中津にあるラマダホテル大阪でスイーツだけの究極フルコースが楽しめる晩餐会というイベントがあり早速いそいそと参加する。東京などではこういったイベントは最近大はやりらしい。(とホテルの方が言っていた)定刻に到着すると大宴会場に大きな12名くらいが一緒に座れるテーブルでみんな相席。全員で80名くらいの参加者であろうかほぼ席は満席。結構そのことに驚いた。ほとんどが女性の友人同士。あと数名のカップルと女性の一人客なども・・年齢層も多種多様。私のような中年代表のおっさんも数名いてたのでちょっと安心。。最初にAshley H. Takayama支配人からウイットに富んだあいさつとイベントの趣旨説明とパティシエの紹介をいただいた。特に「日本のスイーツのトレンドやデザートの美味しさの基準という概念を取り払ってください」という言葉に何が出てくるのかとドキドキわくわくであまりスイーツを食べ付けていない私でさえ気持ちの高まりを感じた。 フランスのリジョンから来られたパティシエのニコラ・コフィン氏は現在44歳で1989年にフランスブルゴーニュ地方ディジョンの旧市街にパティスリーとサロン・ド・テをオープンし、ディジョン市でもっとも有名な看板店となった。その後Yssingeau校(フランス国立高等製菓学校)の講師や、アドバイザーなど幅広く活躍。日本でも2005年、2007年に京都や東京でお菓子講習会を実施するなど活躍中。 (以上HPより抜粋) 早速食事がスタートする。食前酒のキールロワイアルはカシスリキュールに辛口のシャンパンが食欲を一層わきたてる。カシスの酸味がもうたまらん・・この食前酒めちゃうまかった。 最初にオードブルの代わりとして「 アミューズドゥブッシュ シャンパンとともに 」写真の右側はクゼールでチーズ生地のシュークリームのクリームなしって感じのもの。左はキッシュロレーヌとラタテューユとチキンの入ったキッシュの2種類。キッシュロレーヌは牛乳と卵とベーコンの入ったトラディショナルなロレーヌ風キッシュ。両方とも一口サイズで全く甘みがなくキールロワイヤルのカシスリキュールの酸味とナイスマッチング。キッシュって見るたびに総菜なのかデザートなのか朝に食べるものなのかそれともおやつなのか・・・不思議な食べものといつも思ってしまう。ホウレン草が入ったりしたのも見たことがある。私どもの神戸そごうの惣菜店「nori-deri」にもすじ肉とこんにゃくを甘辛く炊いてキッシュ生地に載せた「ボッカケキッシュ」も結構そんな感じ。でも確実にファンがついているとも聞いている。 そんなことはどうでもいいのだが、その他にも写真を取り忘れたがオリーブオイルのソルベがあってさっぱりとした後口にオリーブオイルの香りがは鼻腔に残る。。。この感覚は日本料理にはないなと思った。 スープの代わりとして「イチゴのシャルロットヴェリンヌスタイルシャンパンのニュアージュ添え 」夏向きのグラスデザートでいわゆる帽子の形をした焼き菓子なんだけどその中に何層も味が入っていると言っていたがいまいちよくわからなかった。もっと勉強しないといけないと反省。グラスの中はババロアのようなものかな・・ヴェリンヌというカップに何層も盛りつけるのがフランスでのトレンドらしい。透明のカップにご飯→山葵→野菜→牛肉→照り焼きソースといったどんぶりヴェリンヌもあると解説の方は言っていた。ムースにはシャンパンを泡だてたものもかかっており、苦みやボンボンキャンディーの甘みなどがかなり複雑に口の中で暴れまわったのには驚いた。 そしてメインディッシュの 「フルーツのアントルメ フルーツのドレサージュとともに 」はニコラ氏の看板料理らしい。粉の少ないジョコンドは口に入れるとシュワーととけて、なんとも言えないあっさりとした舌触りで、雨の降る今の時期にぴったり。アーモンドパウダーの香りや焼き目の香りもよくわかる。底に敷かれたビスキュイダマンドはサクサクしていてジョコンドのシュワーとした口当たりと旨く絡み合う。 中のムース状のソースと共にみかんヵオレンジの甘くないシロップ漬けとジュレが入っていて、トロトロのサクサクのシュワシュワのアマアマで本当にひと皿でいろんな味が楽しめる。この料理と共に勧めていただいたワインはアルザスのファックフェンハイムケヴェエルツドラミエールキュベバウワー(かなり日本語読み)というアルザスワインでさっぱりとした甘口なんだけどアントルメと一緒にいただくとさらにファンタスティックなまさに素晴らしいマリアージュを感じることができる。このワインはドライなワインが多いアルザスの中でも特に熟した甘味を感じた。ドライフルーツのシロップ漬け(これうちの洋食担当シェフの中村がよく作ってます)や、ライチ、胡椒の香りやバラの花、いやいやもっと香りの強いキンセンカのような実にエキゾチックな香りがした。このワインは原材料のブドウ自身がかなり糖度が高いものと感じた。色も黄金色でグラスに次いだ瞬間からトロトロでマッタリとしたコクがあってなめらかな口当たり。そしてふくよかな甘みの底にある上品な酸味はまるで貴腐ワインを思わせる。 食事の途中でリジョンのまちの説明やニコラのケーキの紹介、現地のブドウ畑などををスライドで見せていただき実に退屈しない工夫がされていた。そのあとリフレッシュメントとして「ニコラ風 レモンのアイスとサングリア」はレモンシャーベットの上にサングリアが。このサングリアがなんとも濃厚。ワインにフルーツを漬けこんでるだけではなくてポルト酒や香辛料がいろいろ入っていてまさにソースになって苦みとともに酸っぱいのとさっぱりと甘いのとワインの風味が混ざりあい簡単な取り合わせなのにこれもかなり複雑な味がした。 次に出てきたのがデザートで「チョコレートのアントルメさくらんぼのエミュルジオン付き」ニコラ氏はカカオ豆に普段からこだわり今回はベネズエラ産で古代のチョコがどうやらこうやらと言っていたが理解できなかった。いわゆるチョコのケーキで中にチョコムースが入っているのだがこれを本人が会場でデモンストレーションとして実際に作っておられた。思わず前に出て行って写真をパチリ。。 ふわふわのチョコのジョコンドの中にとろとろのムース状のチョコが入っていてしかも小さな栗がアクセントで入っていてそれをチョコレートパウダーと板チョコで飾り、そのチョコ尽くしの皿の横に液体状のサクランボの全く甘くないエマルジヨンソースとこれもサクランボを凍らせただけの酸味の立ったソルベがついて交互に食べるとあら不思議・・・甘くて苦くて冷たくて、酸っぱくて、さっぱり、シュワシュワ、トロリンチョまさにチョコレートとサクランボの取り合わせ、相性を追求したような料理。さらに驚いたのはこれに合わせる赤ワインでデザートに赤ワインを合わすのは過去記憶にないが mas amielのモーリーを無言で進められた。ドライフルーツの香りが思いっきりするワインで、チョコレートとの相性抜群。後味がべたつかず、すっきりしていてかなりふくよか。まさにチョコレートに合わせるためにできたようなワイン。造り手はよく知らないが地元ではかなり評判が高いらしい。このワインは特に秀逸であった。 ミグナルディーズは「 プティケーキとマシュマロ、ソフトヌガーモンテリマール」でソフトヌガーも歯にまとわりつくものではなくて結構さっぱりしていた。この取り合わせは日本ではあまり出てこない。。 フランス人はこれでコーヒーを飲むのねと納得。日本の煎茶とせんべいみたいなものか・・いや生八橋との取り合わせに似ているのか・・お土産にとっておきのスパイスケーキ(これも実に不思議な味がした) オールスパイスにクミンのような香辛料が入っていて結構はまる感じ。。あとマカロンも着色していなくて ネットリとした焼き生地は初めての経験。。 何もかも初めての経験で私にとってはイリュージョンショーのような実にファンタスティックでエキサイティングなひと時を過ごすことができた。次回開催も必ず行こうと思いました。。。 代金は6500円プラスワイン2杯分2000円。費用対効果は確実にあると感じた。
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プロフィール
店主 鷺岡 和徳
外食歴40年。家に帰らず食べ歩く店主が綴ります。食べ次第更新中! 大阪・関西を中心に全国、時には海外の現地グルメも投稿。