表記のお店に友人6名と訪問。貸し切り状態で3時間くらい食事をゆっくりと楽しむ。6月に新地の名店「平野」から独立された福田氏は弱冠31歳。。若き店主の宮崎弁がいい味を出す。。7席のみのカウンターでお任せのコースを頂く。お店の名前は「ふく吉」と書いて「ふくよし」と読む。食べログにも記念の初投稿。
先日同じ「平野」から独立された店主が営む「清水」も訪問させていただいたがその内容の差を見るのも楽しみである。
場所はアメリカ領事館の北側。この辺りは北新地に比べてしっとりとした大人な店が多い。寿司店も白木カウンター12席の乾山系の「鮨 林田」やカウンター8席の隠れ家風の「鮨ろく」、ミシュラン1星の「鮨 美菜月」などの高級寿司店の立ち並ぶ激戦区。
最初にビールで乾杯。。。
突き出しは山形の茶豆。。こういった普通のものが存外嬉しい。。
白木のカウンターのつけ台に直接魚や寿司が置かれる。脂乗りまくりの鯛とメイチ鯛。メイチ鯛のねっとりした舌触りと熟成された白身独特の旨味に驚く。磯釣りの夜釣りでよくとれるこの時期だけの高級魚。。
「今年は韓国産の鱧の入荷がなくて」とご主人の弁。この日は沼島産の鱧の焼き霜造り。ワサビと梅肉と酢味噌の三種類。仕事も丁寧で皮も柔らかい。旨味も脂も充分乗ったかなりいい素材である。
泉州のワタリガニを三杯酢で食す。蟹の味噌を味醂と出汁で味を整えたものがかかる。富山県の日本酒と一緒に頂くと目が飛び出るくらい旨かった。
「平野」と同じ仕入れ先から入れる鯨ベーコン。塩気も少なくて鯨の臭みやクセが全くない。かなり上質である。。本来の鯨ベーコンてこういうものであることを再認識。日本酒との相性は言わずもがな。
蛸の柔らか煮は灰汁を抜いた辛子を添えて。もちろん驚くほど柔らかい。舌でつぶせるくらいの硬度である。大根で叩いてジアスターゼを細胞にしみ込ませて炊いているのであろう。かなり高度なテクニックと手間が必要な一品である。しかし美味しいので一瞬で食してしまう。
鯛の酒盗和え。軽く塩で締めているので水っぽさは全くない。ああ美味しいねえとつい口に出る逸品。
出始めの秋刀魚。皮はパリッとするまでしっかりと焼き込む。辛み大根と酢橘で食せば目眩がしそうなくらい美味しい。秋刀魚ってこんなに美味しいものなのかと再認識する。
ここで煮物椀登場。。旬の松茸と鱧の出会いコンビ。鱧は丁寧に骨切りされて吉野葛を薄くまとう。水なすを丁寧にむいて翡翠色になるように火入れする。鰹節のよく効いた塩分濃度低め(塩と醤油と合わせて0.7%くらいであろうか)の出汁はとても味わい深い。鱧の脂もじんわりとにじみ出てしんみりとしたええ塩梅となる。
ここから握りの始まり。。シャリはほんのり温かくてやや固め。大分産のヒノヒカリを使用しているとの事。まずは少し塩をして締めたメイチダイ。。。煮切りとの相性もいい。
大好きな細魚はかなり甘い。仕入れを吟味されている事がよくわかる。。パッと見た目は普通だけどこういった魚は食材の産地、輸送、下ごしらえそのすべての要素が変わるだけで確実に食味が変わる。
瀬戸内の釣り鯵。。握りのビジュアルも美しい。綺麗なものは美味しいと昔から決まっている。甘い脂が大脳を刺激する。。80センチはある大きな包丁を使って出来るだけ魚の細胞を壊さないように静かに切り付けをするご主人の姿は31才に見えない。。
細かく目を入れた剣先イカはひたすら甘い。。コリコリしているだけでなく適度に熟成をさせているのであろう。旨くて甘い。。
お店は男性2名と給仕の女性で行なう。ワインやシャンパンなどもそろっていてそのようなマリアージュもありと思う。仕事の所作や手元がとても美しいご主人お仕事ぶりは見ていてとても面白い。貸し切り独特のお店との一体感があってかなり会話も盛り上がる。
かなり大きなシラサエビ。甘みが上品。。味噌もとっても美味しい。レアに湯がかれていて海老の旨味が最大限に活かされている。。海老好きの僕はかなり嬉しい。。
「平野」や「清水」と同様の脂ののった穴子を熊笹に包んで温め握る。煮詰めもかなり上質でかなりの時間と手間がかかっている感じ。フワフワのトロトロでこの店のものがたぶん究極の穴子の握りであると断言出来る。。
皆が鉄火巻きを頂いている間に私は剣イカの耳を所望。コリコリして美味しい。
かんぴょう巻が出てきて口直し。。もうこの頃になるとお腹がいっぱい。
最後はデザート代わりの玉子焼き。これも平野と同じお約束の美味しさ。。雲丹とかも頂いたんだけど写真撮り忘れ。。かなり上質な材料と仕事でいい時間を過ごさせていただいた。
大阪市北区西天満4丁目11番8号
営業時間:5pm-11pm 不定休
Tel:06-6809-4696
ふく吉 (寿司 / 大江橋駅、東梅田駅、なにわ橋駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.8