天神橋7丁目にある昨年末に本湖月で15年修行された方がご夫婦で始められたお店。食べる事が好きな方の間ではとても有名ですでに予約の取りにくい店となっている。カウンター8席のみの争奪戦。ファザードは小さな表札が一つだけ。表からはとてもわかりにくいけどそれがまたいい。今回は平素お世話になっている方と訪問。
玄関入口にある丸い木は京都の職人の仕事で丸太落としにしたものらしい。反対側には風情ありまくりのごま竹がしつらえられている。個人的にはこういったものに興味がある。。
玄関建具も古民家にあるようなガラスが使われていて見所満載。ここまでこだわった店は最近見ないなと心に思いながら店に入る。
シュッと伸びた一枚もののカウンターに上質な座りやすい椅子。店の中は無駄なものが全くない。飲食店にありがちな備品が全く見えない。まるで茶室のような空気感。本湖月の美意識をしっかりと引き継いでいる。当然BGMもない。清潔感と高級感が溢れる大人の空間。
最初だけ一番絞りビール(ハートランドと2銘柄)をいただいてスタート。
先付けは豆乳で作った豆腐の上に淡路の雲丹。その上は花穂紫蘇。かかっているジュレが少し酸味があって雲丹の甘さが引き立つ。夏らしくてとても美味しい。これだけでノックアウトなり。あしらえは邪気を払うように菖蒲と蓬の葉っぱを結んだもの。
お椀は薄い豆豆腐にレアに湯がいた車エビを乗せたもの。その上はコシアブラと木の芽。かなりいい出汁。。ご主人はお造りを切り付けるとき以外は裏の調理場にいるので女将さんとずっとお話をする。
かなり大きな一枚もののカウンターや織部のこし壁、巨大なまな板として使っている桧など随所に意匠がほどこされていて空間を見るだけでも飽きない。古き良きものがこの場所に蘇っている。。
贅沢と上質とはこの事なり。ワインもあるけどせっかくなので日本酒をたくさんいただく。大吟醸では香りが強すぎるので上質の純米酒を3銘柄くらい順番でだしてもらう。奥さんの接客も気取りがなくて上品で奥ゆかしくてとても好感が持てる。
お造りは鯵を芽葱で和えたものと剣先いか。烏賊はこれ以上細かく切れないというほど包丁目が入っている。オカヒジキや長芋のあしらえも上品。私以外のお客さんは鰹が提供されていた。
八寸はトマトに鶯湯葉を乗せて酸味の効いたジェルを掛けたものと烏賊の酢みそ和え、一寸豆の胡麻クリーム、鯛の酒盗、タコを梅肉で和えて芋茎と合わせたもの。これだけでお酒が2合くらい頂ける内容。
見た目だけじゃなくて食べて美味しいと思う塩梅。。しっかりとしたお酒に合うメリハリの利いた味の加減にレヴェルの高さを感じる。
焼肴は鳥貝のバター焼き。レアに火入れされた大きな鳥貝はコリコリして甘くてかなり美味しい。尖閣近くで獲れた鳥貝と言っておられた。
ここで揚げ物が登場。稚鮎なんだけど普通の天ぷらじゃなくて柿の種をつぶして衣にしてあげている。これはビールと一緒に頂く。醤油の香ばしさと唐辛子の辛み、鮎の内臓の苦みがビールにドンピシャ。
大きなアスパラガスと鯛の白子を酢の物にしたもの。天盛のみょうがも夏らしい。
食事は釜炊き御飯。。すべての調理をご主人が一人でされているのにも驚く。
大きな白磁の茶碗に出来立ての御飯一盛り。茶道の食事のよう。醤油につけ込まれた鯛の刺身と一緒に頂くと言う趣向。甘味たっぷりの上質な御飯は最高のご馳走。
デセールはびわとデラウエアにサイダーのジュレを掛けたもの。しゅわしゅわしておもしろい。これは本湖月でも食した記憶がある
メニューは月替わりと言っていた。 多分予約の取れない店になる事はまちがいない。。。次月の訪問を約束して店を出る。
大阪市北区天神橋7-12-14
06-6940-0403
青木 (懐石・会席料理 / 天神橋筋六丁目駅、中崎町駅、天満駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5