ランニング合宿で今回お世話になった櫻池院さんは1100年代に、 白河天皇第四皇子覚法親王によって作られ今の本堂の建物は当時のものが現存しているらしい。
高野山の中では大門の方に位置し、伽藍や霊宝館(宝物館)に近く、 朝夕の散歩に最適のロケーションにある。 こじんまりとした建物は落ち着いた宗教的雰囲気を失わず提供される精進料理は、季節によって内容を変え、素材の味を大切にしているとの説明。
ランニングのあと大浴場で汗を流しお楽しみの精進料理を食す。スペインやイングランド、オーストラリアから来られた外国の方も一緒に大部屋で相伴する。
朱塗りのお膳に並べられた食事は質素であるがしっかりと手がかかった贅沢なもの。粟麩と蓬麩の田楽や栗の渋皮煮、菊花大根など料理店顔負けの献立が並ぶ。
私どもも仏事料理の専門店を経営しているがここまで本格的ではない。仏教では僧は戒律五戒で殺生が禁じられており、大乗仏教では肉食も禁止されたため、僧への布施として野菜や豆類、穀類を工夫して調理した料理が精進料理といわれる。
精進料理は食べる人を心からおもてなしし喜んでいただくために旬の素材を使い、そして大切な食材を無駄にしないように丁寧に、手間を惜しまずつくられる。
故に食べる側もつくってくれた人、食材に感謝しながらいただく。
高野豆腐と野菜の炊きあわせや精進揚げ、茄子の煮浸しや卯の花など御馳走が並ぶ。隣のスペイン人は器用に箸を使いながら最初のうちは正座ながら食していた。
丁寧に真心をこめてつくられているのは食せばわかる。見た目にも美しく栄養のバランスに優れた精進料理は外国人にはヘルシーフードとして写るのであろう。
お酒は般若湯とよばれビールは泡般若と言うらしい。仏教では食も修行の一貫として考えられる。お酒を飲むのも修行のうちと少しこの日も飲み過ぎてしまう。
夜は役僧の方が近くにあるライトアップされた金剛峰寺(こんごうぶーじと読むらしい)や大伽藍を案内してくれた。6時半から本道での勤行に参加。外国人も正座で一緒に般若心経を読む。「高野山は祈る場所で京都は観光する場所」との英語での住職の解説のあと皆で阿字観をする。真言宗に伝わる瞑想法で真言禅とも呼ばれてるらしい。いわゆるメディテーションで自分の心と向き合い心の中にある仏と話をするんだけどなかなか難しい。
この宗教体験には外国人も大喜びのようであった。
勤行のあとの朝食もとても美味しい。身体が浄化されて行くのを感じる。清潔な部屋に厳かな雰囲気と健康によい精進料理。料金は11000円でかなりリーズナブルと言うかコストパフォーマンスに優れる。
積雪のある時期や紅葉の季節もいいと思うな。
和歌山県 伊都郡 高野町 高野山 293
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