グルメ友人のFacebookの記事を見て岡山にある表記の和食店を登山仲間の友人と訪問。岡山唯一のミシュラン店で11月に予約して最短がこの日となる。新大阪からのぞみに乗って1時間かけて伺う。早めに着いたので岡山駅から店まで15分くらい歩いて到着する。
店名の食い切り料理は大阪の割烹で昔よく使われた言葉で「持ち帰らずにその場で全ていただける飾りを排した献立と調理法の事で、いわゆる大阪料理の事」と記憶する。こちらのご主人は昔に大阪で修行をされてから地元の岡山でお店を開かれたので食い切りという言葉を使っておられると推察する。
店内は白木のカウンター10席と奥に個室。ご主人と若い調理師さんが2名。女将さんともう一人の女性で接遇される。カウンター内の壁には檜氷冷蔵庫が埋め込まれる。客の状況で食べきれる分の料理を一品ずつ丁寧に提供されるので隣の客と献立や料理の量、器が異なるのも面白い。料理のコースは25000円から。
今回は予約時に苦手な食材と「海老と蟹」が好物であることを申し伝える。この日は私ども以外は見るからに上品な常連シニア客で満席。お客筋はかなりいいと推察。
お酒も地元の日本酒を始め色々なものが揃えられる。ワインセラーにはオーパスワンなどのアメリカの高級ワインなどが大量にストックされる。ワインの値付けはかなり優しくて良心的。。
食事の扉は小豆島産の見たことがないような大きさの車海老と岡山県笠岡の赤貝の酢味噌和え。海老の頭部分の味噌がとても甘い。下には芹の浸しが敷かれる。酢味噌も加減酢もかなり美味しい。。
続いて巨大なタイラギ貝の磯辺焼き。。食べ応え満点で美味しすぎて興奮する。調理するご主人の手が驚くくらい早く、同時に料理の説明なども物腰柔らかく丁寧にしていただくのに敬服する。
続いて本日初入荷の「のれそれ」登場。いわゆる穴子の稚魚で高知の土佐市でよく獲れると聞くが、これは岡山県の下津井産。春の訪れを感じさせると言われる食材で芥子酢味噌で供される。
煮物椀はずわい蟹の真薯で蟹だけを固めたような仕事。口の中でふわっと広がる蟹の風味がとても贅沢。あしらえものなどは一切ないのが食い切り料理の真骨頂。出汁の味わいも完璧。
刺身は私どもだけ伊勢海老が供される。かなり大きなサイズで半分は生で、もう半分は昆布〆にして頭の味噌を天盛りにしたもので2種類の醤油でいただく趣向。あしらえは錨防風が添えられる。。。贅沢すぎる見ただけで大興奮の一品。。。
この日は日本酒をお任せで所望する。。岡山県産のまったり、こっくりとした味わいのものが好みに合って嬉しい。。
刺身の2品目は厚めに包丁をした河豚の身をカワハギの肝と合わせて大きな器にざっくりと盛り込まれ、その上に大量の加減ポン酢がぶっかけられる豪気で喰い味溢れる逸品。当然、日本酒との相性は抜群。
続いては蕪のすり流しに少し干した白甘鯛を入れたもので和のポータージュスープのような仕立て。北海道産の大葉百合根が入る。個人的にはこれが一番好みだった。
続いてお待ちかねの本日のメインディッシュのずわい蟹が登場。開業以来ずっと兵庫県の浜坂産のものを使用とのこと。大人の拳骨以上の大きな殻にずわい蟹の片身分の肉がぎっしりと詰め込まれスチーマで軽く蒸しあげて供される。柔らかな加減酢もかなり美味しくてひたすら蟹の身を食べ続ける。周りの客は食べきれなために持ち帰りされていた。。正月と盆を一緒に迎えたような料理に感激。
途中で炊きたての柔らかい白ご飯登場。
ご飯に蟹の身と蟹味噌をたっぷりのせてワシワシと掻き込む。。至福の感あり。。
日本酒が進みまくるのを見てご主人が自家製の海鼠腸を出していただく。軽めの塩加減が素晴らしい。即位巧妙、自由自在な献立に再度敬服する。
お腹の具合を聞かれたので「もう少し行けると」返答すると富田林産の海老芋の唐揚げが登場。一度蒸してから揚げているのでホクホクの食感。ねっとりとした粘り気もあって舌触りも素晴らしい。京都の和食店でも最近は富田林産をよく見かけるようになった。
日本酒が残っているのを見てレアに仕上げた自家製からすみとハリイカの刺身が供される。刺身と柔らかいカラスミはとても相性がいい。。さらに日本酒が進む・・・
食事はうな丼やいくら丼、バター丼やカレーなど7種類位から選ぶ。私は「おろし蕎麦」を少なめでを所望するがかなりのボリュームに圧倒される。
デザートも9種類くらいからチョイス。。硬めの焼きプリンを所望。。昭和な味わいに心が更に解ける。
友人は小豆島産のキウイを選ぶ。普通のものより2倍の長さがある品種といっておられた。
緑茶でフィニッシュ。。言い古された言葉だけどおもてなしと真心を感じる料理に大満足。動けないくらいお腹いっぱいになるのは久しぶり。女将さんにお見送りいただいて帰阪する。
岡山県岡山市北区弓之町12-6