大阪市

Il Povero Diavolo (イル ポーベロ ディアヴォロ)7月

1年間お世話になった奉仕団体の職員のかたと表記の店を相伴する。

最近は私とご一緒した友人が何度も訪問するのでつとに予約がとりにくい。普段は滅多に降車しない南海電鉄の今宮戎駅から徒歩3分にある「木津卸売り市場」に隣接する阪神高速の高架下のグルメゾーン「なんば木津まち横丁○(エン)」の一角に位置する。

店の入り口はビニールシートなんだけどそのビニールに微妙に墨色が入っていたりしてかなり感度の高い内装となっている。

カウンタ−とテーブル席で全部で14席。メニューは魚介のみのコース¥7500。スタートはいつものようにヴェネト州のさっぱりとしたスプマンテを所望する。

2016-06-26 18.38.42

一品目は「豆と鱧」。サーブされるときは素材名だけ告げられる。食べながらインスピレーションを駆使してソースや調理法を解読する楽しさが醍醐味である。

活鱧を骨切りして軽く燻煙しながら火入れをし、それを凍らせてから削ってパウダー状に乾燥させる。緑の粉とソースは豆をペースト状にしたもの。全体をかき混ぜていただくと三度豆や豆のペースト、豆を粉状にしたもの、トマトと和風の出汁の味が混ざった泡のソースが一体になりバランスのいい逸品となる。

2016-06-26 18.56.13

2品目は「カマスととうもろこし」塩をして脱水したカマスを皮目だけ炙ったものに大きめのベビーコーンのフリットと火入れしたとうもろこしとそのソース、黄色いズッキーニを合わせたもの。異なる食材同士の相性の素晴しさと和素材や調味料を一部組み込むことでの食べやすさなど科学的創意に満ちたコース仕立はさすがである。

3品目のムール貝と微塵にカットされた烏賊、素麺カボチャは写真を撮り忘れる。素麺カボチャがパスタのようでビジュアルも食味もかなり楽しい。

2016-06-26 19.29.17

4品目は「蛸 茄子 パプリカ 赤みそ」という料理。焼き茄子に柔らかく火入れした蛸とパプリカのペーストを合わせたもの赤みその入ったソースは見た目よりも穏やかな食味。付け合わせは茄子のステーキ。

料理の味もさることながらシェフの調理法の独創性とビジュアルの芸術性にビックリ。蛸は和食の料理法を使用。

2016-06-27 09.21.32

この日はすべての料理にそれぞれお任せのワインをつけていただく。

こちらのお店は北イタリアのリミニ州の一つ星オーベルジュ「IL POVERO DIAVOLO」の暖簾分けらしい。こちらのシェフはその本店でスーシェフを務めていたと聞き及ぶ。現在33才の鬼才である。

2016-06-26 19.43.53

蝦蛄海老をミキシングして凍らせたものと角切りにして火入れした蕪と毛蟹を合わせてネットリと味噌漬け風に火入れした卵黄を調味料として使用した本日一番のお気に入りの逸品。すべてを掻き回してぐちゃぐちゃにしていただく。蝦蛄海老が調味料の役割をするのにビックリ。

食器はすべて暖かみのあるイタリア製の「ヴィルジニア カーサ」。同伴者は100均?かと思ったと言っていた(笑)

2016-06-26 19.58.50

メインディッシュ登場。笹で包まれたものはソテーされた伝助穴子。プリプリの食感に笹の香りがいいアクセントになる。これを黒豆で作ったソースと言うかババロアのようなものと一緒にいただく趣向である。煎り上げたハト麦の食感がとてもいい。

異なる食材の素材の味わいの相性(和食で【出会い】という)を科学的に考察し、調味料やハーブを触媒としながら独自の解釈で緻密に論理性を確立しながら重層的につくられるので何を食しても美味しい。和食の足し算や引き算的な考えではなくかけ算と因数分解を駆使したような手法と言えよう。いつもながら世にあるすべての食材のテクスチャーを再構成する力に脱帽である。

 

2016-06-27 09.22.00

後半のワインもパンチのある料理には白でもしっかりしたものを合わせる。白のヴィンテージ・トゥニーナは今やイタリアの白ワインの造り手としてナンバーワンと言われるイエルマンのもの。辛口の重口でコクもあって蜂蜜や果物のようなアロマも強く感じる。かなりエレガントかつ個性的で複雑な味となっている。

料理の素材だけではなくワインとのマリアージュも楽しむことが出来るのが嬉しい。ある料理に関しては日本酒が欲しくなったりするが食材や調味料に和の素材が使用されているからであろう。

2016-06-26 20.11.51

時鮭と夏牛蒡とアーモンドのパスタ。アーモンドはクラッシュして脂分を使用。クリーム等の乳脂肪は使用していないとのこと。パスタは太麺の「マンチーニ(Mancini)」しっかりとしたコシがあり噛み締めると小麦の味がする。

最後はスッポンのリゾット。バイ貝とそのジュが入っており何とも言えないパンチのある濃厚な食味が印象的。あとで聞けばスッポンの身だけではなく血や内臓も一緒にミキサーにかけて使用しているとのこと

ポルトガルやトリノで鶏や

豚の血が入ったリゾットを食べたことがあるがその横展開であろう。イタリア料理でスッポンをいただいたのは生まれて初めて。赤の骨格のしっかりとした濃厚なカベルネソービニオンと相性ばっちりでいつまでも食べ続けていられそうな錯覚に陥る。ありがちな塩分の尖りも感じられず滋味深い後を引く味はリゾットの最高傑作と言い切りたい。。予算が許せば国産松茸のみじん切りが入れば卒倒すると思う。

2016-06-26 20.49.02

ドルティエの一皿目はウメールバーブとヨーグルトの氷菓子。(これは写真なし)2皿目はスペシャリティのトロトロ杏仁豆腐のホワイトチョココーティング。下敷きはクラッシュしたクッキーと杏。

コースは全10品で7,500円(税込)サービス料別。
ワインをお皿ごとにペアリングして頂いて二人で29,000円の支払いでした。

2015-07-20 19.36.27

ちなみに去年の7月にいただいたコース(ブログ不掲載)のメインディッシュが「鯉と大豆」でイタリアンで鯉料理を始めて頂いたことを思い出す。自家製のきな粉と合わせる和風テイストのセンスが強烈な印象。

 

2016-06-27 09.42.02

*帰りに見た「支持政党なし」政党のポスターは本当に不可解なり。

大阪市浪速区敷津東2-2-1-317
06-4395-5150
営業時間:18:00~23:00
定休日:水曜日


カテゴリー 大国町, イタリアン |

中華旬菜 sawada

お世話になっている関西敏腕フードコンサルの友人に紹介いただき心斎橋の表記のお店を訪問する。場所は心斎橋駅より徒歩3分,帽子専門店のニューエラの地下。

店は思いのほか広くカウンターとテーブル合わせて50席くらい。明るくてモダンな香港にあるような内装でおしゃれな感じ。厨房は店主入れて3名。ホールは男性2名でされているが店主を含めて厨房スタッフ自ら丁寧に料理をサーブされるのは好感が持てる。今回は6000円のお任せコース。

2016-06-25 17.42.09

ビールで乾杯をしてミライコーンの冷製スープと油条。甘甘のスープに油条を落としていただく趣向。

2016-06-25 17.49.43

前菜は螺貝のオイル煮、酢クラゲとトマトのシンルー酒漬け、北海道産水蛸の花山椒和え、丹波地鶏を使ったよだれ鶏は身質がしっとりしてかなり美味しい。愛媛の鯛の刺身で新生姜と青唐辛子を巻き込んだ手まり寿司のようなもの。どれもしっかりと手をかけて作られている。

2016-06-25 18.05.50

徳島の鮎の春巻は鮎を3枚に下ろして骨を外して肝を身に塗ってから春巻の皮に包んで揚げたもの。山椒塩でいただくが身がホクホクしてかなり美味しい。中華料理で鮎をいただいたのは初めて。頭もパリパリで香ばしい。廉価の紹興酒をソーダーで割ってこの料理に合わせる。

2016-06-25 18.17.07

点心三種はフカヒレ餃子、アオリイカの焼売の山葵添え、蝦とホタテの蒸し餃子のキャビア添え。手作り感もあって普通に美味しい。仕事はかなり美しい。

2016-06-25 18.29.37

選べるメインディッシュは鯛と金針菜(ユリの蕾)と黄ニラの炒め物。鯛の火入れが完璧でふわふわしてかなり美味しい。出来ればアコウなどの天然魚で味わいたかった。

2016-06-25 18.44.10

奥丹波地鶏のパリパリ焼きとバナナを餌にして育てたという恵比須もち豚の叉焼。クリスピーチキンの肉質もしっかりしてとても良く火入れもバッチリ。 ロースト料理の技術はかなり秀でておられると思う。

2016-06-25 19.00.58

〆の料理は選ぶことが出来るので名物の麻婆豆腐を所望する。土鍋でグツグツと音をたてて煮えたぎりながら白いご飯と一緒に提供される。

こちらの麻婆豆腐は麻が強烈に効いている四川のタイプ。鼻につんと来るホアジャオ(花山椒)が個性的。オイルやとろみは少なくドライカレーのような感じ。豆腐は木綿を使用し、ひき肉は粗め。

予想以上に辛くてホアジャオと辣が強烈に舌を刺激する。辛さで旨みが判らない。。普段のようにご飯もあまり進まない・・・

2016-06-25 19.01.01

自家製麻辣油はホアジャオに辣油をミックスしたものだと思うが試しにこれを麻婆豆腐に足すと食べることが出来なくなった・・・

麻婆豆腐全体の塩分も高く他のものの味が判らなくなるくらい辛かったのでここで食事は終了。以前訪問したことのある四川ではこういった料理が普通だったが食文化の異なりもありあまり好みではなかった気がする。しかし最近はこのような四川風の麻婆豆腐を提供する店が増、辛さがどんどんエスカレートしているのは時代の流れであろうか。

2016-06-25 19.16.59

デセールは手作りの杏仁豆腐の沖縄産黒糖のソースと濃厚なマンゴープリンだったけど味が判らなかった・・・

大阪市中央区心斎橋筋1-4-14
06-6252-6022

中華旬彩サワダ中華料理 / 心斎橋駅長堀橋駅四ツ橋駅

夜総合点★★★☆☆ 3.0


カテゴリー 心斎橋/四ツ橋, 中華料理 |

うなぎ おかやま

中国人観光客でごった返す黒門市場の雑踏を抜けて北側入り口の路地にある鰻屋。ずっと前は千日前筋沿いで営業されており冬場にいただく味噌煮込みうどんがかなり美味しかった記憶がある。カウンタ−席と奥にテーブル席がある。若いご夫婦2人で切り盛り。

以下メニュー

■うな重 小  (すまし付) ¥1,870(税込)
■うな重 中   (肝吸付) ¥2,500(税込)
■うな重 大  (肝吸付) ¥3,100(税込)
■うな重 特  (肝吸付) ¥4,600(税込)
■うな玉重    (吸物付) ¥2,250(税込)
■ひつまむし 一人前 ¥3,300(税込)
■ひつまむしペア 二人前 ¥5,400(税込)
■うなぎ茶漬け ¥1,650(税込)

鰻の原価が高騰しているとはいえかなり強気の値付け・・・この日はうな重大3100円を所望する。

2016-06-24 12.22.36

炭火を使用し注文があってから焼き始める。関西風の地焼きでかなり香ばしく焼き上げられている。鰻は国産で小さめだけど約1匹で旨みは充分。中国産のふわふわした水臭いものとはレベルが異なる。鰻は大きければいいというものではなく個体差で大きく味が異なる。少し泥が抜けていなかったのが残念。
タレは醤油が立ったあっさり切れのある関東系の味加減。食感も軽いのであっという間に食べてしまう。しっかり焼き込まれているが尻尾の部分がこげこげなのが気になる。

次回はひつまむし食べます。

大阪市中央区日本橋1-16-20
06-6636-1367
定休日:日曜日・祝祭日・第一月曜日
午前11時30から午後5時30分まで


カテゴリー 日本橋, |