すし豊 5月【大阪市 東天下茶屋】

阿倍野にある表記の寿司店を友人と訪問。チンチン電車の東天下茶屋駅から徒歩5分。関西の江戸前寿司のパイオニアと言われているお店で雑誌などにはよく掲載されている(テレビ出演は辞退されていると言っておられた)創業50年以上となる老舗店。

お店は昭和の風情漂う外観で引き戸を開けると8席のカウンター席が並ぶ(小上がりテーブル席もあり)。若い頃6年間東京の老舗寿司店の新富寿司で修行をされ1970年の万博の年に大阪に来てから現在まで寿司一筋の人生を送られている高齢のご主人とそのご子息、奥さんで切り盛り。

目の前にある水槽の中には岩魚が泳ぐ。少し前は琵琶湖の天然もろこが泳ぎ、6月からはご主人が自ら釣る和歌山の鮎などが入る予定。

生ビールと共に出てくる突き出しは小芋を鮑を炊いた時の出汁で煮たもの。鮑から出るゼラチンがいい味わい。

続いて三河湾の桜海老。最初は何もつけずにそのままいただくことを勧められる。もずくもこの店の名物で湯がきたてを夏場に鱧の骨でとった出汁でいただく。もずくを食べ終わったら出汁を湯で割っていただく趣向。

生の岩のりに葉山葵を刻んだものを混ぜたものもお酒のあてにピッタリ。

水槽の岩魚を時間をかけて(約30分くらい)香ばしく焼き上げる。しっかり焼き上げた岩魚を酒器に入れてそこに熱いお酒を注ぐ。この「岩魚の骨酒」もこの時期だけのご馳走。1回に2合ずつ熱燗を注ぐ。ご主人曰く3回目(6合目)が一番エキスがよく出てお酒が美味しくなるとのこと。

お酒で煮出した岩魚は味噌を塗りつけて再度焼き上げて供される。これは界隈ではあまりいただけないご馳走。

このあとは寿司をおまかせで握っていただく。最初に大阪湾のハリイカ。中に黒ごまが鋳込んでいてとても香ばしい。続いてしっかりと塩を当てて締めた天然鯛。大きな片身付けの小肌、マグロの漬け(私はパス)、強めの火入れと味付けの蛤、片面を炙って紅葉おろしでいただくカンパチと続く。

締めたヒラマサを紅白のかぶらで巻いて唐辛子を添えたものは「味の三段ロケット」という名称で「食べてる間に味が3回変わるよ〜」というご主人の講釈と一緒にいただく。

続いてこの時期ならではの鯛の白子。大阪湾のシラサエビ、鯖の漬け、「うちの店で一番柔らかいよ〜」という講釈と一緒に煮鮑、「火傷しないように気をつけてね〜」と言いながら出されるふわふわ食感の煮穴子など。

最後に「アジノリ」いかがですかと聞かれ「味付け海苔」が出てくると思っていたら締めた「鯵」を手巻きにしたもの。ウイットに富んだ会話も楽しい店で思いっきり飲んで食べて会計は一人1万円弱。おすすめの名店です。

過去のすし豊はこちら

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日

 

大阪市 東天下茶屋 寿司

すし豊 10月【大阪市 東天下茶屋】

私が30年以上ずっと通っている創業50年を超える阿倍野の寿司店を訪問。国道13号線(あべの筋)の松虫交差点を南に200m、路地を東に入った場所に位置する。(チンチン電車の東天下茶屋駅徒歩3分くらいで天王寺からタクシーで1000円くらい)

昭和の残り香が漂う店内はカウンター8席と小上がり2卓のみ。ご主人とご子息、奥さん3人の家族経営。。大阪の江戸前鮨のパイオニアと言われるお店でよく雑誌にも掲載される。

こちらのお店のご主人は東京生まれで東京銀座の名店「新富寿司」で修行。しかしながらお店が厳しすぎて1970年、大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で少し修行をして自分でこの店を出したと言う話もかれこれ25回は聞いている。名前は安田豊次、だから「すし豊」。

この日は「川蟹が入ったよー」という知らせをいただき友人と訪問。川蟹鍋のコースは給仕の都合で1日3組までとなっている。

寿司の前に白雪のぬる燗と鮎の腸を入れて作る苦味満点の「うるか味噌」をいただく。この味噌少しずつ箸で舐めながら樽の香りの効いたお酒をいただき胃を活性させる。

寿司のスタートは黒胡麻を射込んだハリイカの新子から。 しっかりと締めた明石の鯛、炊き込んだ子持ちのシャコは古い江戸前の仕事が施される脂のよく乗った小肌は大きなコノシロサイズ。軽く炙ったカンパチ、秋刀魚と続く。

脂のよく乗った身厚の鱧、加太の鯖もよく肥えたもの。毎回「口の中で溶けちゃうよ〜」と言いながら提供される泉州産の穴子は熱々のふわふわでスフレ状態。「提供されて15秒以内で全部食べてね」とのこと。水槽で泳ぐ名残の鮎は刺身にしてもらう。鮎の頭と骨は唐揚げで供される

寿司を一通り頂いたら鍋が登場・・・

事前に生きた蟹を冷水で締めて失神させる。それをさばいてから殻ごとミキサーにかける。それを裏ごして殻を除く。同じ事を3回くらい繰り返して丁寧に身だけを削ぎ落とす。手間をかけて取り出した生身を蟹味噌と卵のついた殻と一緒に鍋に入れて煮出す。

淡雪のような見た目と食感の蟹身は独特のコクと旨みがある。途中で殻や卵から蟹のエキスが出てきてゴボウや豆腐に蟹の味が移り、出汁と相まって最高の味わいとなる。上海蟹より上品な食味で蟹の味噌やエキスが移ったスープの味わいは超一級品。ご主人が最初から最後まで給仕してくれる。

最後に鍋の底に沈んだ甲羅部分の味噌と卵をを齧り付く。食べすすめていくと最後にご主人が鍋を持ち上げて鍋についたラー油のような蟹のエキスを出汁に戻す作業をされ、名残の濃厚なスープをいただいてフィニッシュ。

川蟹がいただけるのは11月上旬まで。蟹のあとはあまごが入って1月からは琵琶湖の天然もろこが供される。この日は思いっきりお酒をいただいて会計は一人9000円。

ご主人の東京言葉での解説や軽妙洒脱な会話もご馳走の一つ。人気店なので早めの予約がオススメ。

過去のすし豊はこちら

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日

大阪市 東天下茶屋 寿司

すし豊 6月【大阪市 東天下茶屋】

私が30年以上通っている創業50年の阿倍野の寿司店を友人と訪問。国道13号線(あべの筋)の松虫交差点を南に200m、路地を東に入った場所に位置する。(阪堺線の東天下茶屋駅徒歩3分くらい)

昭和の残り香が漂う店内はカウンター8席と小上がり2卓のみ。ご主人とご子息、奥さん3人の家族経営。。大阪の江戸前鮨のパイオニアと言われるお店でよく雑誌にも掲載される。

こちらのご主人は東京生まれで若い頃に東京銀座の名店「新富寿司(今もあります)」で修行。しかしながらお店が厳しすぎて1970年に大阪万博見物と偽って仲間と脱走。そこから大阪で少し修行をして自分でこの店を出した話は界隈ではよく知られているけど実は瀬戸内海の魚にご主人が惚れ込んで東京から職場を変えたというのが真相らしい。

ご主人の東京言葉での解説や軽妙洒脱な会話もご馳走の一つ。人気店なので早めの予約がオススメ。

最初はビールと一緒に和歌山産の「もずく」を所望する。黒いもずくを2秒くらい加熱するとびっくりするくらい綺麗な緑色になる。うずら卵の入った特製の出汁で蕎麦のようにしていただく。しゃりしゃりした食感と磯の香りがとてもいい。食べ終わったら出汁に鱧の骨で取った熱い出汁を注いで蕎麦湯のようにしていただく趣向

ご主人が毎週木曜日に自ら獲りに行く有田川の鮎と琵琶湖の鮎の食べ比べ。解禁直後なので双方ともサイズは小さめ。水槽から取り出して串を打つとぴちぴち跳ね回る。

座付の胡桃と諸子の飴炊きは焼酎にぴったり。旬の桜海老の刺身も甘くて美味しい。ヒゲは取っているのでとても食べやすい。白海老と違って皮は全く気にならない。

焼きあがった鮎はタデ酢と一緒にいただく。頭だけをかじって体に空気を入れて次にお腹部分と3口に分けていただくのが作法。養殖鮎のように脂っ気はないけど旨味は深くてとても幸せな気分になる。

寿司のスタートは黒胡麻を射込んだハリイカから。 明石の鯛、鮪の漬けとヒラマサのかぶら巻きと続く。〆たヒラマサはこちらのスペシャリティで口に入れて咀嚼すると最初はヒラマサの深い旨みを感じて、そのあとカブラでさっぱり口直し、最後に鷹の爪がピリリと来る味の三段ロケットといわれる。

小肌は大きなコノシロサイズで脂がよく乗っている 現在は希少な子持ちシャコ、軽く炙ったカンパチと続く。

続いて昆布〆にしたヒラメ、漁獲量がかなり減ったといわれる大阪湾のシラサエビ、鱧と鯖の漬けと続く。大きなサイズの煮アワビはとても柔らかい。とびっ子の軍艦、「スフレのように口の中で溶けちゃうよ」「焼きたての温度は260度だから気をつけて〜」と講釈がつく泉州産の煮穴子でフィニッシュ。

口直しの香の物はカブの葉の奈良漬、べったら漬け、ズッキーニの浅漬けなど・・・会計は思いっきりお酒をいただいて一人1万円以下。。。ごちそうさまでした。

過去のすし豊はこちら

大阪市阿倍野区王子町2−17−29
06-6623-5417
営業時間:17:00~24:00
定休日:木曜日

大阪市 東天下茶屋 寿司