カテゴリー:フレンチ

ビストロエピス 6月【大阪市 姫松】

自宅近くにある表記のフレンチビストロで遅掛けに1人で食事。南港通り沿いの地下にある小さな12席だけのお店だけど、手頃なコースメニューからアラカルトまで幅広く、お店はカジュアルで使いやすい事と突き抜けた料理の美味しさで、私が最も大好きなフレンチレストランの一つ。

この日は閉店まで時間があまりなかったのでお任せでアラカルトを組み合わせして頂く。

生ビールとともに最初に出てきたのはトマトのテリーヌ。トマトを湯剥きせずに包丁で削いで塩をして脱水。それを茄子の皮部分で巻き込んで冷やしたもの。トマトで作った透明のゼリーとトマトの果肉とバジルを合わせたムース状のものをソースとして使いながら頂く。凝縮された味わいの茄子とトマトの美味しさはともかく、トマトの果肉の部分の味と皮部分との食感の異なりやトマトゼリーの繊細な味わいにビックリ。この一皿でシェフの実力が判る初夏の冷菜。

「北海道釧路の仙法師産牡蠣があるけどいかがですか」と聞かれたので喜んで所望する。こちらの牡蠣は水温が低い為に年中出荷される。現在は流通がいい為に鮮度のいいものが大阪でも手に入る。エシャロットと生クリームと酢、白ワイン、オリーブオイル?、レモン果汁?を合わせたエッジの効いたソースで頂く。強い酸味を生クリームで甘さを補い、エシャロットの風味もプリプリの牡蠣によく合う。こちらのお店の牡蠣料理はオランディーズのソースを使ったグラタンを頂いた事があるけど冷菜では始めて。セレクトいただいた白ワインと一緒にいただく。美味し過ぎて気を失いかけてしまう。。

お店はシェフとフランス人のセカンドの2人で運営。敬愛する奥野シェフは単身フランスでフレンチの基礎を学び、帰国後にサウスタワーホテル(現スイスホテル大阪)のレストランラツールで活躍されその後こちらのお店を開業。現在の流行のフレンチとは一線を画したガストロミックな料理献立と塩とビネガーをしっかり使用した、腰の据わった味わい深いソースが特徴。スチームコンベクションを使った料理が界隈で多い中、フライパンだけで仕上げる絶妙の火入れも素晴しい。

続いては新鮮なツブ貝のブルゴーニュ風が提供される。。今が旬のツブ貝をニンニクがたっぷり入ったソースでソテーしたものだけどエスカルゴよりもコリコリした食感と部位によって異なる味、喉を通ったあとに鼻に抜ける貝の風味に悶絶する。・・・甘い貝のエキスが染み出たニンニクバターソースをバケットに浸けて頂くとワインがすすみまくる。

当初は羊のローストをお願いしていたけどシェフが献立の変更を提案。いいフォアグラが入ったので鴨肉と一緒にいかがですかという事だったので所望する。鶏インフルエンザ等の影響でフォワグラの入荷が難しいのは周知の事実。シャラン産の鴨肉を最初に燻煙してからじっくりと低温で火入れする。ロゼ色に焼き上げられた鴨の身はしっとりとしたビロードのような舌触りで歯を立てると肉の芯から濃い旨味が舌の上に「じわー」と広がる。ワインはサンテミリオンのグランクリュクラッセをグラスで提供いただく。高価なワインなので恐縮する。

カシスの入ったシェフお得意の甘めの赤ワインのソースとフォワグラ、鴨肉の旨味と風味が相まって記憶に刷り込まれる界隈町場のフレンチでは味わえない一皿となっている。一見どこにでもあるような料理かも知れないけどそれがどこよりも美味しいというのがこちらのお店の特徴。
夜のコースは4000円と6000円、10000円でどれを頂いてもボリュームたっぷりのハイコスパです

お店が小さいので予約は必須。貸し切りも対応いただけます。。

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大阪市住吉区帝塚山東1-3-36
06-6675-0211
定休日:火曜日の夜と水曜日

大阪市 姫松 フレンチ

びすとろぽたじえ 3月【大阪市 玉出】

地下鉄玉出駅徒歩3分にあるお気に入りの表記のビストロが1周年を迎えたということで祝意を伝えに訪問する。こちらのお店の肥田グランシェフは高校を出てから辻調理師学校一筋で創設者の辻静雄氏の片腕としてフレンチ部門を作り上げた方。料理はヌーベルキュージーヌを代表するポキューズやシャペルが作っていたリオンの代表的なレシピを中心としたもの。

普段はプリフィクスになったコースメニュー6000円がお得でお薦めなんだけどこの日は周年の記念メニュー5,800円のみとのことなのでそれを所望する。

カウンタ−で当年67才となる年季の入りまくったシェフの手さばきを見るのがいつも楽しみ。最初の座付きは豚肉のリエットと帝塚山ポアール謹製のパリジャン。これはいくらでもお替わりが出来る。

最初のコーンスープはさらりとした味わいだけど後口がとてもいい。

前菜盛りあわせはいつもの定番メニュー。名物の低温調理された自家製ハムは無塩バターを載せていただく。口に入れるとハーブの香りとネットリとした舌触りとともに豚肉の旨味が口の中に広がる。人参のラペはフレンチドレッシングにオレンジジュースを合わせたものとの説明。根セロリのサラダは王道の美味しさ。

上品な食味の田舎風パテはピクルスと一緒にいただく。リオンの古典的な料理のマリネしたサーモンの上にトマトのソルベをソース代わりに載せたものは食材の温度差が楽しい。シャルドネと一緒にいただくとフランス旅行の気分。

平目のスフレは平目と帆立貝をミキサーにかけてつなぎを入れて青寄せを加えてはんぺん状にしたもの。それを別の平目の身と合わせて蒸し上げて天火で焼いたもの。ソースはバターをたっぷり使ったアメリケーヌでパンチとボリュームのあるクラッシックな味わい。

鶏モモ肉の煮込みは春の定番のモリーユの香りがしっかりするクリームソース。和食ではほとんど使わないアミガサ茸。最近は北海道でもフレッシュのものが穫れると聞いたことがある。これは当然ピノノワールがあう。

モリーユはイタリアンのクリームパスタでもたまに頂く。これが入るだけで肉料理の味が引き立つような気がする。

この日は乾燥モリーユとフレッシュのものを合わせて使用していると言っておられた。見た目は悪いけど100gで2万円くらいするものもあるというトリュフより高価な食材と聞いたことがある。

美人パティシエが作るデセールはフランボワーズと伊予柑のソルベ、コーヒー風味のブランマンジェ、チョコテリーヌにグレープフルーツピールを載せたもの、グレープフルーツのカモミール漬、プディングいちごのタルト、パンプディングの豪華盛り合わせ。

お腹いっぱいではち切れそうになって帰りました。。

過去のぽたじえはこちら
大阪市西成区玉出中2-13-31
06-6651-9568

大阪市 玉出 フレンチ

リーガロイヤルホテル試食会【大阪市 淀屋橋】 【大阪市 肥後橋】

4月に表記のホテルで行なわれる600人規模のパーティーの食事の試食検討会にお招きいただき相伴させていただく。大阪市内のホテルで頂くパーティー料理のなかでもこちらのものはどの高級ホテルよりもワンランク以上秀でていると個人的には評価している。

今回は献立が2つのパターンがあり料金はともに8000円でこちらのホテルの着席フルサービスでは最安値のものと思われる。前菜・スープ・魚料理・肉料理・デセールのフルコースを2種類食べ分けるという珍しい会食となる。

総料理長の太田昌利氏が料理の説明をされたあとで早速試食を行なう。

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アントレはオマール海老のクレームスフレの下に紅ズワイ蟹のジュレを敷いたもの。キャビアとレッドオニオンが添えられる。よく頂くものはオマール海老とホタテをあわせてふんわりと焼き上げたものだけどこれはムース状に処理されていてこれはこれで海老の味がしっかりとして個人的には大好きな味。

もう一方は低温調理をしたノルウエーサーモンの下にビネガーを効かせた野菜を敷いたもの。サーモンの上にはイクラとタピオカが添えられる。サーモンの塩分が立っていて皿全体がきりっとした味わい。

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スープはクリームスープが2種類。黄色い方が南瓜のクリームスープ。濃い方が7種類の野菜が入ったガルビュール。ガルビュールはフランスの田舎風スープで鴨肉が入ったものを現地で何度か頂いたことがあったが全く異なる味わい。宴会料理で廉価なものだとこんなものかと納得。添えられるパンは変わらぬおいしさでいつも食べ過ぎてしまう。

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ポアゾンは真鯛の蒸気蒸しに酸味を効かせた野菜と柚子風味のソース。和のエッセンスが入ってはいるが酢の使い方は完全にフレンチでしっかりとエッジの立った味になっている。廉価な白ワインと一緒にいただくと味わいの変化があって面白い。

もう一皿はトウモロコシの粉で作るポレンタを敷いた上に皮目をしっかりと焼き込んだ甘鯛のポワレを盛りつけたものをチョリソーのソースで頂くといったもの。チョリソーのトマトソースはイタリアンでよく頂くが黄色のものは初めて。ポレンタもそうであるがフレンチにイタリアン食材を合わせる献立は最近よく見受けられる。

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ヴィヤンドはローストビーフにマデラソースをかけたリーガロイヤルホテルの看板商品とうすい豆・白インゲン・かぼちゃのピュレの上に載せた牛肉のグリエに牛蒡のソースを合わせた和のテイストの2種類。肉は双方ともオーストラリア産だけど柔らかくしっとりと仕上げられているのはさすがとしか言いようがない。調理技術のレベルの高さにビックリ。。

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デセールも大満足。ナッツ風味のチョコケーキにカシスとパッションフルーツのソースをかけたものとフロマージュ・ブラン(チーズケーキ)と蜂蜜のマリアージュに柑橘系のジュレをあわせたもの。ビジュアルも美しくこちらのホテルの矜持を見せつけられた気がした。

こちらの料飲部門はどちらも廉価な商品でも客に一定の満足感をきちんと提供される。これがまさに本物のプロフェッショナルの仕事で飲食店経営者としては見習うところが多い・・・・いい勉強になりました。。

大阪市 淀屋橋大阪市 肥後橋 フレンチ