平日の昼にふらりと一人で表記の店を訪問。現在、日本の熟成肉業態のパイオニアでありそのトップ牽引者でもある荒井世津子オーナーの経営する焼肉店の「又三郎」の2号店。「又三郎」のお店は現在食べログ焼肉部門の点数日本一の超有名店で週末は予約の取れない店となっている。店主の荒井世津子氏は過日に魔法のレストランでその生い立ちと熟成肉の開発までのご苦労をわざわざスペシャル企画でご紹介されていたので今や業界の有名人となっている。
彼女とはたまにプライベートで食事を一緒させていただく事があるんだけど自身のお店と食材の牛肉にかける情熱は半端ではないことにいつも敬服する。誰にも媚びず、一切妥協せず自身の理想を追い求める姿はまさに求道者か新田次郎の書いた「孤高の人」の主人公である加藤文太郎を彷彿させる。
業界の会合でも独特の慣習に対しても手をあげてハッキリと意見を申し述べると聞き及ぶが、その凛とした気概がこの店の商品や空気感など随所に表現されている。食べログで日本一になっても外国からわざわざこの店の熟成肉を食べにくる客が殺到してもホテルや百貨店からのテナントのオファーがあっても彼女の中の善悪と価値観のものさしをもとに実直に行動する姿は悟りをひらこうとしている菩薩のようにもみえる。
前回も紹介させていただいたがこちらの2号店の場所は長居から徒歩10分の超悪立地。そこに荒井ワールドのキラキラしたハイエンドな趣味のいいお店がひっそりとたたずむ。
店に入るとピカピカと光るショーケース。お店で作った熟成肉の入ったハンバーグやローストビーフ、焼肉セットやピクルスの詰め合わせ、熟成肉の販売までされている。。もちろんすべてこだわりの商品ばかり。。
熟成肉を使ったミートパイは400円。価値がわかる人には破格の値付け。お店でも食す事が出来るがテイクアウトして自宅でボルドーワインと共にゆっくりと頂くのがベストシチュエーションと考える。
多分、住吉区ではこの店以外では売ってはいないであろうキッシュ。キッシュを食べる生活というものが日本には浸透していないので朝食には少し重たいしランチには頼んない・・デザートなのか主食なのかわかんない・・・といったところが理由であろう。
ピクルスを漬ける原液も瓶も一緒に売っている。自分の野菜を塩水に浸けて野菜の水分を出して瓶にいれて浸けるだけ。とても便利・・ここに食事に来た客が帰りに熟成肉を買って帰りまくるので冷蔵庫のなかからカットしては出しての繰り返し。
エントランスにある巨大な熟成庫には和牛、あかうしが部位別にエイジングされている。オーナーは産地と牛の躯体にもこだわりがありまずは熟成してさらに肉質が美味しくなる牛のポテンシャルを追求されている。。
この日は熟成肉を使用したハンバーグ170グラムのランチセット2500円を所望する。カラトリーはお約束のラギオール。
看板商品の熟成ステーキは
モモ肉 100g ¥2,800〜3,000、150g ¥3,900〜4,300/フィレ 100g ¥3,700、150g ¥5,300/サーロイン 100g ¥4,300/150g ¥6,200
というラインアップ。
前菜の盛り合わせは豪州産の和牛を使ったとっても柔らかくていいサシの入ったローストビーフ。キノコのキッシュ、とうもろこしの冷製スープ、パンの下に隠れているのが熟成肉のリエット。よくあるのが豚肉で調理したものなんだけど牛肉は初めていただく。どれもがワインが欲しくなる丁寧で手をかけたものばかり。
サラダも新鮮でとってもおいしい。玉ねぎの風味のドレッシングは本店の大森シェフのスペシャリティーらしい。
フライドポテトも注文があってから丁寧に低温で揚げられる。普段はフライドポテトって食べないんだけど揚げたてはやっぱり美味しいと実感・・・
ハンバーグは最初にフライパンで両面を強火でさっと焼いてからオーブンでじっくりと焼き上げる。かなり時間はかかるけどパンパンにふくれあがった最高のコンディションで登場する。醤油ベースのさっぱりしたソースとマーマレード系の甘いジャムをつけていただく趣向。
吟味された和牛ミンチの中に熟成肉の塊がゴロゴロ入って噛み締めるごとに肉の旨味で口の中がいっぱいになる。ソースをつけずに頂いてもかなり美味しい。牛肉だけで作ったハンバーグを一つ間違えば尖った食感になって旨味も感じられない事が多いんだけどこのハンバーグは肉の滋味が前面に出た、しかもあっさりと頂けるように計算し尽くされたハイバランスなもの。。
コーヒーもついて御飯もしっかりと食べてお腹いっぱいで満足度100%で店を出る。とてもいい勉強をさせていただきました。付近にコインパーキングあり。
大阪市住吉区長居2-9-14
電話番号 06-7506-7826
月曜、木曜定休