最近、虜になっている木津市場横にある魚だけを使用するイタリアンレストラン。月に一度訪問する。シェフの独創性と芸術性と味の良さにひかれて全く飽きることがない。まさに中毒状態・・・この日はコース料理にお任せのワインをつけていただいてこの店のすべてを楽しむ趣向。
スタートはヴェネト州のさっぱりとしたスプマンテを頂く。
最初は以前にも頂いた「豆と鱧」。骨切りをして燻煙火入れをしそれを凍らせてから削ってパウダー状に乾燥させた鱧と豆をペースト状にしたもの。三度豆や豆のペースト、豆を粉状にしたもの、泡のソースは出汁の味がする。全体をかき混ぜて食すバランスのいい相性を見せる。一品に費やす手間に驚愕。
すべてを頂くといきなり眼をあけたまま空を飛ぶ夢を見ているような感じに捕われる・・・・・・スプマンテとのマリアージュもかなりいい。創作料理のようだがミシュラン一つ星の北イタリア、リミニ州の同名本店から暖簾分けを許された実力を持つ若きシェフの実力は異なる食材の相性を科学的に考察し、調味料やハーブを触媒としながら緻密に論理性を確立しながらつくられるので何を食しても美味しい。食器はすべて暖かみのあるイタリア製の「ヴィルジニア カーサ」。
芸術家のようなシュッとした容姿の若きシェフは物腰が柔らかでとても不思議な印象。
「真鯛とトマト」西瓜のマリネのソースが秀逸。玉ねぎのパウダーがなじみの良さというか食べやすさに一役かっている。食材は当然となりの木津市場から入手。皿をキャンバスに見立てて変幻自在の盛りつけもかなり楽しい。
この料理には「レカニエッテ オッフィーダ ペコリーノベロニカ2012」をあわせる。華やかな柑橘系の香りと酸味があり、あとからしっかりとしたコクが感じられる。
「貝とはっさくと茄子」貝はサザエと今が旬の鳥貝と北寄貝でどれもが新鮮きわまりない。底に敷かれたサザエの肝のソースの苦みと焼き茄子をペーストにした苦み、はっさくの身と白い皮の苦みを合わせる高スペックな取り合わせに脱帽。透明のジュレもはっさくである。ビジュアルも強烈な個性を持つ。これは味の芸術作品である。
この料理にはサンタカリーニナヴェルメンティーノを合わせる。
「蛸と椎茸」やわやわに炊かれた蛸と椎茸の刻んだものを合わせた和風な感じのものだけど全くのイタリアンに仕上げているのが素晴しい。ジュレというかソースが椎茸とスモモのコンフィチュールで仕上げたもの。
この料理は蛸料理に合う赤ということでデルバテッレのピノネロをあわせる。
かなり豊かな果実実とカシスの香りが特徴。酸味と軽いタンニンも感じられかつ滑らかでコクのある上質のイタリアワインらしいもの。
「ヤマメとアーモンド」はそれぞれをミックスブレンダーでペーストにしたもの。ヤマメのペーストは生まれて始めて頂いた。その上の野菜の付け合わせはメロンとエストラゴンのジュレを今が旬の加賀胡瓜に閉じ込めたもの。カタバミの葉っぱの酸味もアクセントになって青梅の味もする・・・
この料理にあわせるワインは白のヴィンテージ・トゥニーナ。今やイタリアの白ワインの造り手としてナンバーワンと言われるイエルマンのもの。
辛口の重口でコクもあって蜂蜜や果物のようなアロマも強く感じる。かなりエレガントかつ個性的で複雑な味となっている。
「鯉と大豆」イタリアンで鯉料理を始めて頂く。自家製のきな粉と合わせる和風テイストのセンスが強烈。黒酢と実山椒のソースでコクをつける。甘夏の小さな苦みと甘味も味に深まりを持たせる。地味であるが本日一番のアーティスチックなエナジー溢れる料理である。これぞ新時代のイタリアン。壁ドンされて押し倒されてしまうような衝撃。
この個性的な料理に合わせたのはメニューにはないサン・パトリニャーノ AVI(アヴィ) 2008。濃いガーネット色でスミレの花の香りとプラムのような酸味っぽい香りとナツメグ、枯れた木の香りというか三菱鉛筆の香りがする。骨格がしっかりしていて苦すぎず軽いタンニンも感じられる。
「シャコと三つ葉のパスタ」パスタは太麺の「マンチーニ(Mancini)」しっかりとしたコシがあり噛み締めると小麦の味がする。三つ葉が懐かしい味でいい香りがする。シェフは三つ葉をハーブに見立てているのであろう。とても繊細で前衛的・・・
メインの「鰆とトウモロコシ」鰆の火入れがいつもながら完璧。いわゆるミキュイと呼ばれるもの。皮のぱりっとした部分ととうもろこしのソースと実とポップコーンでつくったメレンゲの組み合わせは心の中に指を入れられたような衝撃。
最後のワインはブルゴーニュ。これもメニューにないものを出してきてくれた。マコネ地区の中で最も有名なA.O.Cの一つの「プイィ・フュイッセ」。
明るめのレモンイエロー で柑橘系の香りとリンゴや花、ナッツの香り、軽くスパイスの香りも感じられる。ミネラル感もありながら樽も効いていて豊かでコクもあり果実味たっぷりの繊細で上質なシャルドネらしい吸い込みのいい個人的にも大好きな味感。これぞブルゴーニュのシャルドネといった感じの白。
「ベリーとストロベリー」甘くて酸っぱくて冷たくて苦い。ベリーのソルベがいい口直しになる。
最後は杏仁豆腐のホワイトチョココーティング。下はクラッシュしたクッキーと杏。
多分ホワイトチョコはヴァローナのフェーブイボワールであろうか。間違っていたらごめん・・・
気がつけばすでに3時間経過・・・この日も楽しく頂きました。
最後にシェフが自身の手書きメニューを見せてくれた。了解を得て公開してます・・・・
大阪市浪速区敷津東2-2-1-317 なんば木津まち横丁「○(エン)」内
TEL:06-4395-5150
営業時間:18:00~23:00
定休日:水曜日