北新地の表記の和食店を友人と訪問。毎月定期訪問しているお気に入りの店の一つ。纐纈、capi、TOMONOなどのたくさんのミシュラン店がひしめく「北新地プレイスビル」の7階に位置する。同じフロアの隣は天ぷらの沼田が入る。各店舗の料理開始時間の18時にはエレベーターが大混雑。ビルが火事になったらかなり危なそうな感じ。
檜の1枚板のカウンター席からはオープンキッチンの厨房が全て見える。そのライブ感もご馳走で35歳のイケメン稲家店主の料理所作を見ながら、また軽口を交わしながらの食事はとても楽しい。
こちらの店主は神戸の正攻法のミシュラン和食店「植むら」のご出身で料理の流れや献立などはいくつか継承されたものがある。毎月献立の変わるコースは18000円(税・サ別)。お酒を含む支払いは一人30000円くらい。(高級ワインやシャンパンを所望するとかなりの値段になる)
場所柄どうしてもホステスさん同伴が多く席は自然と賑やかな感じとなる。20時の同伴時間には食事が終了するようになっていることにもいつも感心する。席数はカウンター8席のみで18時と20時50分スタートの2回転制。18時の予約は年内満席とのこと。
ご主人の大きな声での挨拶の後、座付は夏らしい長芋素麺にモロヘイヤのすり流し。ネバネバ大会で元気が出そうな一品。
続いてはレアに火入れされた明石の蛸。「自家製からすみは」ミディアムな干し加減でかなり美味しい。粘りのある加賀野菜の金時草のお浸しが添えられる。
日本酒を所望すると桐箱に入った江戸切子の酒器が登場。好きなものを選ぶことができる。勢揃いの酒器を見るには誰よりも早く日本酒を注文するのがコツ。
煮物椀は炭火で焼いた種子島のシブ鯛(フエ鯛)。脂が乗りまくりで関西で見かけることはほとんどない。切り身を見るとかなり大きな魚体サイズと思われる。磯魚だけど磯くささは皆無で夏にしか獲れない高級魚。添えられるのが焼き茄子。吸い口は青柚子。シンプルだけど魚の脂と合間って出汁がかなり美味しい。
刺身は長崎のメイチ鯛の薄造り。これも旨味と脂っ気が強い白味魚。
初見の女性作家の新作の江戸切子。柔らかい色使いが女性作家らしい。
焼き魚は2キロ級の白甘鯛の鱗焼き。丁寧に炭火で焼いて逆立ったパリパリの鱗とふわふわの身がとても美味しい。いつもかなり良い上質な食材を使用される。店主の目利き含めて素材に糸目をつけない仕入れに敬服する。白甘鯛は3キロオーバーだと10万円超えと言っていた。添えられるのは岡山産の白桃の甘酢漬け。
続いて走りのイチジクの白扇揚げ。濃厚な胡麻酢をにカシューナッツを加えたものが下に敷かれる。
宮崎牛のミスジ部分の鍬焼き(フライパン焼き)。少量だけどかなり美味しい。北海道産アスパラと大きなオクラが添えられる。ワインと合わせると美味しいだろうと推察する。
渡り蟹とフカヒレの入った春巻き。「6月にいただいた肝の入った鮑のコロッケも美味しかったな・・・」と思いながらいただく。それぞれの食材の食感の妙と和食の料理になっていることに感心する。
食事は釜炊きで最初に炊きたての白飯が一口だけ供される。続いて北海道産の玉蜀黍ご飯、牛しぐれ丼、兵庫産の柚子素麺と続く。ここまでいただくといつもお腹がはちきれそうにいなる。
デセールは抹茶アイスと白玉とこしあん。細部にも心を入れる細やかな仕事にいつも感動しながら店を出る。
この日いただいたお酒は4種類。どれも好みのものばかりで嬉しかった。来年6月までの予約を取って店を出る。ごちそうさまでした。
過去の稲家はこちら
大阪市北区曽根崎新地1丁目10番2号
06-6341-317