蕎麦

そば切り大城 12月

定期的に訪問する鶴ケ丘にある蕎麦屋さん。住宅街のど真ん中にあるんだけどお店の上質感と蕎麦の美味しさで最近は毎日満席状態。料亭のようなファザードと石臼のあるエントランスを抜けると1枚板のカウンタ−と広いテーブル席が目に入る。蕎麦屋さんはうどんと一緒で夜の営業が弱いんだけどこちらはそんな事はものともせず連日連夜大盛況。

前栽の見えるカウンタ−席は昼間は太陽光で季節の花や緑がキラキラ光り、夜は黒漆の中の生命の息吹を見ながら食事がで出来る。調べると私は2011年の夏からシーズンごとに訪問している。この日は友人とカウンタ−で日本酒と肴の会。

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まずは新生姜と茗荷の出汁冷奴550円を所望する。最近はこういったものが美味しいと思う嗜好になってきた。窓から見える蕾の堅い梅の木を見ながら「年々歳々花相ひ似たり、歳々年々人同じからず」という漢詩を思い出す。冷や奴って江戸時代では庶民も普通に食べていたという事は聞いたことがある。大名行列の槍持ち奴の家紋が豆腐の形をしていたことが語源と聞いた事がある。まさにそんな事に想いを馳せながら豆腐をいただく「年々歳冷や奴相ひ似たる」である。というかそんなことはどっちでもいい。

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この日いただいたお酒は「香住鶴」のひやおろし二夏越え。ひやおろしは普通、一夏越したお酒のことだけどこちらは春に作った加熱殺菌した新酒をタンクでひと夏熟成させて秋に樽詰めしてさらにひと夏冷蔵庫で低温熟成させたもの。山廃仕込みの腰太の酒質にまろやかな熟成感が加わり、とろっとした感触に舌が喜ぶ。

続いていただいた「老亀」の本醸造長期熟成はほんのり甘味があって紹興酒のような色と味わい。牡蠣フライやパンチのある料理と相性が良いと思う。

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毎年この時期にこちらのお店でいただく牡蠣の明石焼風1300円。玉子を混ぜた粉に付けて焼かれたもの。出汁に付けていただく趣向。お酒にドンピシャ。この日の牡蠣は広島産との事だが北海道の厚岸のものやその時期に一番いいものを選ばれる。酢牡蠣やカキフライも当然メニューに並ぶ。

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続いて茸と豆腐の小鍋1300円を所望する。茸のエキスがあわさったしんみりとしたいい出汁が秀逸。豆腐と日本酒って本当に良く合うなとあらためて感心する。。

〆に蕎麦をいただこうかと思ったが店が満席になってきたので後から来られる方に席を譲って店を出る。

過去の大城さんはこちら
大阪市阿倍野区西田辺町2-6-13
06-6691-0046
営業時間 11:00~14:00 17:00~21:00
定休 火曜日 第2第4月曜日


カテゴリー 鶴ヶ丘, 長居, 蕎麦 |

蕎麦切り大城 10月

鶴ケ丘にある表記の店を友人と訪問。居こごちもよくて蕎麦もお酒もおいしいということで最もヘビーユースするお蕎麦屋さん。

場所はJR鶴ケ丘駅から徒歩3分。住宅街の一軒家で見落としそうな小さな看板が目印。蕎麦屋然としていないファザードから重たい木の扉を開けてはいると大きな石臼のあるエントランスに続く内装も雰囲気があってまるで料理屋のような設え。

昼間は女性のグループ客等でいつも満席でワイワイガヤガヤしているが夜はシュッとした大人の雰囲気。お気に入りのカウンタ−に案内いただく。
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この日ご用意いただいたお酒は4種類。すべてのものを端から1合ずついただくことにする。福岡の純米ひやおろしの「ポルチーニ」は天ぷらやフライにドンピシャ。辛口ひやおろしの旭日もキレがあるけど旨味たっぷりのこの時期ならではの味わい。

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北海道仙鳳趾の牡蠣を使用したフライはプリプリでクリーミー。ひやおろしのお酒と相性抜群。サイズも大きいので大きく齧り付くと口の中が濃厚でコクのある牡蠣のエキスでいっぱいになる。

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カンパチのカマ焼きも脂一杯で咥内に残った魚エキスを辛口のお酒で洗い流しながらいただくとエンドレスにお酒がいただける気がする。

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続いては産地直送の雪国まいたけと大きな海老の天ぷらのアソートしたもの。カウンタ−の中でお酒をついでくれたり目配りしながらお世話していただけるこちらの佳人マダムのおもてなしも特筆もの。南果歩さんや黒木瞳さんに似ていると周りから聞くことが多い彼女は私の高校の一つ下の後輩。

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〆は鴨汁蕎麦。見た目は野趣あふれた曳きぐるみの玄蕎麦なんだけど食せばとても甘くて瑞々しくコシもしっかりして飲込んだあとに上品な蕎麦の香りが喉から鼻に抜ける。鴨汁に付けると汁に溶け込んだ鴨の脂が蕎麦の表面をコーティングして更に味わい深くなる。蕎麦の産地もお聞きしたんだけどひやおろしが美味し過ぎて不覚となり失念。

ライトアップされた選定されたばかりの前栽を見ながらおいしいお酒と蕎麦を楽しんだ秋夜の宴でした。

大阪市阿倍野区西田辺町2-6-13
06-6691-0046
営業時間 11:00~14:00 17:00~21:00
定休 火曜日 第2第4月曜日


カテゴリー 鶴ヶ丘, 蕎麦 |

ぐーちょきぱー 10月

お気に入りの表記のそばがき専門店を貸し切りにしていただき「そばがきと日本酒と月見の夕べ」を開催。カウンタ−に参加者11人キツキツに座ってそばがきを堪能する。現在そばがきの専門店は日本で2件だけ、その中の一軒がこちら。

JRの東部市場前から徒歩15分という辺鄙な場所にあるんだけどお店に入ると圧巻の内装に驚くこと間違いなし。特に古材を使ったドーム形の天井はお見事。店内の細部を見れば見るほど店主のセンスのよさというかアーティスチックで瀟洒なデザイン力に圧倒される。お店のあちこちにさりげなく飾られた食器を含めた装飾品もお店に自然に溶け込んでいる。店主のふーちゃんは伝説の名店「凡愚」で長らく修行され満を持して此方の店を開店。「そばがき」って郷土料理っぽくてねちゃねちゃしてネガティブなイメージがあるけど私はこちらのお店でいただいてから考え方が変わった。。

まずは瓶ビールで乾杯をしたのち前菜登場。

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板山葵、ひじきの炊いたん、丹波無農薬ぼちぼち農園の黒豆をクミンを入れて炊いたもの、フルーツトマトと柿のマリネ、鰯を少しスモークをかけて炊いたもの。食材、調理共々こだわりがありすぎる佳品。

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そのあと早速そばがき登場。福井産の丸亀産の蕎麦をミルで引いて小鍋で練り上げる。挽く加減で5段階の荒さを楽しむことが出来る。この日は店主のふーちゃん一人で対応いただく。

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この日は出来立ての1番と5番の両方をいただいて食べ比べ。きめの細かい1番はふわふわして喉に落ちてからの香りも上品。イメージするもそもそした感じはみじんもない。ゲランドの塩かネギ醤油でいただく。時間が経てば固くなってくるんだけどそれはそれで味わいも変化して美味しい。

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どこにでもあるようなちりめん山椒なんだけど店主の知り合いの95才のおばあさんの手作り品ということ。しっかりと水分を飛ばしていてかなり味が深い。日本酒がどんどん進みまくる。お酒は生野区にある「酒屋へちかん」でそばがきに合うこだわりの食中酒を中心にセレクションされる。このお酒のセレクションのセンスにいつも脱帽。

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続いて5番のそばがき登場。粒がまだ少し残っていて野趣溢れる味わい。しかし自然な甘味と透明感のあるそばがきの味は小麦粉で作るすいとんの粉っぽい感じとは全く種が異なるもので朱塗りの器に入って供されると高貴な食べ物のようにも見える。

使用している食器も土ものは友人の作家さんに作ってもらったり、グラスはオールドガラスを骨董市で買ったり、漆器は店主のお母さんが趣味で集めた古物と聞き及ぶ。棚には作家物の古九谷や古備前の器がさりげなく飾られている。

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ここで持ち込みのワイン登場。あまり辛すぎるものよりも少しだけ甘味のあるものが合うと思いドイツのリースリングのTROKEN仕様のものとアルザスのミュスカをセレクションしたけど思ったようなマリアージュにならなかったのが残念。酒のことは酒屋に任すのがいいと判った秋の夜。

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焼き味噌登場。。日本酒が進みまくって中毒状態になる。隣の席の友人女性3人組の話が止まらなくなっているのを冷静に観察。この松の実の入った自家製味噌も痺れる美味しさ。敷かれている昆布ははさみでカットして日本酒と一緒にしゃぶり続ける。
添えられている人参と胡瓜も無農薬栽培のもの。

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大好物の揚げそばがき。練り込まれたものを油で揚げることでそばがきの中の水分が飛ばされて旨味と香りが凝縮された感がある。素朴で優しくて蕎麦の香りがフワッと鼻腔に抜ける。これは次回シャルドネの泡といただくといいと思った。

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メインの前に豆腐の味噌漬け登場。さらに日本酒が進む。

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メインディッシュのそばがき鍋が登場。今の時期はマコモ茸などの天然の茸がいっぱい。

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沸いた鍋の中にそばがきを投入。鴨肉も入って秋の味覚の宝石箱状態。上質な昆布と鰹でとった出汁の中に茸と鴨肉のエキスが入ってそれをそばがきが吸い込んで何とも言えない味わいとなる。ビジュアル的にもかなり美しいコンストラクションである。

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朱塗りの器に取り分けていただくんだけどすべての素材のよさが補完関係となって一つの味が完成する見本のような料理で食材の出会い(相性)共々これ以上の完成度の高いものはないと確信する。

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鍋の出汁を少し残してそこに木村拓哉、ローラさんも食べている発酵玄米を投入。ランチタイムではkの発酵玄米のついたそばがきの定食をいただくことが出来る。

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これを雑炊に使用するとは何とも贅沢な〆であろうか。

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ぬか漬けもすべて御上手です・・

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デセールは蕎麦湯のシャーベットに自家製のマーマレードを乗せたものでさっぱり。楽しくて美味しくて飲み過ぎた3時間でした。参加した友人は大満足。記念写真を撮って帰りましたとさ。訪問するときは予約してね。。。

大阪市東住吉区杭全8-6-4
06-7710-1913


カテゴリー 東部市場前, 蕎麦 |