時代が変わればお好み焼きを取り巻く環境もどんどん変わる。ワインもテーブルもある鉄板ビストロのようなものやバルのような店、「パセミヤ」のほぼ予約が取れない完全予約の店、Vin樹亭のようにメレンゲを立ててフワフワパンケーキのようなお好み焼きをワインとともにいただくお店、マヨネーズじゃなくて大量のタルタルソースをかけまくる店など今や多種多様。
しかしながら地元の表記の店は店主が昭和に修行をした伝説の繁盛店のレシピをそのまま守るコンサバティブお好み焼きのお店。この日は残業をしていた若手社員君を誘って遅掛けに訪問する。
まずは名物のメガ生ビール890円。冷え冷えの巨大グラスに3杯分(1L)の生ビール。あてにタコを焼いていただく。黒胡椒がしっかり効いてビールにぴったり。
最近お気に入りの貝柱の焼きそばを所望。上質な刺身用の生ホタテ貝柱を使用しているため焼いても縮まずしっかりした食感が残る。そばにホタテのエキスが移って旨み倍増。ご主人が今日仕入れたキャベツは水分が多いのでソースの加減を変えていると言っていた。
焼きそばは東通り商店街の創業65年(らしい)の「つる家」が大好き。ふんわり香る魚介出汁とフルーティーなソースは病み付きになる。3階の広間で飲み放題3000円くらいの宴会をした記憶もある。
お好み焼きはイカと豚入りを所望する。 焼き上がったらお好み焼きの下にもキャベツを敷いて焦げないように配慮。 来上がってから食べやすいようにカットしてくれるんだけど力点を上手に使ったコテさばきが美しくてお好み焼きがほぼ潰れない。
生地はふわふわのとろとろ空気がいっぱい入っていてとても軽い。一日生地を寝かすが秘訣らしい。いくらでも食べれそうなバランスのいい食感。大きな紋甲烏賊がとても美味しい。
お好み焼きのおいしさはキャベツの質と切りかたがポイントとよく聞く。こちらでは劣化を防ぐ為に切り立てを使用し残ったものはナイロン袋で保管。
メガビールを飲み干したので続いて同じサイズのメガ酎ハイを所望する。
よく聞かれるがお好み焼きで個人的に好きなお店は南森町のかきおこで有名な「居酒屋ひなせ」、岸里にある「しんみどう」のシンミドウスペシャル、難波の「はつせ」や天満の「千草」はセルフなので地方の友人が遊びに来たときによく訪問する。東通り商店街の「美舟」は創業67年の年季が親父の顔に表れる。ブルースを聴きながら食べるお好み焼きも味わい深い。お好み焼きってカレーライスや焼肉のようにいまや国民食みたいなものなので美味しい不味いじゃなくて好きか嫌いかに分かれると思う。
最後に今超人気の野菜炒めを所望。カットしたての玉ねぎキャベツ、人参と海老、鶏のせせり肉をしっかりと炒め、途中で出汁を入れて蒸し焼きにする、最後に目玉焼きを乗せて完成。ごちゃ混ぜにして食べると更にチューハイがすすむ。これで580円というのは破格の値段。このメニューはマストなり。店主一人なんだけどスーパスピードテクニックで仕事をするので客を待たせることはない。すべての商品が他店の7掛けくらいでコスパも文句なし。
*子供の頃、鍵っ子だった私は日曜の昼間に年の離れた姉が作るイカのお好み焼きを吉本新喜劇を見ながら食べるのが大好物だった。当時お好み焼きから飛び出たイカは姉がすべて食べるルールになっていて、ひっくり返すたびに自分のイカが少なくなると言ってよく泣いた記憶がある。今でもお好み焼きを食べに行くたび、生地をひっくり返すときにイカが飛び出ないかとドキドキする52才の初夏。
大阪市住之江区浜口西1-13-7 電話なし
お好み焼き ふぉーす (お好み焼き / 住吉大社駅、住吉鳥居前駅、細井川駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5