すし豊 12月【大阪市 東天下茶屋】

友人と表記の店を訪問。阿倍野の王子神社のすぐ近く細い路地を入った昭和な感じの小体な店構え。カウンター8~9席程度と小上がり2卓の店内。いわゆるどこの下町にもありそうな普通なすし屋。

この店普段使いできる四季折々ホントに美味しいものを最高の状態で出してくれるお店として有名。紹介した友人は皆このお店を好きになる。

この日は川蟹を食しにいく。夏は鮎、この時期は川蟹、冬はモロコ・・・とこの店でしか食せないものを求めて3ヶ月に一度は必ず訪問する。ビールで乾杯して蟹の用意ができるまで寿司をつまむ。

最初は大阪湾のハリ烏賊。ネタの下に黒ゴマを敷き、イカに塩を塗りスダチを軽くしぼって食す。独特のぱりっとした歯ごたえが気持ちいい。

適度に熟成されたヒラメ。味がかなり濃い。塩と紅葉おろしとすだちで頂く。旨すぎて声も出ない。

友人はマグロの漬け。私はこの店の名物の一つヒラマサの蕪寿司。この店でこの寿司は味の三段ロケットと言われ酸味のあるサッパリした蕪の味、続いてヒラマサの旨味とコク、そして唐辛子の辛みと続く。主人に「味が三回変わってから飲み込んでね」といつも言われる。

しっかりと〆られたコハダ。旨味もかなり強い。麦焼酎のお湯割りを所望。。「ほんとおいしいねえ」と思わず声に出る。

柔らかでジューシーな煮蛤。濃い目の煮詰めがかかるんだけど見た目よりもあっさりしている。これは江戸前の仕事。

カンパチの炙り。ただ焼いているだけでなく炙ることで絶妙な歯ごたえもありスダチと塩で頂くとカンパチの旨さがより良くわかる。濃い味の後はさっぱり味でとっても美味しい。

鯖は炊いた酒で炊いた昆布で締めるらしい。酸味も柔らかで新発見。これは驚くくらい旨いと感じた。鯖と昆布のハーモニーはかなりハイレベル。青魚のクセやいやな感じは全くない。

軽く炙った脂のよくのった煮穴子はフワフワに焼けていてスフレのように口の中に入れた瞬間ホロホロホロッと崩れる。かなり完成度が高い穴子である。

烏賊の印籠も江戸前の古い仕事でこのお店の名物。まん中は白子、両端はイカの玉子が入っていて酒がとってもよくあう。これも身、子、白子の3段階の旨さ。サクッとした身の食感と卵のプチプチ、白子のトロリ。。凄過ぎ・・・毎回感動する。

カウンターの水槽には川蟹が思いっきり入る。しかし今年で漁も終わりだそうなので食す方は出来るだけ早く行くべし。もずく蟹ともいわれ爪の部分に毛が生えている。これをまず冷水で締める。そして失神した蟹をさばいて殻ごとミキサーにかける。

それを裏ごして殻をとる。。。その身だけを鍋に入れて食す。。凄い手間がかかった細やかな仕事ぶりに脱帽する。

ふわふわの身は独特のコクと旨みがある。海の蟹よりも淡白だけどその分食べ飽きない。出汁の塩かげんはかなり薄いがその分蟹のエキスがよく感じられる。とっても滋味深い。ゴボウや豆腐に蟹の味が移ってたまらん状態になる。

日本酒を頂きながら至福のときを過ごす。グツグツ煮ていると中から油がどんどん出てきて味がどんどん変わる。

最後に甲羅部分の味噌と卵をを齧り付く。。松葉かにの濃厚さは無いがその分上品な味わい。見ただけでかなり旨いことがわかるビジュアル。

ご主人がギャグを飛ばしながらこまめに給仕してくれるのもありがたい。美味しく食べてもらおうと言う気持ちがとても伝わる。お人柄も凄くいい。。。

樽の形をした酒器はとてもいい香りがする。。おかげでどんどんお酒がすすむ。。

甲羅にお酒を入れて飲む。。。こうなったらもう止まらなくなる。いわゆるアル中状態に突入。

最初の出汁はこんな感じ。。

食べすすめていくとラー油状態。。ここまで蟹のエキスが出ることに驚く。まさに魔法の蟹なり。

鍋を完食した後に日本酒のあてに「焼き竹の子」を所望。徳島産と言っておられた。旬のハシリでエグミもなし。まずそのままでいただいて姫皮は味噌を乗せて歯で柔らかいところだけ削り取るように食べると柔らかいとこだけ食すことが出来ると指導いただく。この料理も2度美味しさを味わえる。

冬場の11月から3月だけと言っておられた。。

〆はお漬け物の盛り合わせ。まんなかの緑は胡瓜じゃなくてズッキーニ。バリ旨なり。この日の会計は飲み過ぎな感じで一人一万円。。新地の約半分。値打ちはかなりあるよ。

大阪市阿倍野区王子町2-17-29

06-6623-5417

すし豊寿司 / 東天下茶屋駅松虫駅北畠駅

大阪市 東天下茶屋 寿司

すし豊 5月【大阪市 東天下茶屋】

阿倍野の松虫交差点を南に200m。小さな路地を入った昭和の風情漂うレトロな寿司店。自宅から近いのでたまに立ち寄る。

この店よくTVや雑誌に掲載されまくりの江戸前寿司。ご主人の面白トークを聞きながら食す寿司はとても上質でCPも抜群。まずは生ビールをいただいて酒肴をいくつかいただく。まずはしっかりめに炊き込まれた子持ちシャコ。生ワサビを少しつけていただくとビールがすすみまくる。

有田川のもずくは採ってすぐに冷凍する。それをその場で湯通ししてウズラ卵が入った醤油系の出汁に少しつけて頂く。香りもとってもよく美味しいなあと心から感じる。

水槽で元気に泳ぐ鮎はこれも有田川で獲れたもの。生きた鮎を焼くと飾り塩をしなくても写真のようにヒレがたちまさに清流を泳いでいるよう。小振りなので頭からガブリといただく。とてもかそけき苦みと鮎の香りが日本酒にぴったり。

蓼酢も自家製ですり鉢でごりごりしていた。ご主人はプランターで蓼を育てていると言っていた。。

葉っぱをちぎって噛み締めながら酒を嗜む。。。ああ日本に生まれてよかったと思う瞬間である。

ここで握ってもらってまずは黒ごまを忍ばせたハリイカからスタート。剣先イカやモンゴウイカと違ってパリっとした歯ごたえとさっぱりした味わいは初夏を感じさせる。

大阪湾で獲れたものと言っておられた。。

3分間漬けられたマグロの漬けは私は苦手なのでヒラマサのカブラ巻きを替わりにいただく。最初、カブのさっぱりした感じがきて、そのあと数回カミカミするとヒラマサのコクと香りがあじわえ、さらに鷹の爪のピリッとした感じとともに味が3回変わりますとご主人のトークつき。。これは楽しいわ。

コハダはしっかり締められた一枚付け。。普通に美味しい。。

ハマグリの握りは濃いめの煮詰めがたっぷり。あっさり炊いてもしっかり煮込んでもハマグリって美味しいね。

カンパチの炙りは香ばしく塩加減も絶妙。。味も濃く感じるのは不思議。。

今年初めてのハモも丁寧な仕事をされていた。。一目見ただけで美味しいことがわかる。。。

 

青柳は身の部分はとてもいい香り。関西ではあまり食さないが独特の癖も含めて大好物。歯ごたえや甘みもしっかりあって日本酒がすすみまくる。

真ん中のよく見る小柱は歯ごたえもあって貝の旨さが凝縮した感あり

ヒモは強烈な磯の香りと独特の歯ごたえ。これが青柳の醍醐味。。

2時間煮込んでつくるこの店で一番柔らかいネタの鮑。。。この台詞この店で毎回聞いてはや15年。

この店で一番固い握りのイクラ。このフレーズもこの店の名物。口の中でいくらが逃げ回り噛むのに難儀するいわゆるピンポンイクラ。。実際に一粒お皿に落としてみるとスーパボールのように弾む。。。

シラサエビもこの時期の旬の味。味噌の甘みも上品でとても好きなネタ。。

イカの印籠は身と卵と白子の3段攻撃。。身はさっくりして卵はプチプチし白子はまったりした食感。。

 

最後はあっさりとお漬け物で締めなり。

寿司の出てくるタイミングも絶妙。。気配りが聞きまくっている。昔から顔にしわのない全く年齢不詳の東京弁バリバリのご主人は東京銀座の名店「新富寿司」で修行。

しかしながらお店が厳しすぎて1970年、大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で努めて自分でこの店を出したと言う話もかれこれ20回は聞いた。名前は安田豊次、だからすし豊らしい。

「あたぼうよ!」とか「てやんでぃ!」って言葉最近あまり聞かないね。。

大阪市阿倍野区王子町2-17-29

06-6623-5417

大阪市 東天下茶屋 寿司

すし豊【大阪市 東天下茶屋】

阿倍野の老舗寿司店の「すし豊」に突入。。 今やグルメ雑誌の常連であまから手帳や数多くのブログで紹介されている。 しかしながら御主人はいたって優しく丁寧。。。 手ごろな価格で本格的な江戸前の握りを食べさせてくれる。 初めてのお客さまも分け隔てなく接する姿にいつも感動する。 食事をしながらカウンター越しにいろんな話をする。御主人は本当に寿司が好きでより旨いものをできるだけ安くお客に食べてもらおうとする気持ちが伝わってくる。。。 伊勢海老鍋とお寿司のコースや夏は鱧やアユなど四季折々の食材をいただくことが出来る。 東京銀座の名店新富寿司(東京に行ったときに今でもたまに行きます)の修行が辛くて1970年に阪万博見物を理由に仲間と一緒に脱走したと聞き及ぶ。それ以来大阪で江戸前寿司をにぎっているらしい。 今でこそあちこちで見る江戸前の仕事であるが彼がパイオニアであることは間違いない。 御主人の名前が安田豊次、だからすし豊らしい。そういえば銀座の新富寿司も当初は新橋にあって富太郎という方が創業されたので新富寿司という名前になったと聞いたことがある。 最初に生ビールをいただいて・・・・・ henokoiwasi.JPG 付きだしはひこいわしの酢みそ掛け。。 この時期たくさんとれるカタクチイワシだが新いものはなによりのご馳走である。 南蛮漬けや白ワインで蒸しても最高である。。最初にこの突き出しを出すセンスが素晴らしい。 kouikasayori.JPG まず最初は大阪湾でとれたハリイカ。一発目からやられてしまう。剣先イカよりもコリコリして下に敷かれた黒ゴマと塩とすだちがいいバランスである。これを食べるために大阪まで来る人もいるそうである。 この時期のサヨリは定番。。サイズも大きく繊細ないいお味。。。実はサヨリ大好物。。。。 iwasihamaguri.JPG ひこいわしの握りはいくら食べても食べ飽きない。繊細で臭みも全くなく吟醸酒と一緒にこれだけたらふくいただきたいと思った。蛤の握りは甘辛に炊きこまれた煮蛤に甘い煮詰めはこれぞ江戸前。。。 本醸造の安い日本酒にぴったり。。 moroko.JPG 横の客が食べていた「もろこ」を所望。水槽にたくさん泳いでいて千葉産と言っていた。頭を下にして炭で焼くと脂が頭にたまって唐揚げ状態。。この食べ方も初めてで非常に素晴らしいと思った。 aoyagikanpati.JPG 青柳(いわゆるバカガイ)は関西では貝柱しか食べないが身の部分も貝独特の癖があり個人的には大好き。。 そしてこの店の定番の光り物「こはだ」。(写真忘れた。。。。) 一匹づけで〆が強いかと思いきやかなりマイルド。。脂も乗っているのがよくわかる。 池波正太郎も愛した新富寿司のコハダを踏襲していると確信する。。 カンパチはあぶって軽くあぶって塩をぬり、スダチを軽くしぼり紅葉おろしとをポン酢味の浅葱を乗せて出てくる。ホクホクして香りと脂の甘みがよく出ている。実にうまし。。。 ebi ebiatam.JPG しらさ海老の踊りはひたすら甘く頭と髭と殻は唐揚げにしていただく。。。 なんとも細やかな仕事に脱帽。 ikuraanago.JPG このお店で一番かたいネタがこのイクラだそう。 岩手県の産卵直前の川に遡上する前の完熟卵にこだわる自家製。口の中で暴れまわる。ぷちっぷちっと音がするくらいの弾力がある。あんまりこのイクラは他店でいただいた経験がない。旨みはかなり濃厚であることは間違いない。 穴子も大阪湾と言っていた。 口の中に入れた瞬間ホロホロホロッと崩れる。。シャリの方ももちろんネタにあわせて大きさ固さを変えているらしい。 taisirakoawabi.JPG この時期とてもうまい鯛の白子はポン酢でいただく。。。こに店で一番柔らかいネタといわれるアワビも江戸前の仕事。。。シャリとの調和が素晴らしい。。。 ikainrokaburasaba.JPG これも名物のイカの印籠詰め。 ヒイカの両端に卵、真ん中に白子が入っている。美味しすぎて失神しそうになる。 赤いのは味が三回変わると言われているヒラマサのかぶらすし。 「味が3度味わえるから、わかるまで飲まないでね」と御主人のたまう。。。 最初、カブのさっぱりした感じがきて、そのあとヒラマサのコクをあじわえ、さらに鷹の爪のピリッとした感じが心地よく楽しめます。とのこと。。。納得。。。。 気になった鯖も握っていただく。。。。ああ満足。。。。 tukemonosusitoyo.JPG 締めは紀ノ川漬けが特に美味しい漬物盛り合わせ。。 このコスパの高さと親しみやすさはまさに下町の名店。。。 予約必須。。。 大阪市阿倍野区王子町2-17-29 06-6623-5417 木曜日休み

大阪市 東天下茶屋 寿司