友人と表記の店を訪問。阿倍野の王子神社のすぐ近く細い路地を入った昭和な感じの小体な店構え。カウンター8~9席程度と小上がり2卓の店内。いわゆるどこの下町にもありそうな普通なすし屋。
この店普段使いできる四季折々ホントに美味しいものを最高の状態で出してくれるお店として有名。紹介した友人は皆このお店を好きになる。
この日は川蟹を食しにいく。夏は鮎、この時期は川蟹、冬はモロコ・・・とこの店でしか食せないものを求めて3ヶ月に一度は必ず訪問する。ビールで乾杯して蟹の用意ができるまで寿司をつまむ。
最初は大阪湾のハリ烏賊。ネタの下に黒ゴマを敷き、イカに塩を塗りスダチを軽くしぼって食す。独特のぱりっとした歯ごたえが気持ちいい。
適度に熟成されたヒラメ。味がかなり濃い。塩と紅葉おろしとすだちで頂く。旨すぎて声も出ない。
友人はマグロの漬け。私はこの店の名物の一つヒラマサの蕪寿司。この店でこの寿司は味の三段ロケットと言われ酸味のあるサッパリした蕪の味、続いてヒラマサの旨味とコク、そして唐辛子の辛みと続く。主人に「味が三回変わってから飲み込んでね」といつも言われる。
しっかりと〆られたコハダ。旨味もかなり強い。麦焼酎のお湯割りを所望。。「ほんとおいしいねえ」と思わず声に出る。
柔らかでジューシーな煮蛤。濃い目の煮詰めがかかるんだけど見た目よりもあっさりしている。これは江戸前の仕事。
カンパチの炙り。ただ焼いているだけでなく炙ることで絶妙な歯ごたえもありスダチと塩で頂くとカンパチの旨さがより良くわかる。濃い味の後はさっぱり味でとっても美味しい。
鯖は炊いた酒で炊いた昆布で締めるらしい。酸味も柔らかで新発見。これは驚くくらい旨いと感じた。鯖と昆布のハーモニーはかなりハイレベル。青魚のクセやいやな感じは全くない。
軽く炙った脂のよくのった煮穴子はフワフワに焼けていてスフレのように口の中に入れた瞬間ホロホロホロッと崩れる。かなり完成度が高い穴子である。
烏賊の印籠も江戸前の古い仕事でこのお店の名物。まん中は白子、両端はイカの玉子が入っていて酒がとってもよくあう。これも身、子、白子の3段階の旨さ。サクッとした身の食感と卵のプチプチ、白子のトロリ。。凄過ぎ・・・毎回感動する。
カウンターの水槽には川蟹が思いっきり入る。しかし今年で漁も終わりだそうなので食す方は出来るだけ早く行くべし。もずく蟹ともいわれ爪の部分に毛が生えている。これをまず冷水で締める。そして失神した蟹をさばいて殻ごとミキサーにかける。
それを裏ごして殻をとる。。。その身だけを鍋に入れて食す。。凄い手間がかかった細やかな仕事ぶりに脱帽する。
ふわふわの身は独特のコクと旨みがある。海の蟹よりも淡白だけどその分食べ飽きない。出汁の塩かげんはかなり薄いがその分蟹のエキスがよく感じられる。とっても滋味深い。ゴボウや豆腐に蟹の味が移ってたまらん状態になる。
日本酒を頂きながら至福のときを過ごす。グツグツ煮ていると中から油がどんどん出てきて味がどんどん変わる。
最後に甲羅部分の味噌と卵をを齧り付く。。松葉かにの濃厚さは無いがその分上品な味わい。見ただけでかなり旨いことがわかるビジュアル。
ご主人がギャグを飛ばしながらこまめに給仕してくれるのもありがたい。美味しく食べてもらおうと言う気持ちがとても伝わる。お人柄も凄くいい。。。
樽の形をした酒器はとてもいい香りがする。。おかげでどんどんお酒がすすむ。。
甲羅にお酒を入れて飲む。。。こうなったらもう止まらなくなる。いわゆるアル中状態に突入。
最初の出汁はこんな感じ。。
食べすすめていくとラー油状態。。ここまで蟹のエキスが出ることに驚く。まさに魔法の蟹なり。
鍋を完食した後に日本酒のあてに「焼き竹の子」を所望。徳島産と言っておられた。旬のハシリでエグミもなし。まずそのままでいただいて姫皮は味噌を乗せて歯で柔らかいところだけ削り取るように食べると柔らかいとこだけ食すことが出来ると指導いただく。この料理も2度美味しさを味わえる。
冬場の11月から3月だけと言っておられた。。
〆はお漬け物の盛り合わせ。まんなかの緑は胡瓜じゃなくてズッキーニ。バリ旨なり。この日の会計は飲み過ぎな感じで一人一万円。。新地の約半分。値打ちはかなりあるよ。
大阪市阿倍野区王子町2-17-29
06-6623-5417