大阪切っての名料亭「大和屋」さまにご招待いただき。今や神様と呼ばれる当代きっての蕎麦打ち名人の高橋邦弘氏を招いてのお蕎麦の会に参加させていただいた。
高橋氏は東京豊島で伝説の店「翁」を開業。現在広島県の北広島町と言うところで『達磨 雪花山房』というお店を数年前から始められ出張に出られている日以外(土日祝)はこちらで蕎麦を打たれているらしい。
大和屋さまは芸者置屋を母体とするお茶屋として、1875年(明治8年)に宗衛門町に南地大和屋を開業。能舞台を持つ料亭としてキングオブ料亭の地位を築かれたが宗右衛門町の本店は2003年に閉められ現在は大丸心斎橋北館と横浜、東京にお店を出されている。
今回のイベントは高橋氏の蕎麦と大和屋さまの料理のコラボと言うことで私が伺った日も満席で人気のほどがうかがえた。
お店の前では女将さんがお迎えいただきご挨拶。凛とした姿と艶やかな肌は若かりしときの美しさを連想させる。
お店の中に入ると高橋氏がカウンターテーブルにきちんとはめ込まれた特製の蕎麦打ち台の前で蕎麦を伸ばされていた。お弟子さんと思しき方がその横で水まわしをされていた。それをしばし拝見して着席する。
総料理長の桜井氏からお迎えいただき恐縮しながら着席すると2段重がセットされていた。
ふたを開けると上段は前菜。柔らかく炊かれた鮑と里芋、いんげんの上に大根おろし。その上には雲丹のソース。。。その周りに松笠を模したじゃが芋を揚げたものと銀杏。
お造りは軽く〆られた鯛にスダチをはさんだもの。トマトジュレポン酢と言うのが新しくて美味しかった。。。
下段は甘鯛の幽庵焼。。。菊を模した大根のなますと今年初めていただく焼き松茸。。。
蓋物は長芋を揚げたものに蟹餡を掛けたもの。。さっぱりとした加減がとてもいい。。。
揚げ物は車エビの天ぷらに帆立、クルミのかき揚げ。。。
このあとお待ちかねのお蕎麦が登場。。
厚みは2ミリくらいか思ったよりも細く色も薄い。。しいて言えば青白い。しかし瑞々しい艶が実になまめかしい。薬味は白ネギと辛味大根、と山葵全て広島から持参したと聞く。。。
もちっとしていて硬くない蕎麦は食すると「あっ」と声をあげてしまう。。 喉ごしも素晴らしい。。。弾力と食感がけた違いにありまくることに驚く。。
舌触りも滑らか。。多分水分量であろうと推測される。強いそばの香りは感じなかったが私の味覚が鈍感なのかもしれない。 出汁は甘さの少ない辛口で本節がしっかり効いている。
これは私好み。このそばの細さで噛みきる前に押し返す弾力が心地よい。
途中で高橋氏が挨拶に来られ解説をされる。蕎麦は小麦の入った二八。伸ばし棒はミズノ製。。イチロー、松井のバットを作っている方が同じメイプルの木で作ったものらしい。
本日の蕎麦は北海道産と茨城産の5種類をブレンドしていると言っていた。産地に出向いて自身で買い付けると聞く。
高橋氏は自身の広島の店の裏に、そばを管理する低温倉庫があり、そば粉を産地別に分け、水分量を測り、そばの状態が一目で判るようにしているといっていた。
そのそばを自ら皮をむいて石臼にて製粉する。3キロの蕎麦を1時間かけてゆっくり挽くらしい。皮むきが徹底しているので蕎麦に雑味がなく色も香りも透明感がある。
がくを取る作業は邪魔くさく、まるごとひいてしまう店も多い中で彼の仕事は驚異的である。。
蕎麦のおかわりを所望し満足。。。結局盛り三枚いただいた。
甘みは蕎麦の実をまとった蕎麦団子。。。
とっても満腹で満足。。ホントによろしゅうございました。。今回ご招待と言うことで恐縮し女将さんに感謝申し上げご挨拶をして店を出る。 会費はお昼8400円と言っていた。毎年されておられるので蕎麦好きの方はお勧め。
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