中華料理

梁亜楼【大阪市 難波】

今から10年ほど前に難波のマルイの裏の路地にこじんまりとした「宏亜楼」というシンガポール料理を出す店があった。
1階は厨房で狭くて急な階段を登った2階が客席。4人掛けのテーブルが3つと壁に向かって座るカウンタ−席が3席のみの窮屈な店だった。

マレーシア出身のシェフが作るシンガポール政府公認の海南鶏飯(チキンライス)が秀逸であった記憶がある。冷たいのに柔らかくてプリプリのチキンを鶏のスープで炊いたジャスミンライスに乗せてジンジャーソースとチリソースに付けていただく。まさに虜になる美味しさだった。そのマレーシア人のシェフと国際結婚をした大阪出身の奥さんがちゃきちゃきの働き者で子供2人を育てながらの細腕繁盛記はまるでドラマのようだった。

当時は告知不足で客が全くこない。でもいつも明るく必死のパッチで接客されていた。そのおかげかは知らないが数年前に裏なんばに移転して客席数もキッチンのサイズも二倍になり、そこから現在の裏なんばブームで大爆発。今や淀屋橋に2号店をもつ超繁盛店となっている。奥さんと数年ぶりに再会し「長男は7歳でサッカーに打ち込んでいてその試合を見に行くのが今の生きがいなのよ」と言っていた。

「今は滅多に店には出て来ないで家にいるんだけど今日たまたま出て来たらお会い出来て良かったです・・・」と10年前とほぼ変わらぬ愛くるしい笑顔とともにしばらく立ち話が続く。彼女とシェフの辛い時期を知っているので今の繁盛は自分のことのように嬉しい。

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タイガービール600円とともに大好物の海老の黒胡椒ソース炒め1300円を所望。大きな海老がゴロゴロと4匹入って食べ応え満点のシンガポールを代表する料理。ピリっとしたソースの辛さとビールの相性が最高。

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空芯菜の塩炒めは海老の粉がかかっていてちゃんとマレー料理になっている。茎の部分の歯ごたえと葉っぱの旨味が海老の風味と混ざってとても口に合う。唐辛子と干しエビをペーストした調味料のサンバルブラチャンを使ったカンコン・ブラチャンにしたかったがそれは次回のお楽しみ。

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この店の名物の「ショーヨ」なる皮付きの豚肉をじんわりとオーブン焼したものもいただく。皮はカリカリのパリパリで肉はジューシー。酸味のある醤油ベースのタレでいただく。昔に比べてサイズが小さくなったような気がする。シェフはシンガポール料理30年になるベテランで特にロースト料理に自信があると言っていた。

大阪府大阪市中央区難波千日前13-6大一ビル2F
06-6631-7979

 

大阪市 難波 中華料理

アベノ珉珉 6月【大阪市 天王寺/阿倍野】

表記の店で晩ご飯をいただく。私が生まれる前の昭和33年に千日前の本店から暖簾分けで阿倍野の地で開業。阿倍野再開発以前「あべの銀座」と言う昔の九龍城を彷彿させる怪しげな通りの路地裏で営業されていた頃からよく利用した記憶がある。当時は油でギトギトの壁と床で狭くて暗い路地を通るたびにドキドキした。

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今は阿倍野キューズモールの北側にある阿倍野ウォーク地階の端にて営業。一人の時はよく利用させていただくお気に入りのお店。最初はとりあえずビールと餃子2人前。モチモチの薄皮とジューシーな口当たりが特徴で背脂がたくさん入っていると思われる。餃子のタレと友人直伝の大量の塩胡椒を酢で溶いたあっさりしたタレの2種類で食べ分けると飽きない。

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小海老をカリカリに仕上げた海老天は甕出しの紹興酒500円と一緒にいただくとドンピシャ。ピリ辛の冷や奴330円は自家製の食べるラー油が大量に乗る。最近お気にのカリッと揚げた鶏肉を唐辛子と一緒に炒めたもの(ハーフサイズ)はお酒がすすみまくる病み付きになるテイスト。彩り野菜とシーフード炒め(ハーフサイズ500円)も烏賊や海老を素揚げにして炒めあわせたもので予想よりも美味しかった。口に合うのでお酒を飲み過ぎてしまうのがたまにきず。

昼間は固い焼きそば(フライ麺)や麻婆豆腐がのっかった蒙古麺がお気に入り。王将は行かないけどこちらの大衆中華料理はたまにどうしても食べたくなるのが不思議。ホールの女性も超ベテランでいい味を出してます。

大阪市阿倍野区阿倍野筋1-6-1 ヴィアあべのウォークB1F
電話:06-6649-5926
営業時間:11:00~23:00

大阪市 天王寺/阿倍野 中華料理

西安その5

かつて西安(長安)はシルクロードの出発点と言われていてシルク(絹)だけではなく、人や文化、いろんなモノが運ばれ、メソポタミアで栽培が始まった小麦や麺文化をはじめとした食文化もシルクロードを通って伝わったといわれる。当時のシルクロード交易の担い手がイスラム人で西安にあるの回民街(回民というのはイスラム人のこと)の近くにはモスクの西安大清真寺があり、かつてはイスラム教徒が数多く住んでいたことが伺える。今では西安No1のB級グルメ街になっていてそこが今回の旅行で一番楽しく勉強になった。

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西安B級グルメ代表が羊肉焼き。10元なので170円くらい。柳の枝で作った串に刺して焼く。店頭で羊を解体しながら焼きまくる店もある。香ばしい区民等の香辛料の香りがとてもいい。何度も味をつけて何度も炭に叩き付けるように焼き上げる。串焼きだけではなく足を煮込んだものもよく見かける。

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西安バーガーとも言われる牛肉の柔らか煮を細かく包丁で刻んだものを饅頭のような生地のもので挟んだものや麺打を見せながら作る冷麺のようなもの、「桂花糕」という、カステラみたいなお菓子など郷土色溢れる食べ物を売る店が所狭しと並ぶ様は圧巻。

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巨大な天体望遠鏡で星を見せる屋台などもあったり中国人の商魂の逞しさにビックリ。西安で是非食べたかったのが「ビャンビャン麺」と呼ばれるもの。注文を受けると小麦団子を出して手で伸ばしておもむろに湯がく。丼の中には分厚くて幅広のうどんが1本だけ入る。その上に普通はスープが入るんだけどこちらのお店は油溌麺と言われるもので唐辛子入りの味噌やピーナッツが載せられているイスラムの汁なし麺。

スパイシーで完全にはまる味でビックリ。台湾の油そばのような感じだけど見た目よりもあっさりしている。麺を食べているというよりも春巻きの皮を食べている感触。コシもあってかなり美味しい。

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この漢字一文字で「びゃんびゃん麺」と読む。中国で最も画数の多い漢字らしい。なんと56画・・・・(おわり)

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