四天王寺前夕陽ヶ丘

まさる 2月

夕陽ケ丘の表記の寿司店を久しぶりに訪問。1万円以上の予算でいい鮨をゆっくり食べたいときにはここと決めている。かれこれ15年通っている。最近は新しい見習いの兄さんも入って3人体制でお客を迎える。グルメ雑誌の常連で関西を代表する名店の一つとなっている。人通りのないロケーションに看板のないファザード。駅からも遠く、知らない人はここが飲食店と決してわかんない。

しかしながらいつ行っても客層はいい。客が店を作るのか店が客を作るのかはわかんないがとにかく店内カウンター8席は凛とした空気が漂う。

2014-02-18 18.45.46

まずはビールを頂いていつものようにお造りの盛り合わせ。天然鯛に赤貝、皮を炙った太刀魚、脂ののった伝助穴子、剣先イカの雲丹のせ、しまあじなど。。どれもが秀逸。関東地方の豪雪のために仕入れが不自由でネタがそろっていないと言っておられたけどこれで充分。

2014-02-18 19.03.08

毛ガニがあったので少しだけ三杯酢で所望する。毛ガニって癖があるのでたくさん食べるといやになるけどこれくらいがちょうどいい頃合い。

2014-02-18 19.05.19

店主渾身の一夜干しを所望。この日は大羽イワシ。脂ののりも最高。。。こちらのお店はアテも普通以上に美味しいのでいつも食べ過ぎてしまう。この日のイワシは推定30センチくらいの大きさ。照り焼きにされた魚の脂と旨味が凝縮された逸品。日本酒と一緒に頂くとナイスマリアージュである。

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此処から握りにしてもらう。鮨のスタイルは江戸前と上方の合わせ技だそうです

最初の鱚の昆布締めは小さいながらも品のいい脂の旨味がある。カワハギはもみじおろしと肝と芽ネギを乗っけていただく。鮮度が良さそうな鯵は叩いてなめろうにする。青臭さや癖は全くない。旨味が味蕾を駆け巡る佳品。鯖の漬けは魚の水分が抜けて旨味凝縮。マスタードが載ることもあるがこの日は大根おろし。炙った皮目の香ばしさが後口に残る。皮目を炙ったキンキも皮付きで提供。肝の旨味が秀逸である。コハダは大きな一枚漬け。

どのお寿司もとにかく美し過ぎる。このような美しい寿司が不味いわけがない。この店の寿司はすべて凛とした品格がある。魚も幸せであろう・・・2−---

大振りの煮鮑は私の好きなエンペラの部分をしっかりつけてくれる。コラーゲンたっぷりな感じでムチムチしてて嬉しい。この店のスペシャリティーの頭の味噌を鋳込んだ車エビは身震いするほど美味しい。一口で頂けるこの店のエビが世の中で一番好きかもしれない。生雲丹は北海道産。エグミやミョウバンの薬臭さはみじんもない。

シャリは空気を含んでフワフワしている。とにかく喉に入ったあとが軽い。煮ハマもこの店のスペシャリティ。伝統的な江戸前とは違ってさっとボイルして出汁につけ込む。かなりのレア感と磯の香が秀逸。身の大きさにもいつも驚く。しかしながら店主曰く豪雪で思っていた産地のものが手に入らなかったと言っていた。

新鮮なつぶ貝は軍艦巻にて。コリコリしてかなり美味しい。何かスパイスのような味を感じるんだけど最後までわかんなかったな。大間産本マグロのトロの炙りは私はパス。見ただけで美味しいと言うことはわかる。いろんな野菜が入った袱紗玉子焼きもとっても美味しい。〆は穴子と胡瓜の巻もの。

何を食しても上等な味わい。。次は春先に訪問予定。

大阪市浪速区下寺2-3-10
06-6649-7227
平日17:00~翌2:00日祝17:00~23:00
定休日:水曜日


カテゴリー 四天王寺前夕陽ヶ丘, 寿司 |

阪口楼

私どもの会社の調理師社員と表記の店を訪問。店の前で待ち合わせをしたんだけどかなりわからないところに位置しているため茶臼山のラブホテル街をひたすら一人で歩き回った。

2013-11-25 20.14.26

ラブホテルを左右に見ながらお店に到着。なんとも立派な門構えの料亭である。聞けばこのお店は300年以上の歴史のある普茶料理の専門店で、中国から伝来した精進料理といったものらしい。もちろん長年にわたる日本の文化の中でちゃんとした和食になっている。私どもも大阪で仏事料理専門店を5店舗やっておりその担当調理師からこの店でお勉強したいと言うおねだりがあり本日の訪問に至る。

普茶料理は京都の万福寺の僧・隠元和尚が江戸時代に黄檗宗とともに伝えたといわれ生もの(動物性タンパク質)を一切省いて植物性食品を使った料理。「普茶」とは「普(あまね)く衆人に茶を施す」という意味で本来は大皿で取り分けていただく料理らしい。(能書きから借用)いわゆる長崎の卓袱のようなものかと思っていたが料理人の腕とセンスの良さで料亭仕立ての会席風の献立で供された。

2013-11-25 18.43.22

麻腐(マブ)はこの日はスタンダードな胡麻豆腐。しかしながら胡麻の香りと粘りが素晴しい。付け出し汁の塩梅も素晴しい。この店の出汁はかつおを一切使わずに昆布と椎茸とかんぴょうでとると聞いたことがある。このデフォルトの胡麻豆腐を頂いただけでこちらのお店の実力がよくわかる。

2013-11-25 18.43.35

特菜(トクサイ)は湯葉の長芋巻き。濃厚でトロっとした風味の湯葉の中にシャキシャキした食感の長芋がとってもいい感じ。付け合わせはブロッコリーの胡麻和え。

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「澄免」(スメ)は精進出汁仕立て。鰹節を使わないのにしっかりとコクのある味。塩加減も強くないしこれには驚いた。胡瓜のようなのはズッキーニ。美味しさの秘密は白ネギを炒めて甘味をしっかり出し柔らかいとこだけを食べやすいようにして入れている。コクがあって素晴しいお味。海苔を練り込んだ白玉団子も秀逸。

2013-11-25 19.11.32

窓からは天王寺公園が見えて借景も素晴しい。その横には川底池も見えて上品な池畔の佇まいを醸し出す。こちらのお店は明治十年で創業で南地大和家の分家として今日に至る。はんなりとした上方文化の色が料理や店の設えの細部に残る。器はすべて輪島塗で塗り替えをして90年は使っていると言っておられた。

2013-11-25 19.12.01

温菜は茄子の赤味噌田楽。茄子と油の相性がいい。濃厚な味噌がかなり美味しい。ぶぶあられと柚子の風味もよく計算されたあしらえとなっている。

2013-11-25 19.17.33

笋羹(シュンカン)は懐石でいう八寸。かなり手が込んでて素晴しい内容。香ばしさが他店とまったく異なる焼き茄子の胡麻クリーム、シャキシャキした食感と火入れがお見事の蓮根の有馬煮。百合根を裏ごして団子にして作った柿。かぼちゃを裏ごして味を入れて薄揚げで巻いた信太巻。菊菜と栗の白和え。梅の甘露煮は瓶詰めのような見た目であるがしっかりと赤紫蘇を使って柔らかくかつ甘味を抑えて含め煮にした佳作。

2013-11-25 19.21.34

柿の葉に包まれた寿司は赤蕪が口直しにとてもいい。しみじみ「美味しいねえ」と口に出る。

2013-11-25 19.33.10

「油磁」は揚げもの。手前は筒ゴボウをくりぬいて中に高野豆腐の炊いたものを詰めたもの。その横は火入れが見事な三度豆と長芋の湯葉巻、プチトマトにアボガドを詰めたファルシ仕立て、舞茸、里芋をミディアムに炊き上げて大葉で包んだものも驚くほど美味しかった。

2013-11-25 19.42.39

雲片は野菜の切れ端を炒め葛寄せにしたものらしい。この日は京別巻(ロールキャベツ)中身は玉ねぎや銀杏、生麩、椎茸。。しっかりとついた味が素晴しい。。何を食しても感激の連続。

2013-11-25 19.54.31

食事は白ご飯と合わせ味噌仕立てのみそ汁。具は薄揚げと巻麩。塩梅は完璧。

2013-11-25 20.00.58

最後の「甘味」はリンゴのゼリーに洋梨の刻んだものをあわせたもの。上にキウイと黒豆とミントとクコの実。動物性タンパク質を一切使っていないのに満腹で大満足。

2013-11-25 20.17.38

同伴者はこのコースの価格8000円くらいと思っていたようで実際は4500円。税サ別でコスパも素晴しい。天王寺公園の借景があってこの価格であれば再訪したいと思った。お酒を飲んで一人7000円あれば充分。ぐるなびクーポンで10人いくと一人サービスになるらしい。とってもいい勉強になりました。

帰り道に天守閣のあるラブホテルとハルカスを撮る。なかなかいいアングルと自画自賛。

2013-11-25 20.18.55

この天守閣のあるラブホテルの前には二宮金次郎先生の象がある。。この店の玄関を入るまでにラブホ街を通らないといけないのがネック・・・というかそれもギャップがあって面白いかもしれないね。。

大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-30
Tel:06-6771-3522


カテゴリー 四天王寺前夕陽ヶ丘, 天王寺/阿倍野, 和食 |

まさる 6月

数ヶ月ぶりのまさるさん訪問。。

もう15年くらい通っているのになにげに店の前を通り過ぎてしまう。それだけ目立たない外観。同伴いただいた大阪ナンバーワン焼き肉店主も「ここはひとりでは来れんわ」とのたまう。店はカウンターのみ9席。店主の顔面がいかついとこのブログで毎回紹介するとその顔見たさに客が訪れると聞き及ぶ。小さなお店なので当然予約は必須。

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生ビールで乾杯をしてまずはお造りの盛り合わせ。美しすぎて手が出ない状態である。白身は高級魚のアコウ。剣先イカに北海道産のウニを乗せたもの。シマアジに皮目を炙ったカマス。一見、鱧のように見える皮目を炙った穴子。赤貝もいい香り。。。ワサビはもちろん本ワサビ。これだけでノックアウト状態。。。

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続いて巨大な舞鶴で獲れた鳥貝をさっと炙ってもらう。炙ることで甘みが倍増。。コリコリしてシャキシャキして目が回るくらい美味しい。。美味しい食材は見た目も美しい。

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店主渾身の一夜干しを所望。この日は大羽イワシ。脂ののりも最高。。。アテも普通以上に美味しいのでいつも食べ過ぎてしまう。この日のイワシは推定30センチくらいの大きさ。旨味凝縮アミノ酸満載。。ここで麦焼酎の水割りを所望する。

ここから握っていただく。

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最初は鱚。6月の鱚は絵に描いたものでも食べよ。と昔から言われる。軽く昆布〆にして中には大葉を射込む。。口の中でふわりとシャリがほどけて思わず「おいしい!」と口に出る。

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続いてこの店オリジナルの鯵のなめろう。かなり新鮮な鯵を使っているのは口に入れればすぐわかる。。。酒・醤油・ネギ・スダチで味を整える。手を入れることで新鮮さが引き立つ。

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「アマテカレイ」はマコカレイの関西式の呼び名で同じ白身のヒラメとは違ったねっとりしてもちっとした舌触りと身にしっかりと脂が乗っていて身はひたすら甘くて若干の熟成感も感じられふくよかな食感。見た目も実に艶っぽい。。

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コハダは一枚漬けなんだけどしっかりと締められていてこれはこれでかなり美味しい。ビジュアルも美しくミニカーのようで走り出しそうな感じ。6月末には毎年シンコが登場。必殺の7枚付けは必見の価値あり。

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久しぶりに食したマナガツオ。。劣化が早いので滅多に生では食さない。関西より東では獲れないので関西ならではのレアネタ。口に入れたとたん溶ける。。融点が限りなく低いのであろう。これは本日のメガヒット。。。うっとりとする旨さ。。

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さより昆布締めはかなり分厚い細魚がひねられて握られる。繊細なんだけど豪快で昆布でしめることで確実に魚が美味しくなっている。。

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きんきは皮目を軽く炙って肝と芽ネギを乗せたもの。。皮の部分の脂分がとてもいい。握られた寿司はシャリに空気がたっぷり入っているので皿に置かれた瞬間少し沈み込む。口に入れるとはらりとほどける。。。。とにかく美し過ぎる寿司である。

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この店のスペシャリティーの車エビ。。シャリとの間にエビのミソを挟んでいる。まったりとコクがあって煮切りのせいで更に海老の甘みが引き立っている。食べやすさはもちろんこのビジュアルはまさに芸術。シンプルでかつ深遠なるセンスを持つ吉村氏のなせる技である。。

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毛ガニも今が旬。。。味噌と一緒に頂くと悶絶の旨さ。。甘過ぎる身に涙がちょちょぎれる。。

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アワビは大振りのものを柔らかく炊き込む。いつも好物のエンペラの部分を選んで切り付けてくれる。ぐにゅぐにゅして柔らかで味がとっても深い。ディスイズコラーゲン。。。

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煮ハマもこの店のスペシャリティ。伝統的な江戸前とは違ってさっとボイルして出汁につけ込む。かなりのレア感と磯の香が秀逸。身の大きさにもいつも驚く。この店のハマグリよりおいしいものは今まで食べたことがない。

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ウニは刺身の分と違い淡路産。ミョウバンを使っていないので少し崩れているが甘みが強烈。よく似たものが最近あちこちで出回っているがこの店のは粒が大きく最高の物を仕入れているので別格。。ご主人曰く史上最高のウニである。

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あさりの握りも珍しい。。寿司ネタになるくらいのものなのでかなり大きなサイズであることは見て取れる。

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目の前に獺祭の濁り酒があったので所望する。。

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ウナギも店主独特の反則技で炙ったウナギで寿司米を包み、それを焼き海苔で巻いて出される。鰻が鰻屋よりもうまいという掟破りの反則技。この店子供は連れて行かない方がいい。。店主の顔が恐すぎて夢に出て来る可能性あり。。

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〆は野菜やエビや山芋などいろんなものが入った袱紗焼き。味の宝石箱とはこのことなり。コースはこれで終了なんだけどあと10種類以上はネタを用意されている。しかし食べ始めるときりがなくお腹が破裂するまで食してしまうのでこの辺で終了とする。

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追加でかんぴょうと三つ葉の寿司のみ頂く。。お腹いっぱいごちそうさまでした。

ここは現在私が最も好きな寿司店である。3ヶ月に一度死ぬまで通い続けたいと思っている。。。

 

大阪市浪速区下寺2-3-10

TEL:06-6649-7227
営業時間:平日 17:00~翌2:00 日祝 17:00~23:00
定休日:水曜日

まさる寿司 / 四天王寺前夕陽ケ丘駅恵美須町駅難波駅(南海)


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