偶然ある方からご紹介いただいた福島にあるお寿司屋さん。マンションの3Fにある隠れ屋。常に満席なので予約は必須。お店に入るとカウンター8席のみ。あと別に個室もあるとお聞きした。かなり高そうな感じだが何も言わずに黙って座ってすべてお任せでお願いする。
最初に生ビールをいただきながら先付けをいただく。素麺の上に鱧と松茸の乗ったもの。今年始めての松茸。涼感のある座付きはかなりいいセンスである。素材感たっぷりでこの店のもつレヴェルが伺える。
徳島の鯛。かなり美味しかった。。春先に美味しくなって産卵をして今からよく肥えてくる走りの鯛である。パクパクと食してしまう。
続いて和歌山の鯖。活かりけもあってコリコリしたフレッシュな状態。しかしベタ塩で2時間くらい締めてさっと酢に漬けた半殺し状態。かなりきっちりとした仕事をされている印象。生姜醤油でいただく。つい「おいしい!」と口に出る逸品。
店内はシンプルな感じで壁に安岡実篤先生の色紙があるのみ。お酒はかなりいろんな種類があってビール、シャンパン、白赤のワイン、日本酒、焼酎、ウイスキーなどタイプ別にたくさん置いておられる。シャンパンとお寿司ってよく聞くけど実は試した事がない。次回の楽しみにしよう。この日は最初に宮城の浦霞を所望する。
グラスに入ったトウモロコシのムースは清々しい佳作。さっぱりしていてもトウモロコシの風味と甘さがちゃんと残っていてついどうやって作っているんだろうと考えてしまう。すべての仕事で伝統的な手業と斬新さのバランスにうなるものがある。
活蛸は細かく目が入れられて食べやすくされている。もちろん見た目も素晴らしい。味も深くて日本酒によく合う。
カマスの柚庵焼き。醤油が少し勝っているがこれも日本酒のあてにはぴったりである 。。写真で見えないが2枚重ねなり。
日本酒のあとはシャンパンにしようか迷ったけど浦霞が美味しすぎてそのまま続けていただく。震災で酒蔵が潰れてしまったと聞いたが復興されている事嬉しく思う。
茶豆は山形産ではないがかなり濃厚な味。こういったもので休憩しながらボチボチお酒をいただくのはかなり贅沢な時間である。
そのあとピンピンの新しいホタテ貝の入った野菜サラダ登場。寿司屋で野菜サラダはかなり斬新。しかし旨いから文句はない・・・・それぞれの食材がかなり上質である。
握りの最初はマトウ鯛。口の尖ったカワハギみたいな魚だった気がする。身はネットリして脂もあってかなり高級な白身の食感と味である。鮨はかなり小さなサイズ。女性向きであろう。
僕はまぐろが苦手と言うと大きな蒸しアワビをごろんと大きく切ってくれて握っていただく。モチモチして旨味が凝縮されて死ぬほど旨かった。。
コハダは一枚漬け。7月のシンコは1貫原価で5000円と言っていた。もちろん高すぎるので仕入れないと言っておられた。東京のコハダと違って真っ白になるまで締めないのが大阪の高級店の特徴。塩は多めにして酢はさっとつけている感じ。生っぽさもあって実にシズリーな感じ。
鯵の締め方も同様.脂も乗っているのでかなり美味しい。。鯵なのに口の中で溶ける。魚の脂の融点が低いのかなと思っていたら豊後半島の関の鯵と言っておられた。
生っぽさを残して浅めに湯がかれたシラサエビ。ぽりぽりした食感と強烈な素材の甘さは比類なきものである。車エビよりもサッパリした感じ。海老好きの私にはたまらない食材。
お酒を旨口で所望すると賀茂鶴の大吟醸がでてきた。。かなり爽やかなんだけど辛すぎない。。瓶もゴージャスでワインみたいな感覚で飲める。
しっかりとすり身の入った厚焼き卵。完全なる江戸前の仕事。カステラのように甘いお店もあるがいつも閉口する。かなりいい塩梅で焼かれている事に感心する。
甘々の剣先烏賊。。食べやすいようにしっかりと目を入れている。烏賊は細かく目を入れれば入れるほど甘みが増すことは存外知られていない。
淡路島のムラサキ雲丹はひたすら甘い。もちろんミョウバンを使ってないので見た目はイマイチなんだけど粒もかなり大きくて最上級の素材である。
最後は穴子で笹の葉っぱに包んでいぶして加熱。。笹の香気も穴子に移ってえも知れぬ味わいとなる。
塩とツメの2種類が握られる。塩で食せは身の甘みがグッと際立って穴子自身の香りも楽しめる。煮詰めはより香ばしさがましてパンチのある印象となる。両方とも甲乙付け難い旨さである。
ご主人も気さくで敷居もそう高くはない。価格も新地の同レベルのお店の約半分くらい。。デートにぴったりかな。。また秋までに再訪したい。。
北区堂島3-2-7サンライズビル3F
06-6450-0666
19:00~25:00/土23時
日・祝休み
夜総合点★★★☆☆ 3.5