阿倍野にある表記の寿司店を一人で訪問。最寄り駅は阪堺線の東天下茶屋。店のファザードも店内も昭和感満載。こちらのお店も通い出して20年以上になる。
昔から変わらない東京言葉で話すご主人との世間話もご馳走の一つ。大阪での江戸前寿司の走りの店と言われグルメ雑誌にはしょっちゅう掲載される人気店。しかしながら会計はいつも下町価格。
カウンター8席と小上がり2卓。ご主人とご子息、奥さんの絵に描いたような家族経営。
最初に瓶ビールと酒肴を楽しむ。レモン汁をたっぷりかけた生食の鮑の肝は大好物。生海苔に山葵を刻んだものを和えたものも出していただく。これだけでビール一本いただける。
続いてはこちらのお店のスペシャリティの和歌山産の熱々のもずく。真っ黒なもずくを2秒くらい加熱して提供される。うずら卵の入った特製の出汁で蕎麦のようにしていただく。
いただいた後は熱々の鱧の出汁をつけ汁と合わせて蕎麦湯のようにしていただくという趣向。
この日のメインは水槽に泳ぐご主人の釣った岩魚。この日のものが最後と聞く。5月からは有田の鮎が解禁になるのでそちらも楽しみ。神経締めした岩魚は最初は刺身で供される。あしらえの蓼の葉を食みながらいただく。
残りの身と骨はしっかりと時間をかけて焦げ焦げ寸前まで焼き上げて熱々の日本酒に浸して骨酒として提供される。これがなんとも言えないくらい美味しい。。あっという間に2合を平らげて次酒をお願いする。飲んでいくうちに岩魚の少しずつ身がふやけてきて酒に色がついて味わいも変化する。結局この日は一人で5合飲んでしまう。ご主人曰く最近、一升飲んだ方もいると言っていた。
残った味の抜けた岩魚の身は山椒味噌を塗って焼いて再び供される。カリカリに焼き上げた岩魚を頭からかぶりつく。。。これも日本酒がさらに進む。。
ここから寿司を少し所望する。最初に黒ゴマを鋳込んだハリイカ。紅葉おろしとアサツキを乗せた和歌山の鯛。シャリは甘さを抑えた白酢。
大きなサイズのコハダはほぼコノシロのサイズ。こちらのお店はこだわりがあり、いつもこのサイズを使われる。大阪で最初に煮はまぐりを提供したのはこちらのお店と言われる。
かぶらに包まれた酢締めしたヒラマサは味の3段ロケットと呼ばれ、この店のスペシャリティーとなっている。最初に蕪の酸味を感じて次にヒラマサの旨味、最後に唐辛子のピリっとした辛味を感じる。「味が三回変わってから飲み込んでね」とご主人の弁。
丁寧な仕込みの後で酒蒸しされたアンキモもかなり美味しい。「口の中で溶けちゃうよ〜」と言いながら提供される泉州産の穴子は熱々のふわふわでスフレ状態。「提供されて15秒以内で全部食べてね」とのこと。お腹いっぱいになってこの辺りでこの日は終了する。ご馳走様でした・・・
*こちらのお店のご主人は東京生まれで東京銀座の名店「新富寿司」で修行。しかしながらお店が厳しすぎて1970年、大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で少し修行をして自分でこの店を出したと言う話もかれこれ25回は聞いている。名前は安田豊次、だから「すし豊」。いいお店です。
過去のすし豊はこちら
大阪市阿倍野区王子町2−17−29
06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日