和食

米増 12月

ここ5年間で毎月定期訪問している表記の日本料理店を訪問。新規予約は8ヶ月以上先となる関西和食で最も予約困難と言われる人気店。カウンター8席のみで14時と17時半スタートの2回転。ここ数年はミシュランの星を取得されているけどそのような話は一切語らない。11月は急病のため友人に代理出席をお願いした。。

温和で真摯な人柄のご主人は本湖月等で修行。茶味溢れる料理はなにをいただいても美味しい。普段はコース18000円(税・サ別)だけど12月はずわい蟹が入る特別献立で30000円となっている。料理写真は掲載不可なので忘備録として献立のみ記します。

・京都の鷹ヶ峰産の大根炊き、柚子もろみ添え
・熊本産すっぽん玉〆
・舞鶴産天然クエと北海道戸井の200kgまぐろ(私は烏賊に変更)
・新潟産真鴨の炭焼き。ロースとモモ肉と心臓
・佐賀県杵島の蓮根を使った辛子蓮根
・マナガツオの西京焼き 秋田産の芹のお浸し添え
・蟹足をレアに炊いたもの
・蟹身と蟹味噌を甲羅に入れて火入れしたもの
・甲羅にスープを入れて再び火入れして蟹の味を移したもの
・釜炊きご飯(白米)と鰤出汁の粕汁
自家製浅漬けのいくら、レアに仕上げたちりめん山椒 蕗味噌
・山形産の焼き林檎のソルベと新潟特産の洋梨「ル・レクチェ」
(ラフランスとは味のレベル舌触りが全く異なる)
・京丹後産さつまいもの入った自家製の薯蕷饅頭と薄茶

床かざりは椿で氷を雪に見立てたもの。。

この日は蟹が提供されるとのことなので日本酒を4種類いただきました。

この日は時化続きだけど兵庫の柴山産の大きなサイズのものを活で仕入れされてました。年末の活蟹の仕入れ価格は驚きます。。

目の前で丁寧に蟹をさばくご主人。ありがちなパフォーマンス等は一切排除。客は静かに見守ります。お客筋の良さも店の特徴。着席してから大きな声でしゃべり続けていた隣の席の飲み屋さんのママ風の客も途中で静かになりました。

蟹の足をいただいた後、ほぐし身を殻に入れて味噌と一緒に炭火で火入れ。独特の香ばしい香りが鼻腔をくすぐります。

この日、味噌漬けで供された瀬戸内産のマナガツオ。味噌漬けになるためにあるような高級白味魚で大好物です。このような巨大サイズは珍しい。。

座付きの大根炊きの器は朱塗りの蓋物。折敷は漆黒の真のものでかなり上質で美しい。湿り箸などの気遣いもさすが。。

待合の床の飾りもご主人作。クリスマスをイメージしたものとのこと。多才な能力に敬服。

こちらの古木を使った飾りも侘び具合が秀逸なり。

トイレの飾り。サンタの帽子はご主人のお母さんの作。。折り紙の箱はご主人作。。かなり芸がこまかい・・・

過去の米増はこちら

大阪市北区大淀南1-9-16


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ひろせ 12月

心斎橋の畳屋筋にある毎月訪問する表記の日本料理店に友人と伺う。畳屋町の雑居ビルの1階に位置するカウンター6席とテーブル2卓の10坪くらいの小体なお店。西心斎橋の「ゆうの」で修行されたご主人の喰い味重視の丁寧で細やかな仕事は、お酒をいただきながらの食事としては最高のレベルと思う。

日記の読者さんや友人も喜んでいただける和食店。コース料理は月替わりの12000円のみ。しかしながら、よく行く界隈の人気店の18000円くらいの料理に匹敵かそれ以上の内容のものが提供される。

仕入れのこだわりもかなり強くて、旬の素材を中心に客が食べたいものを素材感を活かしながら提供される。特に魚に関しては上質なものがいつも食べることができる個人店ならではの稀有なお店。派手さは無いけど大阪ミナミでは一番美味しいお店と個人的には思う。。

座付は海老芋のすり流しから。焼餅に見えるのは鱈白子豆腐を炙ったもの。。なかなか芸が細かい・・・白子の下にはとろとろの源助大根。。。一気に体が温まる。。

2品目はいつものように趣向を凝らした揚げ物。この日は渡り蟹の春巻き。繊細な蟹の身質と内子の美味しさに感動。揚げ物には麦焼酎のソーダ割りにスダチのスライスを5枚入れてもらっていただく。下に敷かれた海老味噌のソースとの相性も抜群。。

麦焼酎の後は日本酒をいろいろいただく。この日は黒龍の吟醸酒を口切いただく。

刺身は今が旬で漁獲量も少ない高級魚のヒラスズキ。癖もなく独特の旨味と後から感じる甘味はかなり上品。赤貝には粒マスタードが挟まれて供される。大葉を射込んだ細魚。昆布締めにした平目。脂が乗りまくりのキンキと燻製をかけて皮目を炙った鰆の6種類盛り。。これだけでお酒が5合くらい飲める贅沢さ・・・・・仕入れの努力を考えると敬服する。

続いて太刀魚の巻繊汁。豆腐と擂り身でふわふわに仕上げて潮仕立てで供される。最高に贅沢な逸品。

続いて甘鯛の鱗焼きに菊花入りのカブラ餡をかけたもの。器も菊の形。炭火で完璧に火入れされた甘鯛の鱗のパリパリ加減もお見事。。体が温まる献立に感謝。。。

続いて天然クエを中華風に仕立てたもの。骨の周りの身が美味しすぎてしゃぶりつく。。ソースは中華風なんだけどちゃんと和食の仕事になっていることに敬服。土の焼き物もとてもいい。

食事はずわい蟹のほぐし身と味噌がてんこ盛りになった贅沢な蟹ご飯。産地でいただく蟹もいいけどいい腕の料理人が作る蟹料理は最高といつも思う。形が変わっても自然な感じが残るいい味わい。

デセールは自家製のブランマンジェと冨有柿。。

この時期に大丸百貨店でしか売っていない青森産の冬恋というブランドの林檎を持ち込んで最後に出してもらう。。甘いだけでなくしっかりした食感と上品な酸味が嬉しい。。一つ2000円でした。。。

帰りにすぐ近くの「南サンボア」で一休み。。70数年間この地で現オーナーのお父さんの時代から営業されている。静謐な空間の中で和子オーナーと四方山な話をしながら名物の氷の入っていないハイボールを1杯だけ飲んで帰宅する。

ひろせさんは小さいお店なので予約必須。初めての訪問は「ペロペロ」を見たとお伝えください。ワインもあるので肉料理の際はグラスで合わせていただくのをお勧めいたします。

過去のひろせはこちら

大阪市中央区東心斎橋2-8-23イケダ会館1F
06-7713-0543
17:00~翌0:00


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藤久(ふじきゅう)

日本橋にある表記の和食店を10年ぶりに訪問。若い頃に味吉兆で修行をされたご主人の喰い味重視の仕事は何をいただいても美味しい。私の友人の年配の方々はこの店の和食が大阪で一番と言われる方が多い。

お店はカウンターが8席と2階にテーブルが2卓。料理は昼夜ともに6000円・9000円 ・12000円(全て税別)となっていて品数は全て同じ。今回は予約時に、ご主人の手元が見えるカウンター席にて12000円の料理を品数少なめで所望。料理は寡黙で物腰柔らかなご主人のワンオペ。15年前に一緒に働かれていた奥さんは玉造玉造でkotikazeというお店をされているのは有名。

先付けは大きなズワイ蟹の甲羅で飾られた蟹の身と味噌がたっぷり入った茶碗蒸し。。蟹の足はお酢でいただく趣向。滋味深く温かい茶碗蒸しで凍えた身体が和らぐ気がする。

続いての煮物椀は昔と変わらない突き抜けた美味しさ。彩り豊かな椀種はこの時期の定番の白甘鯛の蕪蒸しで摩り下ろしたカブラの食感と甘さと甘鯛の組み合わせが秀逸。出汁も甘鯛の脂が浮かんでとてもいい感じ。北海道産の大葉百合根と古い割烹仕事の「餅銀杏」にも感動。

この日は最初にハイボールをいただいて椀刺身は和歌山の純米生酒をいただく。

酒器が豊富でどれもセンスのいいものばかり。料理もテンポ良く出てきて、ご主人の仕事のスピードと正確さは見ているだけで楽しい。店内は界隈の店のように力が入っていなくてとても過ごしやすい。。

刺身は平目と炙ったえんがわ、細魚、包丁目をしっかり入れた剣先イカ、赤貝の4種盛。修行先の吉兆のお店ならではの飾りの捻人参と胡瓜が美しい。。

合肴は河豚三昧。口に入れると綺麗に解ける皮の煮凍り。焼き河豚と唐揚げの3種盛り。日本酒が進みまくる。。

強肴は鴨鍋。真鴨を使用。。ヘモグロビンたっぷりの身は野趣あふれる味わい。ふわふわの鴨団子も若い頃に茶事の出張料理でいただいた懐かしい鉄分を感じる個性的な味。兵庫県の宍粟産の葱も鴨同様に力があって食べ応え満点。鴨と野菜が相まったスープは比類なき美味しさ。この料理には芋焼酎の伊佐美をロックで合わせる。

食事はセコガニの殻を器にした蒸し寿司。。これも安定の美味しさ・・・

デセールは走りの苺の盛り合わせとkotikazeの甘味2種。10年振りの訪問だけど全く変わらない丁寧で綺麗でトラディショナルな和食をいただきました。食後にご主人と「10年間こちらに伺えなかったのは、ずっと堀の中にいましてん・・・」というと「知ってます、道頓堀でしょ!」との返しがすかさず入る。

ごちそうさまでした・・・・・・

過去の藤久はこちら

大阪市中央区日本橋2-7-28
06-6632-4037


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