父の一周忌の法要を私どもの店舗で行う。普段から法事利用のお客様が多いのでスタッフは慣れたもの。上質な料理と接遇をリーズナブルな価格で提供しているので日曜日は早くから予約が入る。この日は仏事用のお斎5000円をお願いする。
親戚15人が仏縁で集まり父の生前の話をしながら和やかに会食する。
前菜として6つに仕切られた箱には北海道の根室産の雲丹と陸ひじき、フルーツトマトを乗せた雲丹プリン。名残の蕨のお浸し。鮑の柔らか煮と独活の黄味酢和え、細かく刻まれた香草が散らされた鱸の香り蒸し、うるいとレアにボイルされた蛤の上に生のりを乗せたもの。琵琶湖の稚鮎を蒸して南蛮酢に漬けたものを蓼酢のペーストをかけていただく。どれも仏事料理らしい地味ではあるがいい食材を丁寧に調味したものばかり。
お椀は鯛の白子豆腐と走りの鱧。防風と菜種を添える。煮物の位置づけなので塩分は少し高めでしっかりとした食味。
お造りはしっかりと脂ののった天然鯛と熟成したアブラメ、剣先烏賊の3種盛り。これはかなり良かった。
八寸は餅に模したじゃがいもに海老餡をかけたもの。太刀魚の西京焼。一寸豆とチーズの味噌漬け、ヒラメを使ったちまき寿司、木の芽しん薯など。
今や名物となった但馬牛のウチヒラを使用したローストビーフ。前日から醤油ダレに漬け込んでスチームコンベクションで蒸し焼きにしているのでしっとりした食感と小サシの入った肉質のためにかなり柔らかで脂分も感じる。和風のソースと八丁味噌で作った辛味噌でいただく。あしらえはアブラナ科のキャベツとカブを合わせたようなコールラビ、ズッキーニ、ラディッシュのワイン煮、海老を百合根で挟んで揚げたもの。これはかなりいい一皿でした。
食事は餅米を新鮮な甘鯛で巻き込んで湯葉餡をかけたもの。スプーンでほぐして雑炊のようにしていただく。上に乗せられたワサビ菜の漬け物がピリっとしていいアクセントになる。法事の食事にふさわしい逸品。
デセールは名残の苺、デコポン、びわをアソートしたもの。特製ソースをかけていただく。軽いお斎なんだけどお腹いっぱい。
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