長居にある表記の肉料理店を友人と訪問。大阪メトロ長居駅2番出口から徒歩3分、JR長居駅から北へ徒歩1分の長居パークホテルの1階にお店は位置する。日本の熟成肉(ドライエイジング)のパイオニアと言われる荒井勢津子オーナーが営むお気に入りのお店で30年前から通っている。2年前に内装を大改装されてさらにおしゃれで格好のいい店となる。
「あまから手帳」を始めさまざまなメディアにも取り上げられることも多く、全国から芸能人を始め、スポーツ選手、フレンチやイタリアンのシェフなど著名な方々が常連客として訪問する大阪を代表する有名店。予約が取りにくいのが玉に瑕なのでランチタイムに来られる方も多いと聞き及ぶ。
重く大きな扉を開けて高い天井の店内に入るとすぐに巨大な熟成庫が壁の中に埋め込まれていて、その中には赤色や茶色の骨付きのさまざまな部位と種類の塊肉が納められている。この日は大きな赤い椅子のある個室でお任せのコースを出していただく。業態は焼き肉店なんだけど、ほとんどのお客はステーキのコースを注文するらしい。
まず最初にこの日提供いただく牛肉のプレゼンテーション。
熟成させた岩手産の黒毛和牛のサーロインと外ヒラと呼ばれるモモ部分、熟成しないランプ肉の3種を食べ比べさせていただくという趣向。いつもこのプレゼンテーションだけで感動する。
熟成肉は ただ冷蔵庫に放置させているわけでなく肉のアミノ酸が何倍にも増える一定条件をしっかりと研究し、温度と湿度の調整、風を加える事で余計な水分を飛ばし、タンパク質やミネラルを凝縮させることでより美味しくなるタイミングを見計らって食べごろで提供される。
コースの始まりはガラスの器に盛り込まれた熟成肉を使ったユッケ。もちろん法律に則ったもの。岩塩がかかっていて肉の旨味と甘みがより感じるようになっている。
七輪の中に高知産の備長炭が入り、こんもりと盛り上がった網の上に3種類の熟成肉が置かれる。この日はオーナーが自ら焼いていただく。このお方が焼くと2割増しで美味しくなるとよく言われている。荒井オーナーのウイットに富んだ会話もこちらのお店の調味料の一つらしい。
最初に片面3分焼いてから裏返して2分。火からおろしアルミ箔で包んで5分間、肉を休ませる。この作業を約40分かけて3回繰り返し出来上がり。目の前で時間と手間をかけて少しずつ焼き上げるライブ感とシズル感がなんとも言えない。七輪から出る煙は全て吸気口から吸い込まれるようになっている。
続いてはこちらのお店で初めていただく春巻き。熱々の春巻きの中にはプリプリの海老と熟成肉が入る。スイートチリソースをつけていただくのも流石なり。肉の焼き上がりを見ながら美味しくいただく。
続いては肉料理の盛り合わせ。。皮目をカリカリに炙った豚バラ肉は中がとてもジューシーでかなり美味しい。小さなバンズに挟んでいただく巨大な熟成肉のヒレカツ、熟成肉で作るトロタク、塩漬けした熟成生肉とカラスミ、センマイ刺身など。。どれも上質でこだわりのあるものばかり。。
途中で安くて美味しいイタリアのワインを勧めていただく。ワインの品揃えも界隈の焼肉店のレベルをはるかに超えている。好みと予算を言えばドンピシャを出していただける。
焼けた熟成肉は調理場でカットされ綺麗に盛り付けされて再登場。表面は炭火ならではのカリッとした食感で肉汁感たっぷりのロゼピンクの断面も芸術的に美しい。非熟成のランプ肉は最後に藁で燻され燻煙をつけて供される。
最後はスパイスの効いた熟成肉のエキスが入った一口カレーをいただく。梅茶漬けの選択肢もあるとのこと。
デザートも好きなものから選べるようになっていて、私はオーナーが研究をやり尽くして提供されているかき氷を所望する。当然、蜜や餡は自家製で器もかなりのこだわりがある。
スタッフさんの教育も行き届いており接遇も目を見張るものがある。焼肉店と思えば高級だけどそれに見合った価値のある時間を過ごすことができる一流店です。
過去の又三郎はこちら
大阪市住吉区長居2-13-13
営業時間:11:30~14:00
17:30~23:00
定休日:日曜日・木曜日