2017年07月

びすとろぽたじえ 7月【大阪市 玉出】

パリの繊維商社に勤めておられたフランス人の友人と仕事の打ち合わせを兼ねて地下鉄四ツ橋線玉出駅東100mにある表記の店を訪問する。いつものようにカウンタ−でプリフィックスコース6000円を所望する。こちらのお店の肥田グランシェフは高校を出てから辻調理師学校一筋で創設者の辻静雄氏の片腕としてフレンチ部門を作り上げた方。

若かりし頃の肥田シェフがポキューズと一緒に写る写真が店内にたくさん飾られる。料理は当然の事ながらヌーベルキュージーヌを代表するポールポキューズやアランシャペルが作る当時のリオンのレストランのオーセンティックなレシピを中心としたもの。

まずは生ビールで乾杯をしていつものように食事の扉は豚肉の青胡椒の入った豚肉のリエットとポワールのバケット。続いて旬のとうもろこしを焼いて冷製スープにしたものは甘さに香ばしさが加わり何とも言えない上質な仕上がり。

前菜盛り合わせは根セロリのサラダ、フレンチドレッシングにオレンジジュースを合わせた人参のラペ、無塩バターが添えられた低温調理の自家製ハム(煮豚)はハーブの香りとしっとりとした絹のような仕上がり。さっぱりした仕上がりの田舎風パテは安定の美味しさ。サーモンマリネは滑らかで冷たいトマトのソルベをソース代わりにしていただく。ラタトゥーユもワンランク上の美味しさ。

アラカルトで注文したこのお店のスペシャリティのフォワグラのテリーヌは最後の在庫と言っておられた。専用壷で蒸し焼きにしたものをスプーンでこそぎ取って盛りつける。濃厚でネットリとした舌触りと独特の旨味とコク、甘味が口一杯に広がる。ドライ無花果を炊き込んだものとシェフがチョイスしてくれたアロマの強いゲヴュルツトラミネールでマリアージュを楽しむ。最近は鶏インフルのせいで上質のフォワグラが入荷しにくいとのこと。今回の材料はフォワ・グラ・ド・カナール(鴨)で世間でよくあるガチョウではない。

魚料理は初めて頂くイカめしのトマトソース。どこにでもあるようなプロバンスなソースなんだけど酸味と塩分のエッジが立って際立った美味しさにビックリ。炭水化物たっぷりなのでお腹にずっしりと来る。この料理はシャルドネで頂く。

友人は鱈と帆立貝で作ったムースを焼き込んだものにアメリケーヌソースを添えたもの。スフレ状のすり身に海老の香りとコクが濃厚に抽出されたソースの取り合わせは伝統的なリヨンの仕事で雑味や癖は全くないピュアな味わい。

トロトロに煮込まれた豚バラ肉の黒ビール煮込みは見た目よりはあっさりしている。飴色に炒められた玉ねぎで作った甘いオーセンティックなソースがビックリする美味しさ。肉に敷かれた口直しのマッシュポテトのバランスも良くて大リーガー級の豪速球料理にビックリ。豚肉なのでピノノワールと一緒にいただく。

友人のチョイスは私も以前頂いた鹿肉と和牛のソテーでソースは鹿の骨と肉と筋を炒めてマリネした野菜とともに出汁を取って赤ワインとワインビネガーを煮詰めたものを黒胡椒とブルーベリーのジャムを加えて調整したというもの。いろいろなところで色々な赤ワインソースをいただくけどこれほど濃厚で卓越した個性のある美味しいソースは始めてである。このソースはパンとローヌかシャトーヌフデパフの田舎臭いワインだけで楽しめそうな感じ。岡山で獲れた子鹿のロースも柔らかくて当然の事ながらソースとの相性もいい。

この日はお客さんも少なめだったので目の前で次の日に使うソーセージの仕込み。国産豚の塊をカットしてミンチにして撹拌。水の分量が難しくて肉の脂とうまく乳化させるのにテクニックが必要との事。粘りを見ながらそれを豚の腸に詰める。

空気が入らないように慎重に且つ手早さが求められる。腸詰めにされたものを70℃で30分加熱する。冷水で急に冷ます事でプリプリに仕上がるとのこと。ずっと物欲しそうに見ていたので自家製ベーコンとともに試食させて頂く(感謝・・・)

フロマージュはハードはオールドアムステルダムの30ヶ月熟成、白カビはカマンベールノルマンディ、ウォッシュはポンレック、ブルーはブルードヴェルニュ。ワインはポルトガルのデザートワインのアランブレ。美しい琥珀色で熟成感もあってチーズとの相性はとてもいい。ポルトガルの港の風景が目に浮かぶような取り合わせ。好みでグラッパやブランデーも用意されています。

大好きな美人パティシエが作るデセールもこの店のウリで私はこの時点でお腹いっぱいでギブアップ。フランボワーズと黒酸塊のソルベ、真っ白なコーヒー風味のブランマンジェ、チョコテリーヌにグレープフルーツピールを載せたもの、グレープフルーツのカモミール漬2種、プディングとベリーのタルト、パンプディングなどを好きなものを好きなだけ選ぶ事が出来る。。

カジュアルだけど本物のヌーベルキュージーヌをしっかりと食べることが出来る稀なお店で何を頂いても満足出来ます。お薦めは肥田シェフと話が出来るカウンタ−席。

*食事の後で訪問した北畠のバーでまたもや「ぺろぺろ店主さんですか?」と美しい女性にお声をかけて頂く。。「一度会いたかったんです〜」と言われいい気になって少しだけ会話をさせて頂く。。。ホント有り難い事です・・・。

過去のびすとろぽたじえはこちら

大阪市西成区玉出中2-13-31
06-6651-9568

大阪市 玉出 フレンチ

s.201【大阪市 昭和町】

昭和町にある表記の点心の店をランチタイムに訪問する。普段は夜にウイスキーを飲みながら小腹がすいたら点心注文というバー使いで利用するんだけどこちらの点心が美味し過ぎて晩ご飯を食べたあとなのに更に食べまくってしまうのが常で困る。

場所は地下鉄昭和町駅4番出口から徒歩1分のミスタードーナツの入るピンクの築50年のおんぼろビルの2階。店名は昭南ビル201号室の意味。同じビルには個性的な店がたくさん入る。

かなり穴場の店なんだけど昼時は女性客で大賑わい。福臨門出身のサービス担当オーナーと料理長の2人で切り盛り。昼時はオーナーの奥さんもお手伝い。

昼のコースは1500円と福臨門のシグニチャーメニューの餃子スープのついた2000円のコースの2種類。この日は1500円のコースに好物のハチノスのスパイス煮込みをアラカルトでつけて頂く。

最初に出て来るスープは香港や銀座の福臨門とほぼ同じものが味わえる。私は香港に行くときは九龍の店か香港島の店に必ず行くようにしている福臨門マニアでそちらで頂く1人前2000円の餃子の入ったスープと自家製の透明感のある味わいのピータンは他に類のないものである。

金華ハムやいろいろな食材をじっくりと蒸し煮にしてつくる上湯は塩分控えめの澄んだ味わいながら驚くほどのコクがある。中華料理でシンプルを極めるとピュアになるという言葉があるがまさにこのスープにぴったりである。小さなワンタンとユリの花の芽の金針菜や茸が添えられる。

最初に皮の薄めの小籠包と生姜の入った鶏肉餃子は生姜の入った紅酢と辛味のある醤を薬味としていただく。海老餃子は期待通りプリプリで野菜餃子はセロリや白菜、椎茸などたくさんの野菜がぎっしりと入る。プロッコリーに貼付けられた海老とイカのすり身の卵白和えも絶品の美味しさ。このあと揚げワンタン、中華ハムと干海老がよく効いたプルプルの大根餅も上質。最後はモチモチの水餃子で〆。すべての料理が一品ずつ丁寧に熱々の出来立てを提供して頂けるのも嬉しい。

食後は近くのガロート珈琲がおすすめです。
過去のS.201はこちら

大阪市阿倍野区阪南町1-50-28 昭南ビル2F
050-5785-0719
ランチ11:30~14:30 / ディナー18:00~24:00
水曜日定休

大阪市 昭和町 中華料理

ゼルコバ食堂 7月【大阪府 堺市】

堺市の「けやき通り」沿いにある表記のカフェを訪問。スタイリッシュでフィトジェニックなランチやスイーツが特徴でお店のインスタグラムでは驚くほどの投稿数が見られる。現在フォロワーが1829人。

最近は平日でも入れないときが多くて予約が必須となっている。この日は1人で開店直後を目指して入店。

小さな看板しかかないのでかなり判りにくいファザード。小さな店なんだけど店内含めてバリアフリーになっているのには敬服する。

店内は窓際のカウンター5席と二人がけのテーブル席が4つ。コンクリートむき出しの内装はかなりかっこいい。オーガニックな食材を仕入れてそれをランチやドリンク、スイーツにして販売。当然の事ながら客は女性客ばかりでおっさんは私だけ。クールな感じの若いイケメン店主のセンスが光りまくる。

ワンプレートの日替わりランチ1080円を所望。ランチはこれのみ。

作家物のワンプレートに入ったカラーコンシャスなプレートにはメインはテリヤキチキンおろしポン酢。茄子の揚げ浸し、人参のラペ、トマトと生姜のおかか和え、紫キャベツのピクルス、グリーンサラダと黒米ご飯。女子受けかつインスタ受けしそうなビジュアル。

どれもがヘルシーで手間のかかった仕事が垣間見える。味付けも繊細でスパイスをうまく使用されている。

カフェメニューは奈良県産の和紅茶や自家製ジンジャーエール、ジンジャーブレッドや抹茶のチーズケーキ、半熟ガトーショコラなど。

ちなみにゼルコバ(Zelkova)はケヤキの意味。50数年前に植栽されたケヤキがこの時期緑のトンネルを作っているのでドライブにも良さそうです。。

堺市堺区向陵西町1-3-22
0722-75-9290
11:00~19:00
日曜祝日休み

大阪府 堺市 カフェ