ワッシーズダイニングスープル【大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘】

四天王寺のワイン専門店「Wine Store Wassy’s」直営のレストランを友人と訪問。ワインの品揃えとそのコスパは大阪では比類なし。中之島ダイビルにも最近出店。1階にワインショップがありそこで購入して持ち込んでも抜栓料が2000円と言っていた。土日はもちろん平日も満席になることが多いのでこの日は開店のタイミングを狙って伺う。場所は四天王寺夕陽ケ丘駅から徒歩2分くらい。オーナーが鷲谷さんなのでワッシーズと言う名前らしい。私は鷺岡なので「サギーズ」かとひとりごちする。

1階のワインショップの横のエレベーターで3階にあがる。入って右側にテーブル席があって正面にカウンター席。厨房を見ながら食すことが出来る大きな1枚板のカウンタ−席もゆったりしているので個人的にはお勧め。

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お始めはテタンジュ・ノクターン・スリヴァーの限定ボトルをすすめていただいたので所望する。辛口のシャンパンもいいけどフルーツの芳醇で繊細な香りと熟成した旨みが乗った滑らかでまろやかな味わいはまさに夜想曲。泡も柔らかで余韻も長くすっきりしすぎないのがいい。最近よく見るものだけどショパンのノクターンのように何とも言えない脱力感と神経を麻痺させるような無重力感を感じさせる味わい。

こちらのお店はコース料理もあるけど個人的にはアラカルトがお薦め。この日は好物のオマール海老と鴨肉をメインにしてサイドメニューとお酒はすべてお店のスタッフにお任せする。

最初から最後まで同じワインだと上質なものでも飽きがくるので最近は事前に申し上げて食事にあう上質なものをグラスで所望するようにしている。

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最初のワインはトレフェッセン・エステート・ナパバレーのドライリースリング2014を季節の野菜のサラダ1300円とともにいただく。酸味と果実味がしっかりしたリースリング独特の香りのすっきりドライな口当たり。和食にも合うであろう飲みやすさが特徴。あまり冷やさないのが個人的には好み。料理との相性はさすがである。

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皿の中身はハヤトウリのアンチョビソース、トマトのジェノベーゼ、黄人参のマリネ、クスクスと雑穀のサラダ、重茂の昆布、胡瓜のミント風味、紅心大根のマリネ、黄金芋とリコッタチーズのサラダ。しっかりと手をかけられていて素材も上質でとても美味しい。

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好みで自家製のワイン塩をつけていただくことを薦められたが不要であった。

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こちらのお店でずっといただきたかったスペシャリティの「トリュフのスクランブルエッグ2400円」を所望。つい最近、総料理長の岩田勝己シェフが自ら産地まで訪問してトリュフ市のセリで買い付けた、今が旬の新物と言っていた。フランスのオプスで現地価格1キロ10万円くらいと聞いたことがある。

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私はトリュフ中毒なので追加料金2000円を払ってトリュフを倍増していただく。こういったシンプルな料理ほど素材感が際立つ。スクランブルエッグの熱でトリュフの香りが器の仲で爆発する。卵のなかにも細かく刻まれて入っているので口の中がトリュフの官能的な香りに満ちあふれ、鼻腔を通って脳幹を刺激する。かなり贅沢な味わいに気を失って卒倒しそうになる。卵や生ハムなどとの相性は素晴しく良い。これぞまさに大人の味わい。

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これに合わせていただいたのがジュエルゴット・ピノノワール2013。サンタバーバラとモントレーの2つの畑の葡萄をブレンドしたもの。バランスもよく果実味に溢れた味が主張しすぎないソムリエールのナイスセレクションの佳品。

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活オマール海老のまるごと一匹ロースト マンゴーソース 4200円は石釜で高温で一気に焼き上げる。火入れは完璧なんだけど海老のサイズと身が痩せていたのが残念・・・料理はどれも優しい味わい。

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この料理にはナバロヴィンヤードシャルドネ2012を合わせていただいた。エレガントだけどピュアな味わい。しっかりとした果実味とコクがあり甲殻類にドンピシャ。スタッフの方は全員ソムリエさんなのでワインのことならなんでも知ってらっしゃるのが素晴しい。ワインの品揃えは常時1000種類らしい。バケットはお店の近くの有名なブーランジュリー・パリゴさんんもの。

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鴨ロース肉は塩だけで味を付けたものを普通にカットしたもの、超厚切りで噛み締めて食べるものと3種の形でプレゼンテーション。岩田シェフがわざわざ出てきて説明いただく。ソースは定番の根セロリ。あしらえの金柑と鴨肉がいい相性を見せる。

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これに合わせていただいたのが ナバロ・ヴィンヤード・ピノノワール2012とクロデュヴァルピノノワール2013。双方を飲み比べするとナバロンは予想とは異なり少しクセのある香りと味にびっくらポン。かなり個性的でベリー系の味なんだけどかなり複雑な味わい。クロデュヴァルはナパバレーによくある渋みも少なくまろやかで酸味のバランスも良くてとても飲みやすい。樽香もしっかりと効いていて味わい深い。味の違いがとても面白い。

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この日ソムリエール一押しのスターレーン・カベルネソービニオン・ハッピーキャニオン・オブサンタバーバラ2010をチーズと一緒にいただく。もちろん今までいただいたことのないもの。カリフォルニアワイン独特の繊細な香りとかなりスパイシーかつコクと旨みが凝縮されたフルボディの熟成されたもの。

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特別に出していただいたチーズはシェフがハンドキャリーで持ち込んだという噂のアルプスのフレッシュチーズ3種。サヴォア地方で歴史が最も古いらしい粘りがあって少しだけ酸味のある軽やかな味わいの「トムオサヴォワ」。山羊のミルクで作ったを熟成させないフレッシュな優しい味わいの「シェーブル」。藁で包まれたチーズの3種はよく似た味わい。どれもアルプスの少女ハイジがチーズの塊を木の枝で刺して焚き火で炙ってパンに乗せて食べるシーンを思い出させる山の味わい。

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これにはチーズと相性のいいシャトーグラン・カラモンメディテラネ・アリカンテ2012を選んで出していただく。【C】のマークのジャケットもユニーク。甘い香りと酸味や苦みが特別なチーズやドライフルーツの入ったバケットによく合う。フォアグラとも相性はいいだろうなと思いながらいただく。最後はサプライズの誕生日ケーキの登場。スタッフの皆様に思いがけず祝っていただく。皆さん忙しいのに恐縮である。

素敵な女性オーナーもアットホームな雰囲気を持ってかいがいしくお世話をしてくれる。これだけ上質なグラスワインを味を比べたり楽しみながら心地よくいただけるお店はあまりないかもしれない。帰りはマダムとシェフが外までお見送りいただく。ワインも料理も接遇も大満足でした。

大阪市天王寺区六万体町5-13 Wビル 3F
06-6774-9000

大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘 フレンチ

まさる 1月【大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘】

表記の店を友人と訪問。この日はお寿司を思いっきり食べたくて此方の店を選択する。この日が正月明けの初の営業日とご主人は言っておられた。

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ビールで乾杯して、突き出しにナマコを所望。よくある突き刺さるような味わいの酢ではなく優しい出汁に漬け込んだもの。軽く火入れしているために舌触りもかなり上品。湯がきたての鱈白子もよく肥えていて新鮮でかなり上質。その前に軽く食事をしたので今回はさっそく握っていただく。いつも最初に出される軽く締めた今が裏旬の鱚は軽く上品な甘味と旨味が特徴。続いて肝と紅葉おろしを載せたカワハギ。マスタードを載せた脂乗りまくりで水分が程よく抜けて旨み凝縮の鯖の漬け。それぞれいつもいただくものであるが安定の美味しさ。柔らかく握られたシャリが空気を含みまくってでフワフワしているのも好み。喉に入ったあとが軽いのが特徴。2016-01-08 10.42.16

「カマス」は水分の多い魚なので軽く塩をして身を締めて皮目を炙って供される。皮と皮スジの間に脂がたくさんありその脂が火入れされて滲み出てとても香ばしい。皮目を炙ったキンキも皮付きで提供。肝の旨味が秀逸である。端正な姿のコハダはしっかり締め,塩気がたつ1枚づけ。辛口の土佐鶴の純米酒と相性ぴったり。ハリイカも身が爆ぜるほど新しく、かなり美味しい。

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この季節だけのスペシャリティーは酢飯にウニと毛蟹の身を混ぜ込んで作る蒸し寿司。出されるときにウニを更にてんこ盛り。。脳みそが溶けてしまいそうな錯覚に陥るくらい美味しい。しっかりと手間をかけて煮鮑は好物のエンペラの部分を切り付けてくれる。ゼラチンでムチムチプルプルしてとても口に合う。関東風の煮鮑とはテイストが異なりしっかりと鮑の風味も残って味蕾に独特の香りが記憶される。生や鉄板焼きの鮑とは全く異なる味わい。

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続いて此方の店のスペシャリティーのプリプリの車エビも味わいが爽やか。甘くて澄んだ風味が特徴で魔界の扉が開きそうな錯覚に陥る。毛蟹は味噌をのせて、新鮮なツブ貝は独特のくせにぶつけるようにいつも秘密のスパイスをかけて供される。崩れる寸前まで煮込まれた穴子も唯一無二の味わい。いろんな野菜が入った袱紗玉子焼きもとっても美味しい。コースはここまでで、さらに追加で貝を2種握っていただく。煮はまぐりはミディアムに低温で火入れしてしっかりと出汁漬け。他店の江戸前系と異なりレア感と磯の香りが秀でている。赤貝もかなり上質で香りもいい。

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最後はキャベツと茗荷の細巻きとヒモ胡瓜を所望して終了。鼻から出るほどお腹一杯。いつもながら言う事なしの大満足。何を食しても上質な味わい。次回は春の走りの魚をいただきに3月に訪問予定。

大阪市浪速区下寺2-3-10
TEL:06-6649-7227
営業時間:平日 17:00~翌2:00 日祝 17:00~23:00
定休日:水曜日

大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘 寿司

まさる7月【大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘】

本年初のシンコが入荷したという知らせを頂き、神戸で予約半年待ちの大繁盛鮮魚居酒屋を経営する友人と表記の店を訪問。

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この日も医者らしき客で満席。予約が鶏にくのが玉にきず。まずはビールで乾杯して お造りの盛り合わせ。赤貝、九州の鯵、コリコリのコチ、剣先イカとエゾバフンウニ、軽く炙った明石の穴子に太刀魚。すべて一切れずつ。どれもがいい仕事をしていてこれだけで満足する。

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店内で一夜干しされている大羽鰯を見つけたので焼いていただく。かなり大きなサイズで食べ応えたっぷり。梅雨の時期が鰯の旬で『入梅鰯』とよく言う。醤油と味醂で照り焼きにしていただく。皮の部分の脂と醤油の焦げが相まって驚くくらいの滋味深さを感じる。早速端麗辛口の日本酒をいただきながらのマリアージュを楽しむ。

【夏料理青身の魚いとほしき】

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握りは最初はお決まりの木の芽を中に鋳込んだ「鱚」。この時期はまさに旬真っ盛り。脂は少ないけど軽く締めると上品な甘味と旨味がとても強く感じるネタである。多分旨味成分のグルタミン酸やリジンなどのアミノ酸が多く、包丁をしたり咀嚼するなかでそれらの成分がタンパク質から遊離して旨味成分に変わるのであろうと推察される。

【一片の木の芽がキスの味とせり】

「アマテカレイ」は正式名称はマコカレイ。大分では城下カレイ。今が旬でネットリとした食感と脂が特徴。コリコリしながらも甘くて寿司ネタでは白身魚の王者と個人的には思う。

「鯖」は漬けにしてマスタードを添えて出される。オリジナリティー溢れる握りである。夏の鯖は脂がなくて今イチなものが多いがこれはかなり上質。

「カマス」は水分の多い魚なので軽く塩をして身を締めて皮目を炙って供される。皮と皮スジの間に脂がたくさんありその脂が火入れされてとても香ばしい。

「ノドグロ」は言うまでもなく高級魚。大きな魚体の鮮度のいいものは限られている。これも皮を炙って葱と紅葉おろしをのせて供される。美味し過ぎて卒倒しそうになる。

生の鳥貝は味が深くてとても美味しい。鳥貝の旬は太平洋側では春先で日本海側では夏とどういうわけかずれている。この日は舞鶴産と言っていた。足の黒いところを残して洗うのが面倒。美味しいのは当然。

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大好物の車エビ登場。これを食べ続けてはや15年。。ビジュアルも美しいが 茹で加減や海老味噌の鋳込み具合などどこでもありそうなものだけど私にとって唯一のベストオブザ海老の握りである。

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この日のメインイベントの「シンコ」登場。この日は5枚漬け。出世魚「コノシロ」の幼魚。10センチの大きさになれば「コハダ」と呼ばれる。

夏場の限られた時期のみが旬。今の走りの時期はビックリする仕入れ値となる。ご主人が「中元みたいなもんですわ〜」と言っておられた。

頭をとって捌くと数センチほどしかないのでさばくのはとても面倒。この日も仕入れ値はキロ5万円と言っておられた。大体1キロが120匹位なので50000÷120×5でネタだけで原価2000円なり・・・男気だな・・・

そのあとコハダの1枚漬けを握っていただき食べ比べ。。マグロや雲丹の食べ比べはよくあるがコノシロの食べ比べは珍しい。

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鮑のエンペラの部分。私がこの部分が好物なのを知ってくれている。関東の煮鮑とは全く異なる。ゼラチンでプルプルして究極の煮鮑と確信。

まさる2

「煮ハマグリ」は火入れの素晴しさとネタの良さで限りなく柔らかで味も深い。「毛蟹」は味噌をのせて供される。皮を炙った「鰻」は海苔を巻かれて供される。言葉が出なくなるくらい美味しい。。山芋やいろんな野菜の入った「袱紗玉子」は箸休めにぴったり。皮目を炙ったキンキは肝と芽葱と紅葉おろしで供される。キンキは皮目を炙って芽葱と肝をのせていただく。焼き目の香ばしさと皮部分の脂の甘味と身の旨味が渾然一体となった最高の一貫である。剣先烏賊の耳」はコリコリで味も深い。

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味が乗ってきた淡路島の雲丹は上品な甘味。これだけ20個くらい頂きたいくらいである。

まさる6

貝好きなのを知ってくれているので「ツブ貝」を軍艦で所望。どの寿司も美味し過ぎで日本酒が進み過ぎてしまう。〆は穴子の巻ものを所望。この店で寿司を頂くといつも幸福感に包まれる。シンコは今週いっぱいくらいかな。。。

大阪市浪速区下寺2-3-10
TEL:06-6649-7227
営業時間:平日 17:00~翌2:00 日祝 17:00~23:00
定休日:水曜日

大阪市 四天王寺前夕陽ヶ丘 寿司