最近つとに予約が取れないと言われる表記の店で会食。場所は北浜駅1番出口上がってライオン橋(難波橋)を北に渡ってすぐの場所に位置する。白い壁が特徴の瀟洒な佇まい。店内も白を基調とした内装で、明の時代のものと以前聞いたクラシカルなローボードをはじめとするインテリアや趣味のいいシャンデリアがいい空気感を醸し出している。カウンター席6席、テーブル席12席のこじんまりしたお店。以前はカウンタ−でいただいたが今回はテーブル席を希望する。
一口ビールをいただいて最初は前菜の小皿登場。まず真ん中は特製蒸し鶏の四川風。いわゆる「よだれ鶏」と呼ばれるもの。蒸し鶏の上に載るソースはコクのある醤油、黒酢、香味野菜、数種類の唐辛子等が入りかなり複雑な味で香菜も柔らかで品のある香り。多分国産のものであろう。鶏肉の火入れも完璧。真空低温調理であろう。
水ダコと茗荷の花山椒とネギのソースはこちらのお店の定番もの。クラゲの酢の物も下味がしっかりついて口によく合う。お酒や様々な調味料で下味をつけ真空低温調理で仕上げた(と思う)ガチョウのフォアグラは感動的な柔らかさと味のふくよかさで飴炊きナッツが添えられてる。軽く薫製にしてジャスミン茶で蒸し焼きにした鰆もパンチのある味でホロホロの柔らかさ。焼肉(ショウヨ)といわれる豚三枚肉のプリスピー焼きは無花果を合わせる。肉は柔らかで皮はパリパリして紹興酒といい相性。
大根餅には貝柱も入っていて一口齧り付くと旨み全開。辛子が練り込まれてあってピリっとした辛さも感じられる。上に載るソースは酸味があって合わせていただくとかなり複雑なお味。
空芯菜の炒めは下処理もしっかりされていて嫌な癖や繊維が残ったりすることもない。ニンニクは入っておらず出汁の旨みがかなり秀でている。鶏でとった上湯だと思うが脂の溶けた旨みと香気がとてもいい。メイラード反応の香りも香ばしい。鰹は使っていないとがよく似た香気のある金華ハム(と思う)のアミノ酸の旨みも感じる。酸化した油の香りも混ざってあっさりとしながらも複雑な味を醸し出す。
8年ものの瓶詰めから甕出しの紹興酒にチェンジしてこの日特別にお願いした活オマールのチリソースをいただく。
こちらのご主人が修行されていた空心のチリソースもこんな感じだった気がする。濃厚で旨みがたっぷりで香ばしくて何ともいえないご飯か花巻パンが欲しくなるテイスト。オマール海老の火入れも完璧でプリプリのシコシコで食べ応え満点。海老中毒の私は大満足。
ワインはイタリアのマシエリ2014。さっぱりして爽やかで軽やかでグイグイ飲めるミネラルなタイプ。
こちらのお店のスペシャリティーの黒酢の酢豚。ソースがエロチックに黒光りしていてみるだけで美味しそう。ブロック状のバラの三枚肉をトロトロに柔らかく調理してからカリッとサクサククリスピーに揚げられて、濃厚だけど角の取れたバランスのいい酸味の黒酢がしっかりとかけられる。付け合わせの低温長時間蒸し玉ねぎも甘くて美味しい。
名物の四川式麻婆豆腐は髪の毛が逆立つ辛さが後から追いかけてくる。香りの強いラー油としっかり痺れる花山椒が効いていて(けっこう好み)、食べ進むと干し貝柱の旨みも感じるのと麻と拉のバランスがとてもいいことに気づく。
〆のチャーハンはかなりパラパラ。油っぽくないのが不思議。インディカ米を使っているが独特の嫌な香りは全くない。ご主人の奥さんとその妹さんがかなり美しい。お二人の息のあった接遇とホスピタリティーにうっとりしてしまう。
更に汁そばを所望。超細麺と塩分高めだけどあっさりと仕上げたスープは〆にぴったり。香菜がとてもいい仕事をする。
デセールは胡麻団子か杏仁豆腐。杏仁豆腐の上に甘夏の果汁がかかる。さっぱりしてお腹すっきりごちそうさまでした。帰りはきちんとお見送り。お見事でした。
大阪市北区西天満1-6-4
06-6366-0055
17:30~21:30LO
日曜休み