大国町

三ツ輪食堂【大阪市 大国町】

35年前、私がまだ大学に入って家業の仕出し屋を手伝っていた頃、父と一緒によく仕入れに行った大国町にある木津市場の中のご飯屋を訪問。現在は建物すべてが新しくなって温泉施設も併設され近代的に見える市場も当時は平屋の木造でその一角にこの店もあった。その頃から約15年間毎日の仕入れで此方の店か別の食堂か寿司屋で朝食をとるのが日課だった。

当時は店主のお父さんが仕切っていて来店する客の顔をすべて覚えていて「いらっしゃ〜い〇〇さん」と迎えていたのが印象的。商売人さんが早朝に市場で仕入れをしてそのあとにビールと一緒に朝食をとるだった。当時は今のように昼間に客は誰も来ない。此方の店の特色は市場の中なのでメニューの数の多さにある。メニューになくても時間があればなんでも作ってくれた・・・そんな昔の記憶がある。

当時、ご主人(店主)には息子さんが2人いて娘さんも一緒に働いていた記憶がある。次男のマスオ君はお父ちゃんにいつも「マスオ!ちゃっちゃとせんかぁ」「〇〇さんとこのお茶つぎにいかんかいなぁ」とかボロクソに毎日叱られていた。

そこから35年経った今、その兄ちゃんがお父ちゃんの立っていたカウンタ−で料理を作りマスオ君(推定65才くらい)は当時と同様に給仕をする。お兄ちゃんの作る料理は当時のお父さんの味そのまま。カウンタ−だけの小さな12席の店だけど店の中は人情が溢れまくる。昼間の客の飲酒率は70%くらい。店に入ると「ビールにしますかお茶にしますか」と聞かれる。となりの「大和」のうどん屋は15人くらいの行列が毎日続くが私はそちらには興味がない(若いときにはよく行ったが)

「マスオ君、来たでぇ!」と挨拶したら「まいどぉ〜ひさしぶり〜」との返答。最近は市場に行くことがないのでどうしてもご無沙汰になるがホームグラウンドに帰ってきたような気がする。

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ご時世なので定食がいろいろあるのだがいつものようにアラカルトで注文。この店の看板商品の肉巻は甘辛く味をつけた和牛(食せば判る)をふわふわの出汁巻で巻いたもの。肉がいいから脂身が甘い。よく似たものはそこら中にあるが何とも言えない後味のよさは比類なきもの。ご飯との相性はいわずもがな。これぞ本当のマリアージュなり。

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台の上に並ぶ大鉢の中のものを適当に盛りつけて〜とお願いすると、子芋の炊いたん、高野豆腐と豆の卵とじ、鯛の子を盛り合わせてくれた。どれもがビールが欲しくなる逸品。

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サービスで出してくれた冷や奴。特にどおってことないんだけど豆腐の裏に生のタラコが添えられていた。こんなちょっとした心遣いが嬉しい。

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海老の天ぷらをお願いする。メニューにはないけど黙って作ってくれる。昔と同様何も言わなければ5匹。個性的なビジュアルも面白い。低温で揚げるのが特徴。。

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〆は貝汁。あっさりした出汁が心にしみる。これ以外にも魚の煮付けもむちゃむちゃ美味しいし刺身は新鮮極まりない内容。私も将来リタイアメントしたら毎日朝の10時くらいからこちらでビールと一緒にブランチを楽しみたいと訪問するたびに思う。

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彫金教室で作ったシルバーのバングル。シルバーの棒をカットして鞣して叩いてサイズを作って、それを何度も繰り返して表面に意匠を付けて裏に刻印をして出来上がり。最近頭のイメージに近いものが出来るようになってきた。ご希望の方はお作りいたします。(๑˃̵ᴗ˂̵)و

大阪市浪速区敷津東2-2-8木津卸売市場内
営業時間3:00~13:00
定休日日曜、祝日、第2第4水曜

大阪市 大国町 和食

Il Povero Diavolo (イル ポーベロ ディアヴォロ)7月【大阪市 大国町】

1年間お世話になった奉仕団体の職員のかたと表記の店を相伴する。

最近は私とご一緒した友人が何度も訪問するのでつとに予約がとりにくい。普段は滅多に降車しない南海電鉄の今宮戎駅から徒歩3分にある「木津卸売り市場」に隣接する阪神高速の高架下のグルメゾーン「なんば木津まち横丁○(エン)」の一角に位置する。

店の入り口はビニールシートなんだけどそのビニールに微妙に墨色が入っていたりしてかなり感度の高い内装となっている。

カウンタ−とテーブル席で全部で14席。メニューは魚介のみのコース¥7500。スタートはいつものようにヴェネト州のさっぱりとしたスプマンテを所望する。

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一品目は「豆と鱧」。サーブされるときは素材名だけ告げられる。食べながらインスピレーションを駆使してソースや調理法を解読する楽しさが醍醐味である。

活鱧を骨切りして軽く燻煙しながら火入れをし、それを凍らせてから削ってパウダー状に乾燥させる。緑の粉とソースは豆をペースト状にしたもの。全体をかき混ぜていただくと三度豆や豆のペースト、豆を粉状にしたもの、トマトと和風の出汁の味が混ざった泡のソースが一体になりバランスのいい逸品となる。

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2品目は「カマスととうもろこし」塩をして脱水したカマスを皮目だけ炙ったものに大きめのベビーコーンのフリットと火入れしたとうもろこしとそのソース、黄色いズッキーニを合わせたもの。異なる食材同士の相性の素晴しさと和素材や調味料を一部組み込むことでの食べやすさなど科学的創意に満ちたコース仕立はさすがである。

3品目のムール貝と微塵にカットされた烏賊、素麺カボチャは写真を撮り忘れる。素麺カボチャがパスタのようでビジュアルも食味もかなり楽しい。

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4品目は「蛸 茄子 パプリカ 赤みそ」という料理。焼き茄子に柔らかく火入れした蛸とパプリカのペーストを合わせたもの赤みその入ったソースは見た目よりも穏やかな食味。付け合わせは茄子のステーキ。

料理の味もさることながらシェフの調理法の独創性とビジュアルの芸術性にビックリ。蛸は和食の料理法を使用。

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この日はすべての料理にそれぞれお任せのワインをつけていただく。

こちらのお店は北イタリアのリミニ州の一つ星オーベルジュ「IL POVERO DIAVOLO」の暖簾分けらしい。こちらのシェフはその本店でスーシェフを務めていたと聞き及ぶ。現在33才の鬼才である。

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蝦蛄海老をミキシングして凍らせたものと角切りにして火入れした蕪と毛蟹を合わせてネットリと味噌漬け風に火入れした卵黄を調味料として使用した本日一番のお気に入りの逸品。すべてを掻き回してぐちゃぐちゃにしていただく。蝦蛄海老が調味料の役割をするのにビックリ。

食器はすべて暖かみのあるイタリア製の「ヴィルジニア カーサ」。同伴者は100均?かと思ったと言っていた(笑)

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メインディッシュ登場。笹で包まれたものはソテーされた伝助穴子。プリプリの食感に笹の香りがいいアクセントになる。これを黒豆で作ったソースと言うかババロアのようなものと一緒にいただく趣向である。煎り上げたハト麦の食感がとてもいい。

異なる食材の素材の味わいの相性(和食で【出会い】という)を科学的に考察し、調味料やハーブを触媒としながら独自の解釈で緻密に論理性を確立しながら重層的につくられるので何を食しても美味しい。和食の足し算や引き算的な考えではなくかけ算と因数分解を駆使したような手法と言えよう。いつもながら世にあるすべての食材のテクスチャーを再構成する力に脱帽である。

 

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後半のワインもパンチのある料理には白でもしっかりしたものを合わせる。白のヴィンテージ・トゥニーナは今やイタリアの白ワインの造り手としてナンバーワンと言われるイエルマンのもの。辛口の重口でコクもあって蜂蜜や果物のようなアロマも強く感じる。かなりエレガントかつ個性的で複雑な味となっている。

料理の素材だけではなくワインとのマリアージュも楽しむことが出来るのが嬉しい。ある料理に関しては日本酒が欲しくなったりするが食材や調味料に和の素材が使用されているからであろう。

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時鮭と夏牛蒡とアーモンドのパスタ。アーモンドはクラッシュして脂分を使用。クリーム等の乳脂肪は使用していないとのこと。パスタは太麺の「マンチーニ(Mancini)」しっかりとしたコシがあり噛み締めると小麦の味がする。

最後はスッポンのリゾット。バイ貝とそのジュが入っており何とも言えないパンチのある濃厚な食味が印象的。あとで聞けばスッポンの身だけではなく血や内臓も一緒にミキサーにかけて使用しているとのこと

ポルトガルやトリノで鶏や

豚の血が入ったリゾットを食べたことがあるがその横展開であろう。イタリア料理でスッポンをいただいたのは生まれて初めて。赤の骨格のしっかりとした濃厚なカベルネソービニオンと相性ばっちりでいつまでも食べ続けていられそうな錯覚に陥る。ありがちな塩分の尖りも感じられず滋味深い後を引く味はリゾットの最高傑作と言い切りたい。。予算が許せば国産松茸のみじん切りが入れば卒倒すると思う。

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ドルティエの一皿目はウメールバーブとヨーグルトの氷菓子。(これは写真なし)2皿目はスペシャリティのトロトロ杏仁豆腐のホワイトチョココーティング。下敷きはクラッシュしたクッキーと杏。

コースは全10品で7,500円(税込)サービス料別。
ワインをお皿ごとにペアリングして頂いて二人で29,000円の支払いでした。

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ちなみに去年の7月にいただいたコース(ブログ不掲載)のメインディッシュが「鯉と大豆」でイタリアンで鯉料理を始めて頂いたことを思い出す。自家製のきな粉と合わせる和風テイストのセンスが強烈な印象。

 

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*帰りに見た「支持政党なし」政党のポスターは本当に不可解なり。

大阪市浪速区敷津東2-2-1-317
06-4395-5150
営業時間:18:00~23:00
定休日:水曜日

大阪市 大国町 イタリアン

川上商店【大阪市 大国町】

顧問税理士と法人決算打ち合わせのあとに2人で表記の木津市場内の鰻店で昼食をとる。明治創業のお店で昔は「伊賀治」と呼ばれていた。鰻の卸店を本業としながらもイートインが出来るようになっている。若いとき毎朝この市場に仕入れにくるたびにこのお店の鰻丼をよく頂いた。昔は800円だった記憶がある。

店の横が作業場になっていていまでもご主人が早朝から生きた鰻をさばいて串を刺して炭火で焼き上げる。お店はカウンター3席と4人掛けのテーブル席4つ。

私どものお店も昔は土用の丑の日はこちらのお店で焼き鰻を500匹くらい注文していた。最近は材料の高騰のために鰻を献立にほとんど入れなくなった。鰻の焼きは紀州備長炭を使った大阪伝統の「地焼き」にこだわっている。鰻の身も分厚い物ばかりで商品のクオリティーとしては文句なし。

メニューは
特上まむし 2600円
上まむし  2100円
まむし   1600円
うな玉丼  2300円
他にうざく・う巻き・かば焼き。

特上は鰻一匹分を使用。上は4分の3を使用。
本町の老舗鰻店の約半額。この日は上まむしと肝吸い300円を所望する。

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かなり分厚い身がご飯の上に2切れとご飯に挟まれて1切れ入る。鰻はぱりっと香ばしくて小骨もしっかりと焼き切っているのでとても食べやすい。最高の材料を使用しているのでボリュームだけでなくクオリティーの満足感もかなり高い。一度蒸してから焼き上げるふわふわの江戸焼きよりも鰻を食べているなという感が強い。早朝5時からからお店はやっているのでモーニングうな丼も元気が出る。

撮影は基本禁止で許可が必要。帰りに母親に大きなサイズの鰻を一本土産に持ってかえる。鰻の折もあって土産にはぴったり。駅等で売っている物とはレベルが全く違う。大国町駅から徒歩3分。店の目の前がコインパーキング。

浪速区敷津東2-2-8大阪木津地方卸売市場内
06-6634-5910営業時間
AM5:00~PM:1:00

大阪市 大国町