粟 ならまち店

ならまちにある大和野菜を使った料理を提供するお店を御紹介いただき、私どもが奈良県の店舗運営でお世話になっている天理在住の超売れっ子フードコーディネーターの先生とともに訪問する。

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築130年の古民家を改装した店内は天井も高く落着いた雰囲気。あちこちにカボチャを中心とした大和野菜をディスプレイしたり収穫の写真や畑で栽培している生産者の写真などを飾り、いい空気感とそれっぽさを醸し出している。お店はテーブル席、屋根裏を改装した階上のたたきの間、いくつかある個室など人数と用途によって案内いただける。

料理は大和野菜と大和肉鶏のコースなど4種類ほどのコースと単品のメニューがある。この日は一番高い「大和野菜と大和牛のフルコース」5000円を予約する。2015-10-19 18.59.24

ビールで乾杯をして突き出しのパプリカの生姜醤油マリネ登場。ぴりっと辛くてビールにぴったり。アルコールは奈良産の地酒や焼酎などがしっかりとラインアップされる。

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そのあと名物の10種ほどの大和伝統野菜を使った料理が小鉢に入った籠盛り登場。

しっかりとした歯触りで味の濃い「大和丸茄子の田楽」「大和牛ローストビーフ」東吉野産の「まつり豆」、「間引き人参」、ガラスの器に入った「汲み上げ湯葉」と「手作り蒟蒻」と「野生のガーキン(イギリスでよく栽培されている胡瓜の一種でピクルスによく使われる。日本の一般的なキュウリよりかなり 固め)」、真ん中の白い器に入った「ラディッシュと隼人芋」など

その横の小鉢に入った黄色い「素麺かぼちゃの甘酢」その横の「白菜とバターナッツ」「大和牛時雨煮」「自家製豆腐と柿の醤油漬け」「マコモ茸のオーブン焼」「大和まなと揚げの炊きあわせ」など。

自身で野菜の栽培もされるフードコーディネイトの先生の解説もいい勉強になる。

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味もさることながら見た目でも十分楽しませてくれる。女性を意識した料理で材料の生の野菜を見せてくれながら一つ一つ丁寧に説明があるのでそれはそれでなかなか物珍しさも手伝って楽しい。接客もとても丁寧で好感が持てる。

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ここで温野菜の炊き合わせが登場。すべて一口大に包丁されたものは小さな宝石箱のよう。中身は薄味に調味されたラグビーボールのような形をしたとても甘いロロンかぼちゃ、椎茸、人参、冬瓜、牛蒡、ひも唐辛子、自家製凍り豆腐、粟餅。これに吉野葛を合わせたとろみのある餡をかけて木のスプーンで頂く趣向。とても優しい加減で野菜のおいしさと相まってかなり上質な逸品である。

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メインディッシュの大和牛の陶板焼き。肉は90gのリブロースとの説明。
ブロック状にカットされた大和牛が5切れと大和野菜を陶板と固形燃料を使って自分で焼く趣向。ソースはポン酢、岩塩、金山寺味噌。大和牛の脂で野菜を焼いていただくといい香りがついてとても美味しい。付け合わせの焼き野菜は小松菜、チンゲン菜、キャベツ、万願寺唐辛子、レッドムーン、マコモダケ、バターナッツ、隼人瓜、赤玉葱など。

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陶板が小さいので焼くのに一苦労。でもこのようにチマチマして焼く所作が女性に受けるのであろう。肉は普通においしい。厚みがあるので食べ応えもあり。

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〆は麦縄つけ麺で吉野葛を練り込んだ太目の素麺。これをぴりっと辛くニンニクの風味を感じる白味噌の入った豆乳汁につけて食す。ふにゃふにゃしてツルツルでとても面白い食感である。

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デザートは酒粕のムース、刀根早生柿、無花果のアソート。素朴で上質で価格もそう高くなく記念日や女性の集まりにぴったりのお店です。生まれて初めて頂く野菜も多く、大変いい勉強させていただきました。お昼はもう少しお手頃なコースもあり。

奈良県奈良市勝南院1番地
TEL0742-24-5699
定休日:火曜日
11:30-15:00(最終入店13:30)
17:30-22:00

粟 ならまち店郷土料理(その他) / 近鉄奈良駅京終駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5

和食 奈良県

本家鶴喜そば

朝から世界遺産である比叡山を参拝してそのあと寺の門前町である坂本にある表記の店を訪問。

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以下公式HPより抜粋・・・・

比叡山麓・坂本名物「本家鶴喜そば」の由来
天台宗比叡山延暦寺は、昔より宮様が座主として御座りになられた関係で、京都御所より度々ご来賓が在りました。山上では、食べ物も非常に不自由でしたので、累代、我祖先が蕎麦調製の為山上に仕出して居りました。又、比叡山で断食の行を終えた修行僧たちが、弱った胃を慣らす為に、蕎麦を食しました。

坂本はかつて三塔十六谷、三千坊といわれた比叡山延暦寺の台所を預かる門前町として栄え、参詣の人々で賑わいました。享保初年に当代鶴屋喜八なる人が坂本の里に蕎麦営業の店を開設し、以来代々業務に従事致しております。其の間、実に二百九十年の古き歴史であります。

明治四十五年に滋賀県に参謀演習がありました時に、皇太子(後の大正天皇)が御成りになり、湖東彦根に御 駐泊になりました。宿舎より伊吹山を御眺めになり、当山に昔より栽培する山蕎麦の説明をお聞きになり、朕に其蕎麦を取り寄せよと仰せられました。時の滋賀県知事川島純幹氏が当店に命ぜられましたので、早速調製して差上げましたところ、非常にご満足にて御意に召し、還幸の砌には明治天皇の御土産として御持帰 りになられました。爾後昭和天皇御崩御迄、宮中年越蕎麦は、必ず当店より納入いたして参りました。

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最初にビールを頂いて肴に鰊の炊いたものと玉子焼きと天ぷら、鰻ざくを所望する。天ぷらの海老は冷凍のブラックタイガーであるが価格を考えるとそんなものかと思う。

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創業300年のこちらのお店の現在の当主は8代目らしく9代目も現在50歳でこちらの店で蕎麦を作っておられると聞き及ぶ。現在の建物は築130年の入母屋造で平成9年5月23日、国の登録有形文化財にも指定されておられるらしい。

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こちらの創業者が延暦寺の厨房担当を勤められておられた方で電話番号も延暦寺は077-578-0001でこちらのお店は077-578-0002ということ。これだけでもこちらのお店の延暦寺との結びつきの深さが窺い知れる。

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テーブル席から見える中庭は「折鶴の庭」という名前で比叡山と琵琶湖を模した築山枯山水と案内に書かれていた。庭の中心には、創業当時から据えられていた春日燈籠が置かれている。

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蕎麦は昔からずっと手打ちにこだわっているらしい。朝のうちに一日分のそばを打つと仲居さんが言っておられた。

蕎麦粉と小麦粉の割合は「7:3」蕎麦はアメリカ産のそば粉を使用しているらしい。アメリカ産の蕎麦も最近は有機農法(オーガニック)で作られたものもあるので一概に否定は出来ないが300年続く老舗蕎麦店がアメリカ産のものを使っているという皮肉さに可笑しさを感じ得ない。

廉価な蕎麦は中国産のものも最近よく見る。国産蕎麦に少しブレンドして使用するのが一般的。上品質で高価なものもあると聞き及ぶ。この他にもカナダ、オーストラリア、ミヤンマーなど世界中の寒冷地で蕎麦が栽培されている。TPPが施行されれば更に価格が下がりもっとたくさん出回るのは間違いないであろう。

のど越しはあまりよくないが玄蕎麦の香りはしっかり感じる。だしは、さば、うるめ、めじかと、鰹などのブレンドと昆布で作られているごく普通のもの。しかしながらあっさりしてまろやかな口当たり。言い換えればうす過ぎて蕎麦汁をいくらつけても蕎麦に馴染まない緩い調合。

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蕎麦焼酎を蕎麦湯で割ったものを頂く。焼酎の量が多過ぎてむせ返るほど。。途中で蕎麦湯だけ持ってきていただいて注ぎ足すと2杯分頂けてかなり得な気分。これがとても嬉しかったので気分よく店を出ることが出来た。

比叡山和労堂店や京都四条河原町の阪急百貨店にテナントで入っている鶴喜そばは比叡山麓鶴喜蕎麦という名前でこちらとは経営が違うようである。でも観光地だからこんなものと言えばこんなものかな・・・・

滋賀県大津市坂本4-11-40
077-578-0002
営業時間:10:00~18:00(L.O.17:45)
定休日:第3金曜日

本家 鶴喜そば 本店そば(蕎麦) / 坂本駅松ノ馬場駅比叡山坂本駅

昼総合点★★★☆☆ 3.0

蕎麦 滋賀県大津市

おごと温泉 花街道

琵琶湖の西端にある「おごと温泉」で現在最も女性に人気があるといわれる表記の旅館に宿泊。雄琴界隈は昔からソープランドが立ち並び(今もあるが)雄琴温泉の近くの琵琶湖で若い女性が泳ぐと妊娠するという都市伝説も昔に聞いたことがある。そんないわば風俗街と呼ばれる温泉街のなかで近江牛や地元の食材をふんだんに使用し多くの女性客を中心とした固定客に支持されている名旅館である。今回はこちらの旅館のオーナーでもある美人女将にお会いするのが楽しみだったんだけどあいにくこの日は所用で留守だったのが残念。

ゆっくりと温泉につかって夕食はジャズコンサートのディナーショーを相伴する。料理は俵屋等で修行をされた近江の名工である料理長の指揮のもと、地元の食材をふんだんに使った会席料理が中心となる。館内に料亭の施設もあり日帰りでの温泉と食事を楽しむことが出来ると聞き及ぶ。

今回はディナーショーと言うこともあり会席の簡易版を宴会場で頂くこととなる。

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ビールで乾杯をして三段の塗りの箱に入ったものが最初に登場。

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蓋を開けると上段は口取りとなる。春菊と菊花の白和え、粟麩、胡桃豆腐やさい味噌掛け、鯖小袖寿司、イクラと長芋、手長海老、むかごカステラ、しめじと燻製チーズの松葉刺し。

どれも丁寧に手作りされた玄人受けするものばかり。何を頂いてもとても美味しい。これだけで日本酒が3合は飲めそうな感じ。

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お造りは養殖鯛、甲烏賊、琵琶ますの3種盛り。これは特にどおって事はない。しかしサービススタッフの目配りと対応はさすが。

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半熟卵、真魚鰹西京漬、じゃがいもで作った木の葉、松葉蕎麦、炙りサーモン、貝柱、玉ねぎ、こんにゃく寒天の湯葉巻、舞茸など。

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小鍋は大振りに切り出された松茸と甘鯛、近江地鶏と季節の野菜。出汁の美味しさは群を抜いている。仕事がとても丁寧ですべてがワンランク上のできばえ。

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洋皿として近江牛の湯引きの野菜巻。三杯酢のジュレがかかる。牛肉の凝固点以下の温度で軽く湯引きされ脂を適度に落とした近江牛は赤身部位だけどとても柔らかで舌触りもよく肉の旨みが口の中で炸裂する。三杯酢の酸味が肉のおいしさをより引き立たせる。

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食事は近江のコシヒカリのとんぶり入りとろろ芋掛け。米の美味しさは秀逸。新米ということもあるが今まで頂いた白米の中でも有数の優れた食味を感じた。

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デザートは濃厚なプリン、シフォンケーキ、巨峰、無花果の盛り合わせ。

すべての料理が一級品である。価格もそう高くないのでちょっと贅沢したいときに期待を裏切らない食事と施設である。これからの紅葉の季節は大忙しと言っておられた。

びわ湖花街道旅館 / おごと温泉駅

夜総合点★★★☆☆ 3.0

和食 滋賀県