満席でした。お店は5席だけでカウンタ−の向こうでかっき〜と呼ばれるご主人がカレーを作る。

メニューは看板メニューの「鯛出汁と鶏キーマ2層カレー」と月替わりカレーの2種。この日の月替わりは「豚肉のキーマとクリームチーズ」。これに鯛の肝や鶏のせせり、ハートなどをトッピング出来るようになっている。

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この日は鯛出汁と鶏キーマ2層カレーをデフォルトでいただく。客層は地元の年配の方が中心。高齢者がスパイスカレーを食べている姿がどういうわけか嬉しい。出て来たカレーは真ん中にチキンスープと昆布の味がするかやくご飯に鶏そぼろがかけられてその周りに透明のしゃばしゃばしたカレールーがかかるという摩訶不思議なビジュアルにビックリ。

一口いただくと鯛の旨みがしっかりとスープに出ている。野菜の旨みも感じられるが甘ったるさは全くなくスパイスがじんわりと後から効いてくる。魚臭さは全く感じない。ドライタイプの鶏のキーマもあっさりしているなかに山椒のような辛さとカルダモンやコリアンダー、クロブの香りに包まれる。混ぜていただくと香りと味が渾然一体となり味に深みが出て食べ止まらなくなる。途中で酢橘を絞っていただくと味わいが変わって楽しい。ご飯やルーに入っている魚介の出汁と醤油がそれぞれの素材をクロスオーバーさせる触媒となっていると推察される。鯛出汁と鶏肉なので重たくもなく後味も軽いのでシニアの方でも美味しくいただけるのであろう。小麦粉も使用していないので膨満感が全くない。

今までのスパイスカレーのイメージが一変してしまうまさに目からうろこのカレーである。胡瓜にワサビとアボガドが添えられてメロンのような味がするピクルスやセンスのいい日本の作家の皿を使用しているこだわりも判る人にはたまらないと思う。時代の流れのスピードを感じさせるこちらのお店はいろいろな意味で業界のニュージェネレーションと確信する。(堕天使とは天界を追放され悪魔になった天使・・・・クールすぎるな。。)

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*店に行く途中で見かけた昆布屋の看板のコピー。夜中も営業すればいいのにな・・・

大阪市阿倍野区王子町2-17-32
06-6387-7771
11:30~15:00
定休:日・月

*今日から8日間LAで外食と流通の視察に行ってきます。しばらく日記お休みしますね。。帰ってきたらアメリカレポートいたします。

大阪市 東天下茶屋 カレーライス

そばがき屋 ぐうちょきぱー【大阪市 東部市場前】

今から17〜18年位前に大正区の泉尾という辺鄙なバス停しかないところで「凡愚」という個性的な蕎麦屋が開業。廃屋のような外観で入り口には大きな犬がいて週の半分は休みで天井は卵ケースでできている意味不明の店だった記憶がある。数年後にマスコミで取り上げられてあっというまに大阪を代表する蕎麦店となる。

驚くような太さの蕎麦を塩で食したりどういうわけか天野酒と早寿司があったり、店のご主人は元カメラマンで奥さんはデザイナーなんだけどいつも自然体で偉そうじゃなくていい空気のながれる空間でゆったりと真面目に作られた蕎麦をいただくのがとても楽しみだった。あまりに繁盛しすぎてここ8年くらいご無沙汰であった。しかしながら昨年8月に和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野という里に移転され新しい凡愚として「あまの凡愚」を始められたと聞き及ぶ。

その大正のお店で10年間ずっとホール担当をされていた女性が東住吉区で関西で初めての「そばがき」の店を始められたと聞いたのでランチタイムに訪問する。彼女は開口一番に「凡愚」のそばがきに魅せられて始めたと言っておられました。

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場所は杭全の住宅街でかなり判りにくい辺鄙な場所。近くにコインパーキングはない。個性的な暖簾のデザインは店名のぐーちょきぱーを表しているらしい。駄菓子屋のガレージを改装した感じで入口のレトロなガラス戸もいい味を出している。気の温もり漂う店内はゆったりとしたカウンターが10席。テーブル席が2つ。

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デザイン性が高くて手作り感溢れる内装は知人の大工さんにお任せしたと聞いたがかなり計算されたカッコいい造りになっている。ドーム型天井が印象的。

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白い壁の店内は趣味のいい絵などがさりげなく飾られる。ちなみにこの絵は昔に凡愚にかかっていたものだったと思う。そばがきは蕎麦粉に湯を加えて加熱して箸やへらで手早く混ぜて粘りを出して塊状にして食す保存食のようなもの。福井県などの蕎麦の産地では子供でも作れるので昔はおやつの定番だったと聞き及ぶ。こちらのお店でも餡やきな粉と一緒におやつとしても提供されている。

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メインのそばがきは醤油でいただくか餡子と黒蜜でいただくかを選び、蕎麦粉のひき具合を選ぶシステムになっている。1番から5番まで選べて、細かくひけばトロトロになり荒くひけばつぶつぶが残る野趣溢れるものとなる。その他にもそばがきを付けていただく鴨汁や出汁巻などのおつまみ盛り合わせなども取り揃えられている。凡愚と同じく日本酒もあります。

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ランチタイムのお得なセットメニュー。選べるそばがきに鴨汁、キャベツの胡麻和え、酵素玄米(発酵玄米)、デセールにそばシャーベットがつく。この日はこちらを所望する。

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食器も陶器は和歌山の作家さんに注文して作ってもらったり、古い朱塗りの器は店主のお母さんが骨董品集めが趣味で揃えられたのを使っていると言っておられた。かなり上質で趣味性が高いものばかりである。

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カウンタ−に飾られる野花も品がいい。しかしながらこの店の若い店主がこの花よりも明るくて快活で存在だけで癒される。

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最初に酵素玄米と漬け物とキャベツの胡麻和えが供される。これをいただきながらそばが気が出来上がるのを見る。酵素ご飯は玄米を炊いて60度くらいで保温をして数日間(この日は7日目と言っていた)置くことでモチモチとした食感となる最近は木村拓哉さん等の芸能人やモデルさんが愛用する健康ご飯でブームとなっている。キャベツは素朴な味で普通に美味しい。昆布に酸味を入れて炊き上げたものや自家製の漬け物はかなり贅沢な仕上がり。

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そばがきは今回無理を言って1番と5番の相盛りにしていただく。どうしても挽き方の違いで味と食感の異なりを見たかったので・・というと快く引き受けてくれた。ヨーロッパ製の電動石臼(ミル)で福井県の丸岡産の丸剥きした蕎麦をその場で挽く。

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小さな手鍋とへらで根気よく練り上げる。そばがきはお椀に蕎麦粉と熱湯を入れて自分で練る椀がきというのもあるがこちらは正統派の加熱しながら水分を飛ばし丁寧に練り上げる鍋がきで蕎麦粉のでんぷんをアルファ化させるので消化吸収もよくヨガなどの健康食として最近は注目されている。

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加熱すると粘りが出てくる。長く捏ねないのでしっかりと風味も残る。たくさんの客でも一つひとつ丁寧に練り上げる。

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出来上がったものを擦りたての山葵醤油でいただく。挽きたてのものをいただくんは初めて。一言で感想をいえばまちがいなく蕎麦の味を上回る。普通の蕎麦は練って切って保管して茹でるあいだに酸化や劣化がすすみ風味が落ちるがこのフワフワトロトロのそばがきは香り・味、共に蕎麦よりもしっかりとした味わいを感じる。山葵醤油を付けることで甘味が更に引き出される。飲込んだあと(10秒後くらい)にフワッとした蕎麦の香りが喉と鼻に抜ける。

時間をおけば少しずつ変成(澱粉化)して固くなってくる。味わいと舌触りも山芋みたいに変化してとても楽しい。

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続いて5番登場。細かな蕎麦の実の舌触りが特徴。女性からの注文がかなり多いと言っておられた。挽きたて調理したてのそばがきをいただくのが初めてということもあって日本酒が欲しくなるが我慢する。これも時間をおけば固くなりお餅のような食感でとても面白い。

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鴨汁は出汁がしっかりととられており凡愚を思い出させる。器の品格の高さもありビジュアルもかなり美しい。そばがきを少し残してかも汁に入れていただくとそばがきの甘味を更に感じることが出来る。

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デセールは蕎麦湯で作ったかき氷が登場。柑橘のコンフィチュールが乗せられる。勿論初めて頂く味わい。

次回は夜に一人で日本酒を飲みながらゆっくり味わう予定。ここ最近のスマッシュヒットのお店です。

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帰りに播磨町の森森舎でオーガニックフルーツを使ったミックスジュースのかき氷850円を食べて帰った。少し酸っぱくてとても美味しかったけど蕎麦湯のシャーベットに負けちゃったな・・・

大阪市東住吉区杭全8-6-4
06-7710-1913
11:30-14:00ラストオーダー
17:00-20:00ラストオーダー
定休日 日・月・火

 

大阪市 東部市場前 蕎麦