カテゴリー:その他料理

アメリカ西海岸外食店視察記 ⑤

西海岸に来た際には必ず視察する1948年創業のハンバーガーショップの「in-N-Out」。読み方というか発音は「イネナウト」。チェーン店だが西海岸のみで展開。310店舗運営。すべて直営。最近は既存店売り上げが下がってきていると聞くがそれでもかなり忙しい。

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メニューはシンプルにハンバーガー2.25ドル、チーズバーガー2.55ドル、ダブルチーズバーガー3.77ドルの3つのみ。それにフレンチフライとドリンクのついたセットをほとんどの客が注文する。

1.Double Double(ダブルチーズバーガーセット) $6.55
2.Cheese Burger(チーズバーガーセット) $5.50
3.Humbergur(通常のハンバーガーセット) $5.00
※料金は店舗により若干変動

その他にも、"隠れメニュー”が存在し、バンズの変わりにシャキシャキのレタスで包まれた”プロテイン・スタイル”や更にグリルされた玉ねぎが入った”アニマル・スタイル”、肉とチーズを好きなだけ積み重ねた”3x3””4x4”など。様々な組み合わせで無数の裏メニューがあってアメリカの俳優のお気に入りメニューなどもよくネットで紹介されている。

注文の際に必ず店員さんから「Would you like onion?」と聞かれるのはアメリカ人は生の玉ねぎ嫌いが多いためかと推察する。

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支払いが終わるとその場でオーダー番号が書かれたレシートと紙コップを手渡してくれる。アメリカではセルフの飲み物は何回でもお変わりが自由。オーダーが出来上がると、レシートに書かれたオーダー番号を呼んでくれるので呼ばれたらカウンターに受け取りに行くしくみ。

こちらは冷凍食材(商品)は使わずすべてスクラッチ(手作り)調理。モスバーガーのように注文があってから調理を始める。キッチンは人数が多いように見受けられる。マクドナルドの2倍以上はいる。ポテトも皮をむいた大きなじゃがいもを手作業で裁断して油に入れていた。

1番人気のダブルダブル(肉とチーズが2枚ずつ)を注文する。パテはつなぎが少ないパサパサ系だけど肉汁は確認出来る。マスタードと名物のサウザンドレッシングみたいなスペシャルソースがたくさん入る。そのソースでさえ保存料が入っていないらしい。この店は何度行っても勉強になる。

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アメリカで最もかっこいいと言われているメキシカンの店を訪問。現在ロサンゼルスで3店舗展開中。

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オーナーはメキシコ3世で野菜はファーマーズマーケットでオーガニックのものを使用しサンタモニカの漁港から魚を仕入れをしていると聞く。ドクロデザインがファザードと店内のあちこちに施されている。死者を伴うラテンアメリカの祭りをモチーフにしたものらしい。

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古典的なメキシコ料理を食材と調理法にこだわったファインダイニング店。テキーラの品揃えは70種類。タコスも新鮮な魚介やプライムビーフを乗せてワインにも合うような仕上がりにしている。

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食事の内容もサービスもすべてワンランク上。デモグラフィックスを見るとこの店のある地域は白人住居率も高く世帯所得も高い地域であるためこのような店が成立するということに納得する。

シルバーレイクに今年できたホールフーズの新業態店舗の「365」 by Whole Foodsを訪問。この「365」は高品質な調理済み食品や食料品を中心とした品そろえ。
肉売り場には便利さの追求のために30以上の抗生物質やホルモン剤を使用していない牛肉を使用した半調理調理商品が使いやすいように小分けして提供されていたり魚の切り身やステーキは真空パックにして販売されていた。飲料はブームの「Kombucha(日本の昆布茶ではなく、紅茶キノコのこと)」や、「コールドプレスジュース」などの健康志向のドリンクや20ドル以下を中心とした500種類以上(多分・・・)のワイン、地ビールや輸入ビールなどが豊富に陳列される。

ワインコーナーにはタブレットが設置され、「Delectable」というアプリを使ってラベルをスキャンすると、ワインの情報や口コミが表示される。日用品の取扱いはほとんどなく食料品に絞り込んだWhole Foodsの次世代形の店舗でした。

この「365」には店舗内のスペースにfriends of 「365」と呼ばれる店舗内店舗があってその中のビーガンカフェ『バイ・クロエ』が大ブレイク中とのこと。ビーガンとは動物性の食材を一切使わない食事のことで健康志向の強い女性の中で年々増加している。動物の皮なども身につけない。全米ではそんな人が全体の約1%いると聞く。(ちなみに菜食主義者は5%)

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オーナーシェフは全米で行なわれるカップケーキコンテストで史上初のビーガンシェフとして優勝したクロエ・コスカレリ。最初はNYのグリニッジビレッジでオープン。店をオープンさせた時は27歳だったらしい。

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メニューはキヌアのタコスサラダ、ケールクッキーの入ったアイスクリームなどの特徴的なビーガンメニューを提供。その他にもバーガー、パスタ、カップケーキを主力としたスイーツなども取り揃える。店内38席のダイニングスペースでの飲食かテイクアウトを選択出来る。

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マカロニ&チーズは、スイートポテトとカシューナッツでつくったチーズ風ソースがかかっていて大人気だそう。

ブラックビーンズとキヌアとスイートポテトでつくったパテとグアカモレなどをはさんでつくるグアクバーガーは何とも不思議な味。段ボールを噛み締めたような食感と味。ビーガンフードは不味いと言うイメージを覆した全米で最も注目されている店なんだけど不味かった・・・(続く)

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アメリカ西海岸外食繁盛店視察 ①

9月の下旬よりアメリカの西海岸の成長組の外食チェーン店、最新のフードサービス業態の視察に行ってきました。今年の6月にも訪問してきたばかりだけどアメリカ企業(店舗)観察でアメリカの消費環境のパラダイム変化を知ることでき、そのことによって日本の消費業態の10年後を知ることが出来る。

世界で最も流入人口の多いカリフォルニアでは世界中の企業が実験店をはじめ、新しい業態が次々と生まれるためにそれらを自身の目で観察・分析をすることによって自社の新業態開発、新商品開発、リブランディングのヒントを得ることが出来る。

また、同じ店(飲食店に限らず小売店やサービス産業も同様)を毎年同時期に定期的に観測をすることで環境や時代感の変化を発見することが出来、その変化の理由をビジネスパーソンとしての直感を使って自分で考えるようにしている。。

現地ではアメリカ外食研究・コンサルの第一人者の某先生にレクチャーと案内をいただきながら小売店含めて約70店舗を視察する。その視察店舗の一部を数回に分けて日記に記させていただきます(さまざまな理由で公開出来ない情報等もあり簡単な紹介になりますこと容赦ください)

まずは現在LAで最もホットで予約の取りにくいと言われるイタリア料理の「BestIa / ベスティア」を訪問。

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BESTIAは、ベストLAに由来。”L”の部分は”i”ということ。倉庫街によく馴染むくたびれ感を醸し出した外観はかなりかっこいい。

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店内に入ると300席以上の客席がパンパン。客層はいろいろだけどドレスアップした女性も多い。バーカウンタ−やソファー席、テラス席もあって使い方はいろいろ。

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高天井のインダストリアルな空気感満載の内装と客で溢れる店内がとてもいい感じで映画のよう。

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この日はカリフォルニアワインとともにアラカルトで好きなものを好きなだけ注文する。気候が良いのでテラス席を希望する。

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こちらはパスタが有名で30種類くらいのなかで名物の雲丹の手打ちスパゲティーを所望。麺がモチモチで目が飛び出るような美味しさ。

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肉団子とモッツァレラをあわせたもの。ステーキを食べているような肉感があった。

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蛤とムール貝の煮込みは貝のジュが美味しくてパンですくいまくっていただいた。

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豚肉のソテー。。。炭焼きで表面カリカリで中身がロゼピンクの仕上がり。不味いわけがないな・・・・

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牛肉とチキンの料理もバンバン注文して怪獣のようにガツガツ食す。

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店内は薪窯もあって本格的なピッツアが焼かれる。

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ケールとモッツァレラを乗せたものとマルゲリータの両方をいただいたがかなりよかった。どの料理もいい食材をこねくりまわさないでシンプルに調理をされていてとても好感が持てる。

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翌日はプエンテヒルズの「パネラブレッド2.0」で朝食をいただく。パネラは現在約2000店を超えるベーカリーカフェの大チェーン店。客単価は客単価9ドル63で店舗あたりの売り上げは2億6000万。此方の店は昨年も訪問したパネラブレッド最新コンバート店。業種はグルメコーヒーとカフェとベーカリーとスープのお店。コンセプトは「都会のオアシス」らしい。ランチ売り上げが全体の55%と聞き及ぶ。

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焼きたてのパンやそれを使ったサンドイッチ、スープにパスタなど商品構成もいろいろあって選ぶのも大変。こちらの新業態のお店の特徴はスタバと同様セルフオーダーキヨスク。お客さんが自分でタッチパネルを使って注文できる。ページャーをもってテーブルにつくと店員さんが席までもってきてくれる。又アプリで注文してピックアップする仕組みも出来ている。すべて顧客ベネフィットを一番に考えている。

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タッチパネル式の商品購入をマクドナルドも一部店舗で実験されているがそれを確かめに訪問した店舗ではオペレーションの不備の為に数ヶ月前に取りやめたとのこと。このようにアメリカでは小さな投資で実験店を出店し観察分析を繰り返しながら新しい商品や業態開発を行うのが通例となっている。

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現在私どもの会社でも取り組んでいるハラル対応レストランを訪問。ハラルとは簡単に言えばイスラム信者が食べることが許されている料理のことで豚肉とアルコールが禁止であることはよく知られているがそれ以外でもいろいろと制限がある。

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こちらの「ハラル・ガイズ」はその名の通りイスラム教徒でも安心して食べられるお肉料理を提供。主なメニューは以下の3つで,いずれも7ドル。

Chicken over rice
Gyro over rice
Mix (Chicken & Gyro) over rice

チキン・オーバー・ライスは名前の通り,ご飯の上に鶏肉が盛られているもの。Gyroは羊肉,mixは鶏肉と羊肉が半分ずつ盛られたもの。

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元はニューヨークでナイトクラブの帰りの客が食べにくる屋台で当初は名前もなかったらしい。3人のエジプト人が創業者で現在ニューヨークの屋台の店は朝7時から深夜4時まで営業し今でも屋台の店は1店舗で1億5000万円製造販売するらしい。

此方の店のようなテーブルのある店舗型の店は13店舗で現在FC待機が400件あると聞き及ぶ。

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注文するとサブウエイのように流れ作業で調理される。写真のオレンジ色のものは,ニンジンではなくパサパサした粘りのないサフランライスのようなライス。

あっさりとした味付けの鶏肉とナツメグやクミンパウダーを付けてギロピタ(ジャイロ)で焼き上げ、さらにジャイロからカットしたケバブのような肉を鉄板で焼き上げた羊肉の組み合わせとたっぷりの野菜。これにマヨネーズ系のソースと真っ赤なホットソースをかけていただく。

よく掻き回していただくと何とも言えないジャンク味で癖になる感じ。丼好きの日本人にも親しみやすく日本に帰ってからも懐かしく又食べたいと思う内容。サイドディッシュとしてひよこ豆のコロッケなどもある。

アメリカ国内のハラル市場は2兆円。世界には16億人(世界人口の23%)いる。アジア太平洋地域に10億人で我が国政府は2020年度までに訪日外国人を4000万人、2030年までには6000万人にすると発表しているためハラール食の提供は飲食店の成長戦略で大きな柱になることは間違いないであろう。当社でも現在進めている日本食のハラール化の研究の推進の急務を今回の訪問で実感する。(続く)

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LA視察2016  6月④

アメリカでは過去5年のあいだでで拡大した外食市場の60%は朝食が占めると言われている。日本でもチェーン店を中心に朝食市場の攻略に注力しているが朝食を主軸としながら利益を出している会社は存在しない。コンビニの台頭と行った理由も挙げられるがアメリカの外食チェーンのに見られる客を引きつける「そもそもの力」が不足しているということが原因に他ならない。

アメリカで最も人気の高い朝食のファミリーダイニングのIHOPを訪問する。1958年ロサンゼルスで創業。平日朝の8時には客だらけでウエイティング20分状態。店舗数は全米とカナダで1580店舗。年商は1店舗あたり1億8700万円。創業当初からパンケーキを主力としてワッフル、フレンチトースト、オムレツなど朝食向きのメニューがが豊富に取り揃えられている。これらのメニューは朝だけでなく、昼、夜いつでも提供されている。そのほかにサンドウィッチ、ハンバーガーやフレンチフライ、スープやサラダのようなものもある。

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営業時間は6時ごろから22時~24時くらいまでの店舗が多いが24時間営業の店舗もある。日本のファミリーレストランと同程度の座席数を持つ大型店舗がほとんど。一定の駐車スペースも確保。客単価は12ドルで決して安くはない。客層は女性のみならず幅広い年齢層に支持されていて、年齢が高めの顧客層も日常的に訪れる。

コーヒーをオーダーするとポットで置いていってくれるので、いちいちスタッフを呼ばなくていいのが助かる。しかしコーヒーの味はイマイチ。パンケーキは3枚のショートスタックが$4.99、5枚のフルスタックが$6.99。看板の朝食メニューのルーティートゥーティーフレッシュアンドフルーティー$7.99は卵2個、ベーコン2枚、パンケーキ2枚。パンケーキのトッピングはストロベリー、ブルーベリー、シナモンアップルコンポートから選べる。パンケーキ用のシロップも数種類用意されていて、各テーブルに用意されている。それぞれ好みに合わせて楽しむことができる。

すべてのメニューが対価に対する及第点またはそれ以上の価値を備えている。テーブルはパンケーキかそのコンボがほとんど。満席なので提供時間は15分くらいだがコーヒーのポットサービスがあるので気にならない。

安くはないがリーズナブルな価格でオーソドックスな安心と豊かさを感じる実質感のある商品を提供している。朝食だけに限らず、今回様々な業態のレストランを訪問して感じることは価格は概ね日本よりも高いということ。日本の外食産業は低価格の実現こそ勝利への道とばかり低価格を追求する企業が多く結局はいい結果になっていない。

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アメリーカーナという商業施設にあるチーズケーキファクトリーを訪問。全席350席がランチタイムから常に行列。手作り感と内外装の新奇性にとんだ経営で全米に160店舗1600億円の売り上げを誇る。ファインダイニングをトレードオフして客単価を15ドルから25ドルに設定し、1店舗あたりの売り上げは全米ナンバーワンの13.3億となっている。

名物の約40種類あるチーズケーキは自社工場でまとめて製造し、それ以外の料理はすべて店内で手作りされる。メニュー数は約200種類。メニューブックに写真がないのであらかじめ調べて行くかサービス係の方にお薦めを教えていただくのが賢明。

ピザ、パスタ、チキン、ステーキを始め各国の料理をアメリカンカジュアルにアレンジしたものなどかなり豊富でバラエティに富むメニューの中でバッファローチキンとイカのフライをクラフトビールとともに所望する。

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メインディッシュは海老の煮込み料理、アンガス牛と和牛をかけた牛のリブアイ、ステーキ、牛肉のタコス、サラダを所望する。どれもがボリュームと食べ応え満点。見た目以上に味は繊細で丁寧に作られている。

運営は店舗あたりジェネラルマネージャー1名、マネージャーが11名、パートタイマーが200名。お腹いっぱいでチーズケーキを食べることを断念する。

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アメリカではジュース業態も大変革があり新世代のジュースバーが大人気。最近日本でも耳にする「コールドプレスジュース」は低速低温圧搾タイプのマシンを使用することで酸化によるビタミンや酵素の損失を防ぐことが出来、栄養価が格段に高いジュースができると言われている。素材を丸ごと使うので無農薬かつ“100%オーガニック”の素材が使われる。

多くのジュースバーではコールドプレスジュースのスタンダードサイズ(16オンス)ボトルの横に、ヤクルトのようなサイズのミネラル分やプロテイン、生薬、アダプトゲンといったさまざまな美容成分が高配合で入っているボトルが置いてありそれも一緒に合わせ飲む。
またそれらのジュースはデトックス効果が認められ、食事の代わりにジュースを摂ることで内臓を休ませ、必要な栄養を補給しつつ体内の老廃物を一掃できる。いくつかのジュースバーではジュースクレンズのプログラムやメニューがあり、数日間ジュースだけで過ごすことを推奨している。

アボットキニーに店舗を構える「Kreation」はメニューも幅広く、約20種類超。クレンズに特化したラインや、よりたくさんの素材を入れてバージョンアップしたライン、成分を濃縮させて注射器に入れて口から取り入れるラインなど充実の品揃え。

店舗内に色とりどりのボトルがズラリと並んだショーケースは圧巻。さらに自分でベースや素材を選べるカスタムメイドのジュースもオーダー可能。

現在のアメリカの外食、小売りのベクトルは「自然」「安全」「安心」「地球環境に優しい」「健康」「手作り」「冷凍食品や工場の否定」・・・
このようなアメリカの食の潮流は10年以内に日本にも入ってくるものと確信する。

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