大阪の手打ち蕎麦の老舗。 18年くらい前に縁があってオープン当時通い詰めた。 大正区のはずれで駐車場もなく週の半分が休みで営業が昼間だけ。 出てくる蕎麦はへんちくりん(失礼・・) でも石臼を使ってそば粉をひいて器も手造りで私のアーティスチックな部分をくすぐり 面白半分でしょっちゅう食べまくった。 そのうちなくなるだろうと思っていたらもはや20年近い年月がたつ。 ということはやっぱホンマモンだったということ でもご主人と奥さんの温かい人柄やそば粉や器、つけ出汁にここまでこだわった蕎麦屋は その当時関西にはなかった。もちろんそれが大正区にあるというので 私もそばの味をここで初めて知った。 それまでは信州や越後や島根のごりごりの麻縄のようなものが蕎麦の定番で 食べればのどが詰まって窒息死しそうなものが蕎麦だと思っていた もしくは大阪ならではの恩地食品を代表するふにゃふにゃの小麦粉たっぷりの蕎麦しか知らなかった。 新今宮駅内のえびす蕎麦が世界で一番うまいと思っていたあの頃・・・ この店で目が覚めた このご主人のもとで修業をし今や老舗と呼ばれているお店(蔦屋や月山)は数知れず。 個人的に文化功労章を差し上げたい。まさに大阪蕎麦打ちの総本山。 お店は相変わらず生い茂った観葉植物の中に見えるファンキーモンキーな看板が目印となっている。 本当に久しぶりに伺う。奥さんとやあやあと言いながら鴨汁そばを所望。 いろんなところで最近鴨汁をいただくことが多いんだけど 出汁の加減は個人的にはとても好みである。回帰現象かも。 昔から醤油強めの味の加減であるがそれはノープロブレム 鴨汁は十分つけ出汁をそのまま飲めるレヴェル。 蕎麦は粗挽きの粒子とまだらな星が見え隠れする透きとおったタイプ。 香りが足らないとか風味がないというアホな意見もたまに聞くが この店の価値はそんなところにはなく グイグイした食感とコシを感じる舌触りはまさにオンリーワンであり先駆者の貫録。 ネギもトロトロで鴨肉も臭みも全くなく上質であることはすぐにわかる。 鴨肉から出る脂もかなりクリアである。 名物の太切りも当然いただく。ドイツの2億年前の塩や各国の岩塩を 少しつけていただくとモチモチのそばがきのような野趣あふれる食感に感動する。 ガシガシといただきモグモグと咀嚼する 見た目はオラオラ系でこれでもかという形の蕎麦なんだけど、 悪い意味でのそば特有の臭みがなく個人的にはあっさりと洗練されている様に感じる。 おろしたての山葵の香りが満喫できるわさび醤油もベストマッチ。 太い蕎麦に負けない力のあるソースはこれしかないと思った。 焼酎でいただきたかったが昼間なので断念。 大好きな天野酒と一緒にそばをいただく夜長は至高の贅沢かもしれないと思った・・・ 太切りそば 900円 細切りそば 900円(一つ半盛400円増、二つ盛700円増)と書いてあった 手挽きそば 1,200円 大根おろしそば 1,200円 鴨汁そば 1,300円 天野酒(大阪) 800円 大阪市大正区泉尾4-4-7 電話番号: 06-6553-7272 営業時間:11時~15時頃(売り切れまで)月、火、水曜日は、定休日
凡愚 (そば(蕎麦) / 木津川駅)