又三郎 新春【大阪市 長居】

正月は市場等が休みのために毎年なかなか美味しい食事どころを探すのが難しい。これを正月外食難民と呼ぶ。(勝手に考えた)たまたま21時からの席があると聞き、大阪食べログ焼肉部門ナンバーワンの言わずと知れた表記の店を訪問。夜の営業は早い時間帯から1日3回転する超繁盛店。辺鄙な場所にあるお店なんだけど21時の入店でも店の活気は衰えない。店主の荒井世津子氏に「大繁盛ですね〜」と聞くと「今日はそれほどでもないです〜」と余裕の返事。

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この日はお決まりの「熟成肉と焼肉を味わうコース  6,800円」を所望する。お正月なので酒屋で買ったおめでたそうなスパークリングを持ち込んで抜栓していただく(別途持ち込み量が必要)しかしながら味はイマイチで残念。

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最初に熟成肉と骨でコンソメストックを取った茸のスープ。トリュフ好きの私にはたまらん座付き。濃厚でコクがあって身体に染み込む滋味深い味わい。

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前菜は熟成肉が入ったソーセージ、野菜のマリネ、スモークタン、塩漬けした豚バラ肉をカリカリに焼いてスライスしたものと玉ねぎで作ったドレッシングがかかったサラダなど。毎度いただいているものだけど毎度美味しい。

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この日の素材は宮城県の和牛のイチボ部分。12月6日からの熟成なのでほぼ30日。赤身肉だけど綺麗な小サシが入っていて見ただけで美味しそう。。

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この日は正月なので黒のモスキーノのセーターとプリンセス風のスカートを纏った荒井オーナー自ら新年の挨拶とともに席を担当いただき美味しく目の前で焼き上げていただいた。焼肉も自分で焼くより人に焼いていただいた方が美味しく感じるのは不思議。去年ロスアンゼルスのハリウッドで綺麗なインド人女性スタッフの方に焼いていただいたらいつもの2倍くらい美味しく感じたのを思い出す。

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何度も焼いては寝かして余熱で火入れされた熟成肉の塊はキッチンでカットされて美しく盛りつけられて登場。カンボジア産の胡椒のペーストと岩塩でいただく。付け合わせは蕪とインカの目覚めのソテー。肉は85gらしいけど肉の味が濃厚なので見た目以上にボリュームというか食べ応えがある。

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このあとの焼肉はバラ、ロース、ハラミ、モモ、カルビを1枚ずつ楽しむ。ホルモンを合わせるのも可。

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ライスとスープのセットと一口カレーのどちらかを選ぶ事が出来るので迷わずカレーをいただく。和牛の筋や肉がしっかり入ったパンチのある辛口の本格的なタイプ。

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コースのデセールはグランドメニューの中から好きなものを選ぶ事が出来るが私はブルーチーズと赤ワインを所望(別料金)

この日は外国からの客も2組くらいいて静かに熟成肉を楽しんでおられた。現在こちらのお店では熟成肉のコースを注文される客が8割以上。夜に席を確保出来ない客が昼間に夜のメニューを特別に注文される方も多いと聞き及びます。現在の熟成肉ブームとは一線を画したハイスペックなディナーレストランです。

過去の又三郎はこちら

大阪市住吉区長居2-13-13
営業時間:11:30~14:00 17:30~23:00
定休日:月・木曜日

大阪市 長居 焼肉

又三郎 12月【大阪市 長居】

熟成肉の焼肉店のパイオニアとしてはあまりにも有名な表記の店を訪問。夜の予約はほぼ取れないので日曜日のランチタイムに夜のメニューを無理いって出していただく。この日は「友人を励ます会」としてこの店では珍しく熟成肉ではなくスタンダードな焼肉を楽しむ。

ビールで乾杯をしてアラカルトで好きなものを所望する。こちらのお店は和牛を一頭買いされるので熟成に向かない部位は焼き肉やハンバーグなどに使用される。当然の事ながら希少部位もたくさんあって一番美味しい状態のものをそのつど提供いただける。

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この日のお店はプロのデザイナーさんがクリスマス仕様に手がけられていてとてもゴージャス。夜はキラキラ光って更に美しいらしい。

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この日の訪問の目的のハラミとサガリの食べ比べ。こちらのお店では希少部位の和牛のハラミとサガリを安定供給されている。写真の左がサガリで右がハラミ。上段がネギ塩で下がタレで提供いただいた。部位は横隔膜で内臓に分類。1頭の牛から紐状のハラミが2本とサガリが一つしか取れない。それぞれタレは2500円、塩ダレ2600円。

ハラミの方が脂感があって野性的な肉の旨味も強く深い味がする。サガリはハラミよりも柔らかくてあっさりして食べやすい。和牛なので旨味もたっぷり。白いご飯と一緒にバクバク頂いた。

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丁寧に焼き加減を見計らっていただく。炭火なので火力の調整がとても難しい。

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そのあとサガリ部分の筋部分を塩焼きでいただく。焼肉店用語で言えばハラミサガリの筋と呼ばれる。旨味が強く歯ごたえもあり脂も甘くてこれが一番気に入ったかも知れない。

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このあとは赤身ロース1900円と塩タン2350円、塩カルビ1050円といただく。キムチとナムルも上質感があってとても美味しい。高級ホテルで焼肉をいただいているような感じ。

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ホルモン盛り合わせはレバー1100円、トロテッチャン800円、アカセン(ギアラ)910円、ツラミ840円。どれも新鮮で世間のモノよりもワンランク上の美味しさ。

ビールも沢山いただいてお腹いっぱいで店を出る。熟成肉のステーキランチは4500円から。夜に予約を取るのが困難なために昼間に熟成肉ステーキを食べに来る客でこの日も満席。

この日の訪問はランチタイムだったのでオーナーマダムはいらっしゃらなかった。連日の忙しさにもかかわらず肉の仕入れや提供方法などお客様に喜んでいただくために細部にこだわりをもたれ、繁盛店視察を繰り返し常に自己研鑽にも励まれている姿に敬服する。

社員教育も厳しくてドリンカーの裏側のデッドスペースが指導教育の場として知られている。運がよければ指導している姿を見る事が出来る。でも優しいときもたまにある。

従業員満足のために1月から定休日を更に増やされると聞き及ぶ。交代制ではない飲食店の完全週休2日制は初めて聞いた。働く側からすればかなり嬉しいと思う。こういう思いきった判断が出来る経営者は稀でこれが大阪でナンバーワンの繁盛の秘訣であろう。

客の立場でいえば更に予約が取れない店になるので困るのだが・・・

以下お店のHPより

日頃は、又三郎をご贔屓頂きまして誠に有難うございます。
今年も師走を迎え、あっという間の慌ただしい一年を終えようとしています。
又三郎も11月17日で新たな28年目を迎えることが出来ました。

ひとえに又三郎にお越し下さるお客様と、
共に働くスタッフのお蔭と心より感謝申し上げます。
開業して28年経ちましたが、
最初の10年は何事も上手く行かず、打開策も見当たらないままの年月でした。

ただ、他に選択肢がなく「この仕事しかない」と思って続けていたように思います。
それからの10年は、働くスタッフとのチーム作りに試行錯誤と迷走の日々でした。
一緒に働きながらも、価値観や想いの共有は難しく、人の入れ替わりも多い時期でした。

そして、この7~8年はスタッフも定着し、その結果、安定したお料理をお出しすることが出来るようになって参りました。
サービスのレベルは一朝一夕に上がりませんが、又三郎で働いてくれるアルバイトスタッフを見ていると、社員とアルバイトの垣根無く仕事を与えるられることに「抵抗」を感じるのではなく「やってみたい」気持ちに傾いているように見え、若い人の意欲や成長に希望を感じています。

そのような中、苦楽を共にしてくれている社員の負担が大きい現実に頭を痛めております。飲食業は営業時間以外に仕込み時間が必要で、どうしても長時間労働になりがちです。
店の繁盛は、働く人の健康と前向きな意欲で作られると思っております。

このように考える自分も、年々、年を重ねて人の辛さに気付くようになったのかもしれません。
更なる又三郎の進化に、働く仲間の健康と元気が不可欠との思いから、
2017年1月より店の定休を、毎週月曜日と木曜日にさせていただく決断を致しました。

交代でお休みを取るのが通常ですが、又三郎の大森シェフに代わる人材はなかなか見つからず、お料理やサービスのレベルも下げずに営業するために、店のお休みを週2回にさせて頂きます。
色々とご不便をお掛けしますが、何卒、ご理解の程、お願い申し上げます。

                           又三郎店主  荒井世津子

過去の又三郎はこちら

大阪市住吉区長居2-13-13
営業時間:11:30~14:00
17:30~23:00
定休日:木曜日

大阪市 長居 焼肉

又三郎 10月【大阪市 長居】

約30年くらい仕事とプライベートでお世話になっている大切な方の快気祝いにずっと前から予約してやっと訪問。熟成肉のパイオニアとして常にトップランナーをひた走る此方の店は今や予約がほぼ取れない人気店。インバウンドの客も多くこの日も後ろの席に香港の有名なムービースターが来られていた。その人気の秘密は肉の仕入れから熟成まで、また食べごろを見分ける妥協のない目利き、もっと美味しく食べてもらおうという創意工夫に魂を燃やすオーナーをはじめとするスタッフにある。

この店には超繁盛飲食店の必要要素のすべてがある。最近もお店をリニューアル・リデザインされて使いやすい個室の増設や床などを張り替えてイメージ一新。常に進化し続ける此方の店は同じ飲食店経営者として羨望の眼差しを禁じ得ない。これだけ繁盛しても次の一手を常に考え、アメリカや最近はスペインバスクに肉料理の研究に行かれるオーナーマダムにいつも敬服する。

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いつものように最初は肉のプレゼンテーション。最近ご無沙汰であった高知県の土佐赤牛のリブロース熟成73日目と松坂牛の熟成45日目のモモ肉のザブトンと呼ばれる部位を本日は焼いていただけるとのこと。これだけで口の中が肉の戦闘モードになる。

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最初の前菜はブリスケという部分の薄切りをさっと焼いていただく。肩ロースの近くの肉だけど希少部位。火元から熟成香が立ち上りこれがアペリテェフとなる。食味は柔らかくてコクがあって後味もスッッキリして舌の上でジュワッと溶ける感じもある。現在黒毛和牛を始め様々な食材が値上がりしてしかも供給量も少なくなっていい肉が手に入りにくい状況が続いていると言われている。その中でオーナー自身が理想とする熟成に向くポテンシャルをもった肉を丹念に調べ上げて常に一頭買いされる。熟成に向かない部位は焼肉に使用したりランチのハンバーグやスープの材料にされたりすると聞き及ぶ。

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カリフラワーのスープに熟成肉の切れ端で作ったコンソメゼリーを浮かべ、その上にバスクでオーナー自らが買ってきたチーズのスライスが添えられる。一口含んだのち、あっと幽かな叫び声が出る。和食の出汁を思わせるような澄んで透き通った滑らかな口当たりのスープは喉にストンと垂直に落下する。コンソメの旨味と相まってチーズのコクを衣に纏い、えも言えぬ縦糸と横糸を紡ぐ一つのムスビをイメージさせる佳品となる。

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大きな木の皿に入って出てきた前菜は自家製の熟成肉の入ったソーセージとサワークラフト、皮付きの豚肉をカリカリに炭火で焼き上げたもの、熟成肉のハンバーガーはバンズも地元の有名店でレシピ指定で作っていただいているとのこと。パリパリした食感のバンズと熟成香のあるパテが何とも言えない相性でワンランク上の大人のバーガーである。自家製のベーコンに価格高騰中の生野菜。

提供する料理の印象がマンネリにならないように前菜は常に進化する。オーナーやシェフが自身の審美眼をもって大阪のみならず様々なイタリアンやフレンチ、和食の繁盛店を食べ歩き勉強されてそのよい部分のエッセンスのみを自分の店に取り入れる。

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ワインはいつもいただくカリフォルニアのオーボンクリマ<Au Bon Climat>6500円。価格の割りには味が複雑で樽の香りも効いていて余韻深く、苦味もありながらとても上品でエレガントなこの店のオーナーのような味わい。

私よりも遥かに年上だけど全くそうは見えない長居の「中村あずさ」こと店主の荒井世津子氏は自叙伝を出したりテレビをはじめとする様々なメディアで紹介される有名人。従業員を指導するときの鬼の顔とお客を接遇するときのウイットに富んだ会話の際のおもてなし感溢れる笑顔のギャップには高低差がありすぎていつも耳がキーンとなる。

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こちらのお店は季節ごとに料理教室やBBQなどのイベントを開催したり様々な種類の肉で熟成を試したり、新商品を開発したり私の知っている焼肉店では最も革新的で客の嗜好に合わせた店作りを絶え間なく続けている。お客に楽しんで満足してもらうという気持ちの上に従業員満足に対する思いも強く、定期的に従業員の家族参加の食事会をしたり海外での視察に社員を連れて行ったりなど、現在は週に2回の休みにしようかどうか悩まれていると聞き及ぶ。

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口直しは富有柿とシャインマスカット。一口食べると気分はまーすかっとした。

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しばらくして肉のかたまりをまんべんなく移動させながらアルミホイルで休ませ、約40分かけて目の前で焼かれた肉の塊がキッチンでカットされて銘々に盛りつけられて登場。

土佐あかうしのロースは噛み締めたときに甘い脂とミルキーな肉の旨味が口の中に迸る。噛み締めたときの食感も飲込んだあとの茶豆のような香りも炭香もすべてが瞬時に脳のシナプスを通して大脳に強烈な信号を送る。

「脳髄の番人の記憶力も朦朧となり理性の器も蒸留器のようになる」というハムレットの一節を思い出す。

松坂牛の方は赤身肉なんだけど小さな小サシがしっかり入っていてしっかりとした噛み応えと和牛の甘い脂と焙煎したてのアーモンドやナッツの香りが脳幹を刺激する。噛めば噛むほど味わい深く添えられた岩塩や生の胡椒を付けてそれぞれを食べ比べると多幸感に包まれながら知覚のゆがみを感じて夢幻状態に陥りそうになる。

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ワインが少し残っていたのでオーナーがバスクで買ってきた青カビのチーズを少しいただく。

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食後は小松菜で作ったデザートドリンクで〆。周りを見るとこの日も超満席。

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デセールもこだわりがあって専任のパティシエが季節にあったものをそのつど考える。美味しいだけのお菓子は誰にでも出来るが肉を食べたあとで重たくなく後口のいい、印象にも残るデセールを常に開発されている。

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ベリーのソルベも滑らかで酸味と甘味のバランスも抜群。

こちらは美味しいだけではなくて楽しくいつまでも記憶に残る関西では希有な素晴しいお店です。まさに「THE BEEF WONDERLAND」。 記念日にオススメです。。

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以下こちらのオーナーのブログより
料理研究家の山田直美先生と直美先生が主催する
お料理教室の生徒さんたち10人余りで、
スペインのバスク地方に出掛けました。
参加されている方は、
皆さん、食いしん坊で好奇心の塊のような方ばかり,
居心地良かった〜(^∇^)
行く先々の市場で、
食材を買い集め、
スーツケースは、軽く23キロオーバーは、
当たり前⁉️(^◇^;)、
何とか32キロ(超過料金の範囲内)
収めようと、あの手この手(@_@)
バスク豚の農家さん
ワイナリーのマルケ ド ムリエタ
有機のオリーブオイルの農家さん
イデアサバルのチーズを作る羊農家さん
ビルバオ、ログローニョ、サンセバスチャンの
旧市街のバル巡り
フレンチバスクの小さな村は、
フランス映画に出て来そうな佇まい
ステーキを食べ歩いた3軒のお店も印象深かった
BEDUA、ネストール、カーサ フリアン、
特にBEDUAは、今の私にとって実現させたいお店に
一番近い存在です。
バスクの穏やかな空気を吸って、帰って来ました(^ν^)
また、何処かへ出掛けるまで、精を出して働きます‼️(*^^*)

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この日は特別にカレーパンの試作を試食させていただく。日々前進する姿に頭が下がります。

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営業時間:11:30~14:00
17:30~23:00
定休日:木曜日

大阪市 長居 焼肉