私の母親が死ぬまでに一度でいいから【フォワグラ】というものを食べてみたいと言っていたので西成の玉出にある表記のお店を予約して訪問する。こちらは1980年代のクラシカルなボキューズやシャペルじょ時代のフレンチがいただけるお店。店内の壁には若かりし頃の肥田シェフのフランス修業時代や辻調理師学校のフランス校や有名店での修行から凱旋帰国してテレビに出まくっていた頃の写真が飾られる。
最初にビールをいただいてアラカルトで好きなものを好きなだけ所望する。
最初はコーンポタージュスープ。普通のものが普通以上に美味しいのが嬉しい。
スープとともに豊中の有名店「boulanger TAKEUCHI」のパンと特製の豚肉のリエットが登場。
ワインに切り替えて今回の訪問目的のシェフのスペシャリティーのフォワグラのテリーヌをいただく。お店の名前が入った専用の壷に生のフォワグラを入れて低温で焼き上げ大きな専用のスプーンで刮げとる。まったりとした濃厚な口当たりのレバーにはアルマニャックかポートワインのほんのりと甘いお酒の香がする。白ワインとともに添えられたドライ無花果を間に挟みながら母親とフォワグラ料理を四方山な話をしながら楽しむ。
低温で焼き上げた添加物を使用していない自家製ハムには無塩バターが添えられる。滑らかな舌触りとローズマリーの香りのあとに豚肉の旨味が口一杯に広がる。これはピノノワールと一緒にいただく。付け合わせはオレンジ風味でレーズンが入った人参のサラダと根セロリのサラダ。
サーモンマリネはほのかな甘味のトマトのソルベが添えられる。リオンのレストランで出される古典的なメニューであると以前仰られていた。脂はしっかり乗っているけど水っぽくないサーモンに温度差の異なるトマトソルベをソースとして使う。この料理はこちらのお店で初めて頂いた。何度いただいても「美味しいねえ〜」と声に出る。
メインディッシュは小鯛のじゃがいも鱗焼き(いわゆるメダリオン)でポールポキューズのスペシャリティ。団体で予約をすれば大きなヒラメで作っていただけると聞いたこともある。
ウロコに模したじゃがいもがパリパリしてとてもいい食感。鯛の身はふわふわでかなりデリケートな火入れが必要と思われる。塩分の立ったソースはブールブランですかと聞いたところ全く異なる知らない名前のソースだった。。でもビックリするくらい好みの味で濃厚で皿に残ったソースもパンにつけてすべていただいた。
白子のソテーには焦がしバターとタップナードのようなものが入ったソース。いまどきのフュージョン系のぼんやりフレンチにありがちな中途半端な味付けはこの店ではあり得ない。エッジの効いたテイストは酸味や塩分がしっかりと立って、本場のフレンチを食べている気になれる。
牛すね肉の赤ワインソースは全く煮くずれていない肉のかたまりにナイフを入れるとふわふわにほどける。これは高度な技術を必要とされると推察される。あっさりめのシラーとともにワシワシいただく。このソースだけをご飯にかけていただきたいといつも思う。
ワインが残ったのでいつものように青カビフロマージュを所望。食後は800円でデセールのワゴンサービスをしていただける。しかしながらお腹がはち切れそうだったので次回のお楽しみにする。帰りは記念写真を撮っていただいて帰路につく。シェフが忙しいのに寒空の中で私たちが見えなくなるまで見送っていただく。
小さなお店なので予約が必須。カウンタ−でシェフと料理の話をしながらいただくとよりいっそう食事が楽しめます。
帰りに乗った車はビリケンタクシー。大阪の幸運の神様であるビリケンさんをモチーフにしたタクシーで大阪府下全部で2万台のタクシーの中で39台。乗れる確率は500分の1らしい。運転手さんが「見たら小吉、乗ったら大吉」と言っていた。
乗車記念カードもいただいた・・・(でも失くした・・)
大阪市西成区玉出中2-13-31
06-6651-9568