カテゴリー:寿司

吉すし【大阪市 鶴橋】

友人と鶴橋の商店街のはずれにある表記の寿司店で会食。すぐ近くにはよく似た名前の有名な創作グルメ寿司店があるんだけどそこには行かないのが私流。

昔から卸売り市場の魚屋さんが常連という客層。この日も市場の若い魚屋さんが2人でええもんばかり食べまくっていた。お店は基本的に天然物ばかり。ネタケースを見ると普段お目にかかれないかなりいいものが並ぶ。

突き出しは泉佐野で揚がる鳥貝の小さなものの酢みそ和え。旬真っ盛りなのでとっても美味しい。

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ビールのあてに愛知産のたこを頂く。味はとても深いんだけど私には少し固く感じる。昔はこの店2坪くらいの屋台みたいな店だったんだけど10年くらいしたら普通の店舗?になっていてビックリ。

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日本酒もたくさんそろっていて十四代の名品がゴロゴロ冷蔵庫に並ぶ。客が一升ごとキープするらしくて3万前後の日本酒が人気と聞いて驚く。辛くないものをとのリクエストをすると和歌山の平和酒造の紀土(KID)というお酒をすすめていただく。
そんなに高くはない酒だと思うんだけど味、香りともにしっかりと主張する旨口タイプ。切れも良くてすいすいと美味しく頂く。

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握りは最初は細魚から。これは愛知産。味がとっても深い。。

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この時期しか食べる事が出来ない泉州産の生の鳥貝。かなりでっかくて口に入らない。普通に流通する鳥貝はボイルされてローラーで伸ばされたものを良く見かけるけどこのサイズはなかなか目にする事はない。かなりのお値打ち。。

泉佐野、田尻でもこのサイズの鳥貝はなかなか揚がらないだろう。昔、千代松という泉州の料理屋が大きな鳥貝を買い占めて客に提供するので食しに行った記憶がある。この日の仕入れも「このサイズの鳥貝は15個しかなかったよ」というご主人の談。いいものを産地ですべて買い占めているのであろう。。生でも半端なく甘くて生貝特有の香りとクセが貝好きの私にはたまらない。

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鳥貝といえば宮津ブランドが有名なんだけど最近は銀座でも泉州の鳥貝がトップブランドとして使われていると聞き及ぶ。醤油を塗るとぴくぴく動いてとても色気があって艶かしい。

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隣の客が愛知産の巻貝の焼き物を注文したので私も同じものを頂く。砂浜にあいた穴を見つけて塩をふって捕まえるマテ貝はたまに頂くんだけどそれよりも太くて食べ応えがある。貝特有の香りと甘味がお酒にドンピシャ。これも初めて頂く逸品。

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泉州産のヒイカ。小さいんだけどとても上品な甘味と歯ごたえがある。4月が旬で今しか味わえない。足が早いので生食は珍しい。よく似たものを回転寿司で見かけるが似て非なるものである。

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真っ白に炊かれた泉佐野の穴子は旨味満載。柔らかいふわふわの穴子を珍重する風潮の中でこの旨味と滋味を持つ炊き方と食材の目利きに驚く。

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本ミルガイがあったので所望する。いわゆる黒ミル貝。流通量が全く異なるので価格が白ミル貝より数段高いので扱う店はまれ。この辺りで会計が心配になってきたが酔いもあって気にしないようにする。白ミル貝でもかなり高いのにな。。。

当然黒ミルの方が断然甘みが強くて味が良い。多分ブランドの愛知の三河湾産。豊かな旨味が滑らかでシコシコして4月だけの稀少贅沢品。

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産地でしか普通は食さない肝を一緒に出してくれる。生で頂きたかったけど火入れした本ミルの甘味は筆舌につくしがたい贅沢なものがある。水管の掃除など下処理もめんどくさいのにこの店のご主人は注文ごとに水洗いをされる。美味しいといえばどうだと言う顔をされるのもわかりやすい。

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泉州でとれる25センチ級の赤足海老のボイル。旨未満載で味噌が甘甘。海老好き星人の私は一発でノックダウン。

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この店名物は淡路産の地雲丹。まだ時期が早いので味はまだ乗っていないけどミョウバンを使用していない大量のウニが、胡瓜巻き6貫の上に載せられて出てくるのに驚く。

隣の客は胡瓜巻と別に雲丹一舟を丸ごと出してもらって自分で乗っけて食べていた。苦味も生臭さも全くなくて磯の香りとが後口に残る。舌の上で甘く溶けてお酒が進みまくる。

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飴色の鯛は旨味が半端でない。ご主人に聞くと関空の禁漁区のところで穫られたものだから鯛が肥えまくっていると言う事らしい。かなりヤバいね・・・でもうまし。こんな店なかなかないな。。。

大阪市生野区鶴橋2-5-23

吉すし寿司 / 鶴橋駅桃谷駅玉造駅(JR)

夜総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 鶴橋 寿司

すし豊 3月【大阪市 東天下茶屋】

弊社が平素お世話になっているデザイン会社女性社長と共に打ち合わせを兼ねて表記の店を訪問。お店は駅から遠くてファザードも店内も昭和な感じなんだけど月曜日の夜でも満席と言う知る人ぞ知る名店。カウンター8席はいつも取り合い。

気の張らない友人と普段使いできて四季折々のホントに美味しいものを最高の状態で出してくれるお店。紹介した友人は皆このお店を好きになる。

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この店のお勧めはご主人の人柄。厳選した食材を少しでも美味しく食べてもらおうとするこだわりにいつも脱帽する。最初はビールで乾杯。お寿司の前に肴を頂くんだけどこれがいつも楽しみ。泳いでいるモロコを焼いてもらったり。主人が自分で釣った鮎を焼いてもらったり。川蟹を頂いたり。この日ご主人のお勧めの温かいもずくは有田産。川で穫ったものを冷凍にしてさっと湯通し。真緑に変色したものを卵の入った出汁につけて頂く。香りがとってもいい。。

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残ったタレに夏の間に仕込んで冷凍にした鱧のスープ割りをして頂くと違ったテイストが楽しめる。これはよく出来たものと感心。こちらのご主人は銀座の名店の新富寿司で修行をされたとの事。東京の言葉がとっても面白い。銀座5丁目にある新富寿司は昔行ったことがあるけど半茹でにしたえびの握りが秀逸だった記憶がある。

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お酒は白雪。こういったお酒が燗上がりして寿司をよりいっそう美味しくさせる。杉の香りが鼻につくがこれは好みがいろいろ。

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福岡県合馬産の筍を焼いてもらって食す。真ん中の部分はそのままで姫皮は味噌をつけてアーティーチョークのようにして歯でしがきながら頂く。旬の走りでえぐみは全くなし。

寿司の最初は大阪湾のハリ烏賊。ネタの下に黒ゴマを敷き、イカに塩を塗りスダチを軽くしぼって提供いただく。ハリ烏賊独特のぱりっとした歯ごたえが気持ちいい。

炙った肉厚の太刀魚も脂がのっていてとても美味しい。もみじおろしと塩で食す。

しっかり締められたコハダも日本酒とぴったり。同伴女性社長もご主人との会話も弾み大喜び。

大阪湾のグレは脂がノリノリ。磯魚特有の臭みもなくクリアな舌溶けもあってとっても美味しい。

柔らかでジューシーな煮蛤。濃い目の煮詰めがかかるんだけど見た目よりもあっさりしている。これは江戸前の仕事。

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ズワイ蟹の握りはふわふわ。界隈にある冷凍物とは歴然の差。そういや今シーズンは蟹を食す機会がなかったなと考える。

カンパチの握りも炙られていてとっても香ばしい。

この店の名物の一つヒラマサの蕪寿司。この店でこの寿司は味の三段ロケットと言われ酸味のあるサッパリした蕪の味、続いてヒラマサの旨味とコク、そして唐辛子の辛みと続く。主人に「味が三回変わってから飲み込んでね」とい毎回言われる。

鯖は炊いた酒で炊いた昆布で締めるらしい。酸味も柔らかで新発見。これは驚くくらい旨いと感じた。鯖と昆布のハーモニーはかなりハイレベル。青魚のクセやいやな感じは全くない。サバの脂の味がとても上品に仕上がっている。

そして、大将が「ウチで一番柔らかい寿司ね!」と煮あわび。今は珍しくない煮アワビだけど関西で一番最初に出されたのはこの店だと思う。私が若いときには存在しなかったしこんな仕事がある事さえも知らなかった。

烏賊の印籠も江戸前の古い仕事でこのお店の名物。まん中は白子、両端はイカの玉子が入っていて酒がとってもよくあう。これも身、子、白子の3段階の旨さ。サクッとした身の食感と卵のプチプチ、白子の滋味。新富寿司のスペシャリティー。2014-03-25 20.39.03

穴子は塩で食す。表面ぱりっとして中身はふわふわしてとっても美味しい。まるでスフレのよう。完成度がかなり高い。

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今日の筍はこれ。と箱を見せて頂く。。福岡のブランド筍。。

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この店で一番固いといいながら提供される握りのイクラ。このフレーズもこの店の名物。 岩手県の産卵直前の川に遡上する前の完熟卵にこだわる自家製。遡上したものはいわゆるピンポンいくらとなる。一口で頂くと口の中で暴れまわる。歯で追いかける。ぷちっぷちっと音がするくらいの弾力がある。あんまりこのイクラは他店でいただいた経験がない。旨みはかなり濃厚。醤油ではなく塩漬けしている。この技術が難しい。冷凍することで塩が熟れておいしくなる。

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締めは紀ノ川漬けが特に美味しい漬物盛り合わせ。胡瓜に見えるのはズッキーニのぬか漬け。かなり美味しい。

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今年で40周年らしい。30周年にも作ったたぬきの湯のみ。これを記念に頂いた。「50周年楽しみにしています」といいながらお礼を言って店を出る。お酒を頂いて一人6000円くらいの会計かな。

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
電話:06-6623-5417
営業時間:17:00〜24:00
定休日:木曜日

大阪市 東天下茶屋 寿司

小好鮨【大阪市 梅田/JR大阪】

山口から来阪した友人と表記の店に行く。梅田で寿司を食するときに自分が行きたいと思う寿司店ナンバーワン。阪急電鉄京都線阪急梅田駅茶屋町口より徒歩1分。DDハウスやがんこ寿司のすぐ近く。トイレはないのでDDハウスで済ましてから行くのがお約束。

暖簾をくぐると大きな三角形のカウンターとそのまわりに丸椅子が10席ほど。座ると入り口の引き戸が背もたれになるほどの狭さ。ご夫婦お二人で切り盛り。店も狭けりゃカウンターも狭い。お父さんとお母さんがコノ字のカウンターに入るとワンボックスカーで皆でドライブしながら寿司を食べている気になる。隣の客との密着感も強烈にある。

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まずはお造り盛りあわせ。名物のあわびちゃんはいつもコリコリで美味しすぎる。この店の一番人気のあわびちゃん。この店ではネタはすべて「ちゃん」づけで呼ばれる。生の肝が大好物で私の元気の源。大きく切られた天然ブリも脂がサッパリしてかなり美味しい。剣先イカと平目も秀逸。

この店の横の通りは今や小好鮨通りと呼ばれている。席数が少ないので入店するのがかなり難しい。外国のガイドブックでよく紹介されているらしく中国、韓国、アメリカと外国人率もかなり多い。80才のご主人はインターナショナルでどこの国の言葉も雰囲気で話される。フランス語も出来るらしい。

一日の半分の客が外国人の事もあると言っておられた。お店はそういうことで入店お断り率がかなり高い。しかしお店に入ると今年で53年になる寿司店の矜持とご夫婦の漫談のような掛け合いをしっかりと楽しむ事が出来る。

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大好きなたいらぎ貝はいつも上質。歯ごたえ重視の縦切りが嬉しい。ご主人が塩をかけてくれるのでそのまま頂く。アルコールはよく冷えたキリンラガーと黒松白鹿の常温。そして白鹿の冷酒のみ。。白鹿を燗酒で頂くのがこの店での私流。

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白ミル貝はとてつもなく甘くて貝の香りがふんわりと鼻孔に残る。決して固すぎず貝のえぐみは全くない。いつも思うんだけどご主人の仕入れの目利きが素晴しすぎる。

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今が旬のとり貝はとても色気のあるビジュアル。新鮮なのでコリコリして貝の旨味と共に喉の奥にストンと落ちる。余裕があるときはさっと炙ってアテでいただく。通称「焼きトリ」である。

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分厚くカットされた鯵はしっかり締められているんだけど味はかなり深い。熱燗がどんどんすすむ。女将さんが注文を聞いてお父さんに握る順番の指示を出す。女将さんの陽気さと突っ込みが超面白い。全国からご夫婦を慕って来られる客が多いと言うのもごもっともである。「この年になったらお母さんが男でわしは女みたいなもんですわ〜」とのこと。話の面白さが深くて品がある。

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これも大きく新しく新鮮な赤貝。そこらにあるものとは全くものが違う。これも塩で頂く。ヒモと身でワンセット。この日は中国人客と一緒にカウンターで食す。外国人が来たときは周りの客が皆で相手をするのでとても面白い。外国人客が寿司とご主人を写真に撮る様がいつも面白い。ポーズをとる様も最近はさまになっている。

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福岡産の筍。この時期のこのお店のスペシャリティ。先っぽの柔らかいところと根っこのところがあるんだけど個人的には根っこの方が味がある気がして好き。鮮度がいいためにエグミも全くないしコリコリして柔らかでかなり美味しい。

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国産のトロもめちゃくちゃ美味しいと友人が言っていた。

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個人的に大好きな蛸。お酒と共に頂いていると狭いお店も心地よい空間になってくる。お店の中が一体感があって一人客はさっと食して帰る。長居をしないのがこの店のルール。

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名物のアナゴは注文を聞いてから親父さんがいつも「あっつ〜!」といいながら焼いて握ってくれる。脂ののりも素晴らしくてふっくらしていて香ばしい。

酒以外はだいたい皆、ひとり5000円くらい。勘定を頼むとこの日は二人で「1億2000万円!」とのこと。「安っす〜」と答えると続けてお釣りを「80億円!」と言われて渡される。寿司代よりお釣りの方が多いので「儲かった〜」と喜んで店をあとにする。お店が狭いので店の外に出ると開放感があり銀河系に飛び出た気になる春一番の候。

大阪市北区芝田1-3-12
06-6372-5747 日曜 水曜休み

大阪市 梅田/JR大阪 寿司