ひろせ 5月【大阪市 心斎橋/四ツ橋】

数年来、定期訪問している東心斎橋の表記の和食店を友人と訪問。心斎橋の畳屋町の雑居ビルの一階に位置する。お店はカウンター6席と小上がりのテーブル2卓をご主人のひろせ氏と配膳の女性の2人で切り盛り。

西心斎橋のミシュラン店「ゆうの」で修行されたご主人の丁寧な食い味のある仕事が口によく合う。ご主人はソムリエの資格も持っておられるので赤ワインと肉料理を合わせる客も多いと聞き及ぶ。料理は月替わりの16500円(税別)のみ。

吟味された食材を使用し、炭火をうまく使ってテンポよく料理を提供される。

座付きは蒸し鮑と鯛の子と茄子を炊いたもの。鯛の白子のソースがかかる。その上に自家製の唐墨を下ろしたものがたっぷり振りかけられる。唐墨は別途販売もされているのでお土産にぴったり。

2皿目にはいつも揚げ物が供される。この日は稚鮎とコシアブラを揚げたもの。麦焼酎と一緒にいただくと止まらなくなる。

このお店の真骨頂の刺身は「鯛」「赤貝」「平貝」「大葉を鋳込んだ細魚」「皮目を炙った金目鯛」「真蛸」「鱧」「北海道の雲丹」の8種類盛り。これは日本酒と一緒にいただく。どの魚もかなり上質。

煮物椀は白ムツのあられ揚げとヤマミツバ。利尻昆布で取った出汁は清らかに澄んでいてとても美味しい。白ムツはノドグロの仲間で希少な魚と聞き及ぶ。淡白だけど味のあるいい脂分がある。

焼肴は脂の乗った太刀魚を炭火で焼き上げたもの。オリジナルの新玉ねぎのソースも角が取れていて秀逸。添え物は赤コゴミなどの山菜。

メインの肉料理は和牛のランプ肉を時間をかけて焼き上げたもの。ニラのソースもよくできている。添え物は水分たっぷりの極太アスパラの木の芽ソース。赤ワインとドンピシャの逸品。

食事は香ばしく素揚げにした桜海老のご飯。

デザートはさっぱりとした白胡麻プリンとルビーレッドキウイ。

この日も美味しいお酒もたっぷりいただきました。

過去のひろせはこちら

大阪市中央区東心斎橋2-8-23イケダ会館1F
06-7713-0543
17:00~翌0:00

ひろせ日本料理 / 心斎橋駅長堀橋駅なんば駅(大阪メトロ)

夜総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 心斎橋/四ツ橋 和食

芦池更科【大阪市 心斎橋/四ツ橋】

心斎橋の南船場にある表記の大衆食堂を訪問。昭和25年創業で73年間続く超老舗店。朝から晩までの通し営業をされているの大阪に来る友人には朝ごはんのおすすめ店としてよく紹介する。心斎橋商店街を東に入ったところに位置する。界隈にコインパーキングたくさんあり。

年季の入った昭和の建物は一等地らしくない外観でとても味わい深い。

薄暗い店内は客席と厨房がほぼ同じくらいのスペースで鏡張りの壁と歴史を感じるテーブル4卓と木が反ったカウンター席となっている。

超高齢のご主人と若いお姉さんとで切り盛り。店内も見どころ満載で創業時から存在する大正時代の60キロ以上ある巨大なレジスターに目が引かれる。それ以外にも子供の頃を思い出す振り子時計や昭和のエアコンなど博物館のような店となっている。

メニューはうどんや丼、定食などが中心。かまぼこ定食など珍しいものもある。

この日は玉子焼きと粕汁を所望する。玉子焼きは形は悪いけど出汁感がたっぷりでかなり美味しい。野菜しか入っていない粕汁も秀逸。きゅうりの古漬けもパンチのある酸味で懐かしい味わい。

昭和のノスタルジーにしばらく浸りながらいい時間を過ごす。測りきれない価値があるお店です。

以前の更科はこちら

大阪市中央区南船場3-3-22
06-6251-1763
08:00〜20:00
日曜・月曜定休

大阪市 心斎橋/四ツ橋

梅市 4月【大阪市 心斎橋/四ツ橋】 【大阪市 長堀橋】

東心斎橋にある表記の和食店を先月に引き続き訪問。この日は福島のミシュラン和食店のご主人も一緒に相伴いただく。

こちらは江戸時代からの関西料理を今に伝える関西割烹会のレジェンドと言われる奥田氏のお店。心斎橋駅から徒歩7分、長堀橋駅から徒歩5分、島ノ内の南警察署の西側向かいの千年町のビルの2階に位置する。

階段を上がって店内に入ると広いキッチンが見える昭和を感じさせるL字型の白木のカウンター、そして、入り口の手前奥には座敷の個室がある。調理場は奥田氏と若い板前さん、接遇は奥田氏のお姉さんが着物で担当される。料理はコースのみですべて時価。この日は28000円で支払いはお酒をいただいて32000円でした。

料理は手に入る最高級の食材を使用し素材の特徴をしっかりと見極め「しんみり」とした味付けは圧巻の美味しさと言われる。使われる器も上質なものばかりで見ているだけでため息が出るものばかり。

個性的なキャラのご主人は弟子の指導をしながら料理を作り、客の相手もされる。その日使われる食材の話、独立して繁盛してミシュランの星を取った弟子の話など森羅万象にわたる話題で喋り出したら止まらなくなる。

座付きは若芽と筍を合わせたもの(写真なし)。若芽は10分くらい炊き込んでいてぬるぬるの状態で提供。筍は貝塚の木積産のものを使用。素材の味を引き立てる「しんみり」とした出汁の美味しさは秀逸。

続いての前菜は筍と自家製の味海苔を合わせたもの、鯛の子の玉子寄せ、一寸豆のクリームチーズ挟み、独活白煮、河内鴨ロース煮など。

この日の煮物椀は筍の真砂寄せと煮あわび。鶴菜と柚子の花が添えられる。

真昆布を使用した出汁は塩分がかなり少ないけどしっかりとした明確な味の骨格を持ち、薄味という簡単な言葉では言い表すことはできない凄みを感じさせるもの。漆絵が緻密に描かれた椀は輪島産で当時で30年前に50万円でオーダーしたとのこと。この椀を見るだけでこの店に来た価値がある。

今まで見たことのない大きさの伊勢海老に包丁を入れて身を取り出して氷で締める。それを大きくカットして供される。大きな伊勢海老の甘い身を口いっぱいに頬張っていただく幸せは初めての経験。

刺身の2皿目は明石の鯛とハリイカ。それぞれ最高の品質であることは見ただけでわかる。

百合根饅頭はかなり濃密な食感。百合根だけでは味が足りないので山芋と卵白を合わせて蒸して仕上げる。それをエンドウ豆のすり流しに浮かべる。出汁の効いたすり流しの出汁と塩気の塩梅も素材の良さが引き立てられる程度に抑えられている。本当に美味しいなあと思う逸品。

天然ヒラマサの焼き物。これも店主の奥田氏が考える「生成り料理」。魚の味を最大限引き出すことに主眼を置いた味付けに脱帽。添えられた大根おろしに醤油を垂らしてそれを焼き魚につけていただく。

続いて鯛の白子をポン酢で和えたもの。日本酒がさらにすすむ合肴である。

この季節の奥田氏のスペシャリティーの「筍メバル」登場。これは少々しっかり目の甘辛い味付けだけどさっと炊き上げている。木の芽が全体の味を引き締める。筍は異なる部位を3種類使用。魚と筍のしんみりとした味の調和が素晴らしい。あくまで素材の味を生かすことに主眼を置いた関西料理ならではの味付け。熟練の技と凄みさえも感じる逸品。

ここで白いご飯が供される。メバルの出汁を上から掛けていただくのをご主人に勧められるがお腹いっぱいだったのでスキップする。

デザートは前回と同じ抹茶アイスに小豆の炊いたものを添えたもの。

前回の梅市はこちら

大阪市中央区東心斎橋1-6-3 ハイツ千年町2F
17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
06-6241-0576

梅市日本料理 / 長堀橋駅心斎橋駅日本橋駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 心斎橋/四ツ橋大阪市 長堀橋 和食