長居

又三郎1月

月末に大阪ハーフマラソンに出たランニングチームの友人の慰労会を表記の食べログ大阪焼肉部門ナンバーワンに長年君臨する表記のお店で行なう。コースを何度も試走してしっかりとコンディションを整えて,炭水化物を沢山摂取して、綿密にいろいろな計画や対策をして準備万端で望んでも結果が伴わないのがマラソンであることを私は身を以て知っている。しかしながらそこにマラソンの醍醐味があるのも確かである。ハーフマラソン応援後に大阪国際女子マラソンのゴールを長居競技場で見る。福士さんのウイナーならではの輝きは、マラソンの辛さや悲しさを知っている私の目にかなりまぶしく映る。

今回はこちらのお店のオーナーの荒井世津子氏(通称せっちゃん)の特別な計らいで大阪ハーフマラソンスペシャル熟成肉コースを大森シェフに仕立てていただく。

2016-01-31 17.27.51

開店時間とともに訪問したらミーティング中。オーナーの気合いはいりまくりの叱咤に店内の室温は−3℃を記録する。

2016-01-31 17.29.18

いつものようにエントランス横の熟成冷蔵庫には山のようないろいろな部位の枝肉が熟成され食べ時を迎えるまで静かに寝かされる。

2016-01-31 17.29.23

熟成肉焼肉のパイオニアである荒井世津子氏は魔法のレストランで特集を組まれたり各種メディアや雑誌などに出まくり状態の超有名人。現在は睡眠時間もままならないと聞き及ぶ。ガイヤの夜明け出演のオファーもあるが断り続けているらしい。しかしながらミーティングでの鬼の形相とはうってかわり、お客様の前では当位即妙な受け答えと後頭部にある第2の目を使った気配りは比類なきおもてなし感を醸成する。

2016-01-31 18.04.55

今回のハーフマラソンでは参加者全員が自己ベスト更新。お祝いの乾杯はルイロデレール。朝からずっと応援してたので喉もからから状態。仲間のランナーが両足の痙攣のため目の前で転倒。競技中の倒れた人を助けたり触ったりしたら失格になると言うのも真剣勝負ならでは。マラソンの残酷さを目の当たりにする。フラフラでゴールする友人と福士選手の万感の笑みを浮かべたゴールとの対比がまぶたに焼き付く。

2016-01-31 20.52.24

福士さんのインタビューもサービス精神満点で青森弁を使いながら喜びをぶっちゃける姿に心を掴まれた。・・・とか言うような話をしながら皆でお酒を楽しむ。

2016-01-31 18.07.10

いつものようにオーナーからこの日に焼かれるお肉のプレゼンテーション。手前の脂が真っ黄色の肉は経産牛のモモ肉部分。長年の苦労が脂に出るのねと納得。それをフライパンで揚げ焼きにしていただくのと山形産の和牛の「クリ」と呼ばれる前足部分の炭火焼を食べ比べする趣向。

この日も一番いいコンディションの肉を選んでいただきそれを一番美味しくいただけることをいつも真剣に考えられる。食材も和牛価格が高騰し、いい肉が手に入りにくいなかでも常に理想を追い続け熟成に向く肉を一頭買いされる。

誰にも媚びず自らの審美眼とセンスを常に磨きフレンチやイタリアン、中華、和食の有名店をいつも観察し進化し続ける荒井オーナーの姿勢にはいつも感服する。

2016-01-31 20.54.02

肉を焼いている間に前菜が登場。パルマ産 生ハムは高級苺と一緒にいただく。シャンパーニュとの相性はバッチリ。自家製コンビーフと熟成肉と豚肉を使ったソーセージ。ペコリーノとパプリカのジャムなど。牛を一頭買いしているのでステーキや焼肉で使用しない部位は前菜やスープに使用される。どれもが手がかかっているので頭一つ抜きん出た美味しさ。

2016-01-31 18.09.02

2つ目の前菜はサーモンマリネの入ったシーザーサラダ。ケールと芽キャベツの間の子みたいなプチヴェールの食感がとてもいい。辛口の濃い目のムルソーと一緒にいただく。パルミジャーノもかなり上質。

2016-01-31 18.37.55

フライパンで揚げ焼きにした経産牛がカットされて登場。この辺りのワクワクするプレゼンテーションも素晴しい。

2016-02-01 09.39.35

付け合わせは焼きリンゴに胡桃とサワークリームを乗せたもの。これも目の前で切り分けてサーブされる。テーブルの周りに甘い香りが立ちこめる。特別感満載でかなり嬉しい。

2016-01-31 18.38.45

大振りにカットされた肉はナイフを使わずに齧り付く。ガシガシとした肉質なんだけど噛めば噛むほど味がある。焼きリンゴの甘酸っぱさが口をさっぱりさせてくれる。赤身肉なのでいくら食べても食べ飽きない。

2016-01-31 18.34.07

肉に合わせるワインはいつもいただくカリフォルニアのオーボンクリマ<Au Bon Climat>複雑で豊かなピノノワール。果実の酸味とタンニンも程よく効いて熟成肉ステーキにぴったり。花やフルーツ、樽の香りの余韻もあってとても上品でエレガントな印象。ジャケットもとてもかわいい。

2016-01-31 18.10.43

続いて和牛クリ部分をオーナー自ら焼いていただく。こちらのお店の代名詞となっている熟成肉を一番美味しく食べてもらうために長居年月をかけて編み出したアルミホイルで包みながら強火で3回に分けて肉にストレスを与えないで余熱で火入れする方法はオーナーの人柄同様で肉に対しての慈愛に満ちあふれている。焼きながら場を盛り上げる技術は吉本の芸人も勉強になると言うほどのレヴェルである。

2016-02-01 09.39.31

ブロッコリーのスパイス焼きとともに厚切りで切り出されて登場。最初の第一印象が絶対的なのでどこも真似の出来ないインパクトのある一皿となる

2016-01-31 19.02.39

再度サーブされて登場。大きくナイフでカットして頬張ると茶豆のような熟成香とともにアミノ酸が凝縮したほとばしる肉汁と肉の旨みにいつもながらノックダウン状態になる。

こちらの部位は食感がしっかりなんだけど口当たりが優しくて柔らかな脂分を感じる。これはソースではなく生の黒胡椒と塩でいただく。2種類の肉と焼き方の異なりを比較対象し脂の量や口溶け感、熟成香の濃淡、味の違いを楽しむのはかなり贅沢でこちらのお店でしか出来ないと思う。

2016-01-31 19.42.10

デセールのプリンはパティシエのスペシャリティ。

2016-01-31 19.42.15

デザートはオーナがいつもこだわりまくっていて常に進化しまくりチエ子状態。

2016-01-31 19.42.18

普通の焼肉もあるけどこの店では熟成肉を食べまくることをお勧めしたい。熟成肉ブームで同じようなものがあるけどこちらは唯一無二の本物と断言出来る。予約を取るのは至難の技だけど平日の早い時間なら比較的予約しやすいと言っておられました。

大阪市住吉区長居2-13-13長居パークホテル1F
TEL 06-6693-8534
予約必須
11:30〜14:00
17:30〜23:00」


カテゴリー 長居, 焼肉 |

スタンド又三郎 エピソード2 店主の覚醒

表記の店を訪問後オーナーの荒井世津子氏から以下連絡があり・・・

*明日22日にシェフの大森君、高見君、小野田君と私(一人、素人参加)で、「ステーキスタンド又三郎のランチ」のコンペをすることになりました。
現在はクリスマスディナーなどやること満載だけど「必要と思ったら、即やる!」時間やタイミングは待ってくれないし。それぞれが思う「ステーキスタンド又三郎のランチ」を作ってプレゼンします。

今は「ステーキスタンド」と銘打ちながらも・・・、料理も接客もチマチマとしていて気に入らない。素人の厚顔無恥で「チマチマ感」を打ち破るプレゼン考え中。
こんなことをし乍ら「ステーキスタンドをどんな店にして行こうか?」とみんなで考えられるようになればもっと楽しい・・・

とのことで午後からコンペ開始。

2015-12-22 14.14.09

最近ランチの時にだけヘルプに来る小野田さんの作品の前菜は蕪のスープと焼いたアボガドに生ハムをあしらったもの。寒い冬にはぴったりの商品。

2015-12-22 14.22.35

メインは蓋付きの小さな小鍋で供されるタンシチュー。喉のゼラチンのついた部位を煮込んでいてごりごりした歯触りも食べ応えがあって楽しい。「手早く提供出来るのがいいね」と評するオーナーの眼差しは厳しかった。

2015-12-22 14.24.15

この日のコンペの内容。。まずは絵コンテを起こして実際に試作。試行錯誤をしながら完成させてもさらにブラッシュアップをかけて商品をピカピカにする。

2015-12-22 14.41.31

「お客様の立場で考えなさい!!」「調理場ではなく客席から料理を見なさい!」とトムフォードの眼鏡をかけたスーツ姿のオーナーから叱咤の声が飛びまくる。

2015-12-22 14.39.43

それぞれが作った商品を「誰に対して」「どのような場合に」「どんな提供の仕方で」「お客にどう感じてもらうのか」などをプレゼンする。「このプレゼンすることが大切なの」とのオーナーのお言葉。。まさにその通りなり。

2015-12-22 14.33.28

荒井オーナー考案の熟成肉ハンバーグとタンシチューのアソートしたもの。目玉焼きは出来立てシズル感の演出効果と言っていた。

2015-12-22 14.37.55

高見君は前菜のみのトライ。パティシエらしくガレットを焼いて上にチーズと生ハムを合わせる。ガレットが日本人になじみがないのが難点かもしれない。

2015-12-22 14.38.31

本店シェフの大森氏の献立は前菜に生ハムとインゲン。これはいたって普通なり。

2015-12-22 14.33.46

ルクレーゼのココット鍋で供されるのは大きな塊で煮込まれたキャベツと熟成肉の入ったソーセージ。いわゆるポトフを鍋のグツグツ感を活かして提供しようと言う考え。

2015-12-22 15.16.30

見た目はこんな感じ。特にどおってことはない・・

2015-12-22 14.38.24

豪州産ステーキをマリネしてフライパンで焼き上げたステーキ。特製ソースで食す。個人的にはこういった赤身肉をモリモリとバシバシと食したいと思う。ソースや薬味で変化をつけることが出来れば食べ飽きないかなと思う。しかし界隈でこういった外国産のボリューミーなステーキは掃いて捨てるほどあるのでこちらのお店がどうやって上質感を提供出来るかがポイント。。

「作る立場から食べる立場に」私どものお店でもしょっちゅうスタッフに申し上げているが実行して形にすることは至難の技である・・・超一流の又三郎さんでもここまで取りくんでおられることに頭が下がるとともに自社でも日々を新たに商品を磨き上げなければならぬと再確認させていただく素晴しい機会であった。


カテゴリー 長居, 焼肉, レストラン |

スタンド又三郎 12月

先週の日曜日の練習会のあと長居にある表記の店でラン友とランチをいただく。すぐ近くにある食べログ大阪ナンバーワンのタイトルホルダーである本店の「又三郎」は熟成肉のパイオニア的なお店で土日は半年先でなければ予約が取れない状態が続く。外国人富裕層の利用率も高く毎日4組くらいは外国人の客が来ると言っておられた。こちらのスタンド店はカウンタ−席があるのでひとりや少人数でおいしい肉をさくっといただきたいときにぴったりなので個人的にヘビーユースする店の一つ。

2015-12-22 14.08.49

ピカピカに光るショーケースには熟成された精肉や手作りされたお菓子などが並んでおりテイクアウトの客に大好評と言っておられた。外観も内装デザインもニューヨークのカフェのようなたたずまいで店主の荒井世津子氏の美意識の高さと審美眼にいつも敬服する。

2015-12-22 14.12.21

お店はカウンターとテーブル席で10席余のこじんまりした感じ。店の半分以上をオープンキッチンが占めるのがとても贅沢。お店の入り口には「ステーキスタンド又三郎は、大人が寛ぐ空間にしたいと思っております。誠に勝手ですが、小さなお子様を連れてのご飲食は又三郎本店をご利用くださいますようお願い申し上げます」という看板がかかる大人な店。

エントランス横にある巨大な熟成庫には大きな肉の塊が部位別にドライエイジングされている。界隈の熟成肉を看板に出している焼肉店では真空包装されたものを冷蔵に保存しウエットエイジングと称して営業されている店を良く見るがこちらの店と同じように扱われてしまうのはあまりにもかわいそうである。しかし客は心得たものでその辺りはきちんと理解した上で来店し本物を味わうために高額の対価を支払う。

この日は熟成肉が一部入ったハンバーグ(180グラム)のランチセット2800円と和牛サイコロステーキランチ2000円を所望する。どちらもランチの価格としては破格である。

2015-12-21 09.37.33

前菜盛り合わせ(写真は2人前)は生ハムとマスカット、カプレーゼ、自家製コンビーフ、熟成肉を使ったソーセージ、キノコのマリネなど。どれもこちらのお店のポリシーを感じるしっかりしたものばかり。

2015-12-21 09.37.08

白菜のスープはとても優しいお味。カラトリーはお約束のラギオール。お店は本店でパティシエも兼ねる高見シェフが切り盛りする。

2015-12-21 09.37.20

じゃがいものグラタンはグルニエールのチーズが入る。寒い季節にぴったり。こういった普通のものがとても美味しい。

2015-12-21 09.37.41

パンパンに膨れた美しいビジュアルのハンバーグは和牛ミンチの中に熟成肉の塊がゴロゴロ入って噛み締めると茶豆のような熟成香が口の中いっぱいに広がる。牛肉だけのハンバーグだけど思ったよりもあっさりした食感となっている。肉の滋味がしっかりと感じられてソースや薬味は不要なハイバランスで上質な仕上がりとなっている。

2015-12-21 09.37.45

サイコロステーキは黒毛和牛の様々な部位をアソートしたもの。界隈にある外国産や端肉ではないところがこちらのお店の矜持を感じるところである。和牛独特の甘い脂が噛み締めると口一杯に広がる。あまり多いポーションではないのに半分くらい食べるとお腹がいっぱいになってしまった。

サラダもドレッシングをきちんとトスして仕上げる。全く手抜きがないために提供時間がかかるのは玉にきずであるがそれは美味しいものを食す場合にはしょうがないことと理解すべし。食べログ評価では高得点のこちらの支店なんだけどオーナーは更なる進化を目指すと断言。この志が超繁盛店の秘訣なり・・・・

大阪市住吉区長居2-9-14
電話番号 06-7506-7826
月曜、木曜定休


カテゴリー 長居, 焼肉, レストラン |