滋賀県の南草津にある全国的に有名な食肉卸・精肉店の「サカエヤ」のイベントにお誘いいただいて参加。南草津駅からタクシーで10分の辺鄙な場所に位置する。こちらの精肉店に併設されているカウンター10席の小さなレストランを使って開催。故にお店の名前は「SAKAEYA+」とのこと。
以前は専属シェフを雇ってお店をされていたらしいが現在は取引先のシェフやオーナーの知人が期間限定で入られるポップアップ方式で定期的にレストラン運営をされている。今回は5回目のイベントとのこと。
メインの精肉店では近江牛をはじめとする高級牛肉やその他の産地の牛肉が部位別に販売される。
その横の大きな冷蔵庫には得意先に合わせた骨付きの熟成肉を保管。卸として肉の注文を受ける70件の得意先は全てオーナーシェフの顔の見える店ばかりとのこと。温度や湿度、菌の状態などが異なる冷蔵庫で肉の個性を残しながら味を乗せていくことをこちらのお店では「手当て」をするというらしい。こちらのご主人の精肉師の新保吉伸氏が電話で相手と意見交換をしながら肉の状態をコントロールすると聞き及ぶ。
今回は東京・西小山の「caillou カイユ」というレストランから数々のフレンチの国際コンクールで優勝された安達晃一シェフが来られ、店主の新保氏がこのイベントのために肉を手当てしながら、安達シェフと2人で肉に合わせたメニューを決めていくという趣向。
アミューズは「さいとうポーク」のジャンボンペルシエ。いわゆる煮凝り。よくある血生臭さなどは全く感じないピュアな味わい。「走る豚」を使った一口サイズのスペアリブは金柑を合わせて供される。
続いて現在では希少な阿蘇赤牛の盲腸、小腸、大腸のアンドウイエット(ソーセージ)。コリコリとした食感が心地いい。牛の盲腸は初めていただいた。ソースはトピナンブール(菊芋)のピュレ。
近江牛センマイのカツレツ。トマトと粒マスタードのソース。新鮮なセンマイを冷水で締めながら洗ってカツレツにしたもの。これも初めていただいた。
自家製パンも秀逸。
阿蘇赤牛のミノ、ハチノス、赤センマイのソテーを牧草を燻して香りをつけた出来立てのオランデーズソースでいただく。フレンチでここまでホルモンをいただいたのは初めて。
途中で店主の新保氏が登場し挨拶をされてからカウンター前で骨付きの大きな肉の塊を捌く。
近江牛のA4、マーブリング12のリブロース肉を新保氏が手切りでしゃぶしゃぶ用にカットする。
目にも鮮やかなスライス肉。これを目の前でセップ茸のコンソメを使ってしゃぶしゃぶにして供される。
個人的にはもう少し火入れされた方が美味しいと思った。
安達シェフがパリの国際コンクールで優勝をした料理でドーバーソールにムースを詰めて火入れした魚料理のスペシャリティが登場。これを眼の前でカットして盛り付けられるのだけど舌平目とムースの食感の調和やバンジョーヌワインを使ったソースの味の深さ含め、本当に美味しいなあと思った逸品。
肉の塊から腕部分のみを取り出して掃除をして、直径1センチ弱の大きさにミンチにする、それを小さく丸めてハンバーグ仕立て。
和牛経産牛リブロースの炭火焼き。蓮根のプレゼ。シェフが30分以上かけて丁寧に火入れした肉は少し硬かったけど脂身もキツくなく食べやすい。ハンバーグはつなぎがないのでボロボロと崩れるけど肉の味がしっかりと記憶に残る。
締めは近江牛のレバーをソースにした手打ち麺。
テリーヌにしたチョコレートとレモンピールを合わせた柔らかいアイスでフィニッシュ。
今回ワインもペアリングで5種類。白ワインもとてもいいものをいただきました。3時間半のディナーで終電で帰阪しました。
ごちそうさまでした。
お店のHPはこちら
滋賀県草津市追分南5丁目11-13
077-563-7829