唐菜房 大元【大阪市 西天満】

友人と西天満にある表記の店で昼ご飯を食べながら最近行かれた海外旅行の話を聞く。恰幅のいいご主人は知る人ぞ知る辻調にて約20年教鞭を取られていた中華料理会の重鎮。一階はカウンタ−席とテーブル。2階はテーブル席のみ。

ランチメニューは
焼味飯(焼豚ご飯) 1250円
海南鶏飯 1050円
香烤鶏飯(ローストチキンライス) 1200円
四川担々麺 900円
葱油湯麺(葱そば)850円
豆芽湯麺(もやしそば)750円

ここから海南鶏飯 1050円と四川担々麺 900円と豆芽湯麺750円を所望してシェアしていただく。

海南鶏飯はいわゆるタイ料理のカオマンガイ。低温調理されてしっかり冷やされた鶏肉はしっとりとしたロゼ色に艶かしく光り、一瞥しただけで技術の高さが伺える。ジャスミンライスも70℃に保たれたコンベクションで作られ何度もチキンスープを追い出汁して品よく仕上げられる。

厚目にカットされた鶏肉はしっかりとした歯ごたえで引き締まっていてとてもいい食感。タレは中華醤油と生姜の入ったものの2種類。テーブルにはチリソースも添えられる。しっかり味の染み込んだプルプルの皮部分もこの料理の醍醐味。

ご飯を少し残してスープに入れて掻き込むのが大好き。

もやしそばはしっかりめに湯がかれた細麺に脂分をしっかり感じる鶏系の特徴のあるスープ、炒められたもやしが乗せられたシンプルなもの。黒胡椒がアクセント。説明が難しいけどアジアのホテルの朝食で頂くような味。

担々麺はオレンジ色のスープに青菜と肉味噌がトッピングされる。特別辛くはないけど白胡麻と香草がアクセントになる。まったりコクがあるけど素材構成は判らない・・・スープが喉を通ったあとから青臭い風味が鼻に抜ける。陳健民のオリジナルバージョンを踏襲しているとの事。

食後は裁判所前の近くの「ELK KAFFE(エルクコーヒー)」で小休止。お薦めの北海道の焙煎所のシナール マンデリン800円をいただく。ネルドリップで時間をかけて注いで頂いたものはかなり深入りで濃くて柔らかな苦みがあるもの。とてもぬるくて推定70℃くらいか。雑味はなくてチョコのような香りも悪くない。とても勉強になりました・・・

大阪市北区西天満4-5-4
06-6361-8882
11:30〜14:00LO、18:00〜22:00LO
日曜、祝日休み

大阪市 西天満 中華料理

月泉 5月【大阪市 北浜】 【大阪市 西天満】

最近つとに予約が取れないと言われる表記の店で会食。場所は北浜駅1番出口上がってライオン橋(難波橋)を北に渡ってすぐの場所に位置する。白い壁が特徴の瀟洒な佇まい。店内も白を基調とした内装で、明の時代のものと以前聞いたクラシカルなローボードをはじめとするインテリアや趣味のいいシャンデリアがいい空気感を醸し出している。カウンター席6席、テーブル席12席のこじんまりしたお店。以前はカウンタ−でいただいたが今回はテーブル席を希望する。

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一口ビールをいただいて最初は前菜の小皿登場。まず真ん中は特製蒸し鶏の四川風。いわゆる「よだれ鶏」と呼ばれるもの。蒸し鶏の上に載るソースはコクのある醤油、黒酢、香味野菜、数種類の唐辛子等が入りかなり複雑な味で香菜も柔らかで品のある香り。多分国産のものであろう。鶏肉の火入れも完璧。真空低温調理であろう。

水ダコと茗荷の花山椒とネギのソースはこちらのお店の定番もの。クラゲの酢の物も下味がしっかりついて口によく合う。お酒や様々な調味料で下味をつけ真空低温調理で仕上げた(と思う)ガチョウのフォアグラは感動的な柔らかさと味のふくよかさで飴炊きナッツが添えられてる。軽く薫製にしてジャスミン茶で蒸し焼きにした鰆もパンチのある味でホロホロの柔らかさ。焼肉(ショウヨ)といわれる豚三枚肉のプリスピー焼きは無花果を合わせる。肉は柔らかで皮はパリパリして紹興酒といい相性。

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大根餅には貝柱も入っていて一口齧り付くと旨み全開。辛子が練り込まれてあってピリっとした辛さも感じられる。上に載るソースは酸味があって合わせていただくとかなり複雑なお味。

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空芯菜の炒めは下処理もしっかりされていて嫌な癖や繊維が残ったりすることもない。ニンニクは入っておらず出汁の旨みがかなり秀でている。鶏でとった上湯だと思うが脂の溶けた旨みと香気がとてもいい。メイラード反応の香りも香ばしい。鰹は使っていないとがよく似た香気のある金華ハム(と思う)のアミノ酸の旨みも感じる。酸化した油の香りも混ざってあっさりとしながらも複雑な味を醸し出す。

8年ものの瓶詰めから甕出しの紹興酒にチェンジしてこの日特別にお願いした活オマールのチリソースをいただく。

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こちらのご主人が修行されていた空心のチリソースもこんな感じだった気がする。濃厚で旨みがたっぷりで香ばしくて何ともいえないご飯か花巻パンが欲しくなるテイスト。オマール海老の火入れも完璧でプリプリのシコシコで食べ応え満点。海老中毒の私は大満足。

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ワインはイタリアのマシエリ2014。さっぱりして爽やかで軽やかでグイグイ飲めるミネラルなタイプ。

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こちらのお店のスペシャリティーの黒酢の酢豚。ソースがエロチックに黒光りしていてみるだけで美味しそう。ブロック状のバラの三枚肉をトロトロに柔らかく調理してからカリッとサクサククリスピーに揚げられて、濃厚だけど角の取れたバランスのいい酸味の黒酢がしっかりとかけられる。付け合わせの低温長時間蒸し玉ねぎも甘くて美味しい。

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名物の四川式麻婆豆腐は髪の毛が逆立つ辛さが後から追いかけてくる。香りの強いラー油としっかり痺れる花山椒が効いていて(けっこう好み)、食べ進むと干し貝柱の旨みも感じるのと麻と拉のバランスがとてもいいことに気づく。

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〆のチャーハンはかなりパラパラ。油っぽくないのが不思議。インディカ米を使っているが独特の嫌な香りは全くない。ご主人の奥さんとその妹さんがかなり美しい。お二人の息のあった接遇とホスピタリティーにうっとりしてしまう。

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更に汁そばを所望。超細麺と塩分高めだけどあっさりと仕上げたスープは〆にぴったり。香菜がとてもいい仕事をする。

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デセールは胡麻団子か杏仁豆腐。杏仁豆腐の上に甘夏の果汁がかかる。さっぱりしてお腹すっきりごちそうさまでした。帰りはきちんとお見送り。お見事でした。

大阪市北区西天満1-6-4
06-6366-0055
17:30~21:30LO
日曜休み

月泉中華料理 / なにわ橋駅北浜駅南森町駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 北浜大阪市 西天満 中華料理

月泉【大阪市 西天満】

周りの友人の皆が絶賛する西天満に最近出来た新進の中華料理店を訪問。北浜からライオン橋を渡ってすぐのユニッソン デ クールのすぐそばに位置する。白い壁が特徴的でクラッシックな内装や調度品はカジュアルだけど落ち着いた上質感を持つ。シェフの手元が見えるカウンタ−7席とテーブル12席で構成。店の真ん中には骨董の中国のローボードキャビネットと趣味のいいシャンデリア。

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お任せでコース仕立てで提供いただく。最初はビールで乾杯してセラーからシャルドネのしっかりと樽香の効いた濃いものをシェフ自らセレクトしていただく。ワインの値付けもかなり良心的。

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ビールとともに前菜6種が銘々皿で提供される。どれもが界隈にある中華料理の前菜とは全く異なり一線を画す食指が伸びるものばかり。これが並んだ瞬間に心を掴まれる。

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よだれ鶏(中国では「口水鶏」)15種以上の食材で作ったソースがかかりこれが骨付き蒸し鶏と最高の相性を見せる。 沖縄産の香菜も柔らかくてクセがなくてとても美味しい。東南アジアで頂くものとは全く異なるもの。

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水ダコと茗荷の花山椒とネギのソース。これも驚きの美味しさ。。。これに近いものは空心で頂いたことがあるがそれ以外では全くない。

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徳島産つぶ貝 ピーナツオイル和えは貝のクセや苦味を殺すため、敢えて苦味あるソースを絡めているとのこと。味わいは言わずもがな。

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口に入れると綺麗に溶ける魔法を使った「フランス産のガチョウのフォアグラ 」 飴炊きナッツ添え。表現する言葉がすべて陳腐に思えるほの感動的な美味しさでワインとドンピシャ。。。この料理は横の客に出していなかったのでそれとなく聞くと「選んでいただいたワインのマリアージュを考えて少し献立を変えている」「自分がそうしてもらったら嬉しいので・・」とのこと。これにはかなり感動した。

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脂がのりまくった鰤をお茶を使って瞬間薫製してぴりっと辛い紹興酒のソースを加えたもの。かなりふくよかな味。添えられたルッコラも柔らかくてとても美味しい。

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ピータンをこんがり焼いたものに静岡産生海苔のソースをかけたものも初めての味わい。すべての前菜が期待を上回るものばかりで前菜を頂いただけでノックダウン状態になる。イタリアンやフレンチの技法も使いながらスチームオーブンなどの最新の機械を駆使し、修行された空心の仕事をベースに食材や香辛料の相性や出会いを考えて今までの中華料理の枠を超えたものばかりである。

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接遇はシェフの奥さんとそのお姉さん。ピンぼけ気味の見習いコックさんも味があっていい。料理はお任せ料理(5000円から)で 好み、食事量、食材を聞いてフレキシブルに組み立てて頂けるとおっしゃっていた。

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次の温菜はカリッと揚げられた蓮根餅。辛子も練り込まれていてぴりっとした味わい。上には駿河湾の桜エビとパクチーの茎の和え物がのる。これも白ワインに合わせて作っていただいたものらしい。美味し過ぎて声もでない状態。。

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台湾産のA菜(油麦菜)と豆苗の熱々のお浸し。豆苗を少し入れることで味に変化がある。

さっと炒め紹興酒とニンニクを効かせたスープに浸す。炒め物ではなく温かいお浸しと言う位置づけと言っておられた。空芯菜よりも柔らかくて香りもよく独特の味わいがある。

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殻付き海老の唐揚げにアヒルの塩卵の卵黄を叩いてトリュフオイルで和えたソースを掛けてから黒胡椒を纏わせたもの。これも特別料理と言っておられた。確かに横の客はエビチリであった。旨みが前に出てオイル感と塩加減も良くてワインとの相性も素晴しいものがあった・・・

ここで甕出しの紹興酒をいただく。常温で細かく刻んだ針生姜を入れていただくのが好みなんだけど忙しい中でもちゃんとリクエストに応えていただいたのは嬉しかった。

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こちらのお店のスペシャリティーの酢豚は巨大なトロトロに煮込まれた豚肉をカリカリ・サクサクに揚げたもので

付け合わせの玉ねぎは低温で2時間焼き込んだんだものと言っていた。シンプルな付け合わせだけどこの酢豚の付け合わせとしたら唯一無二のものである。艶のある褐色のエロチックなソースが特徴的。コクが深くてとても濃く、甘みと少しの酸味が合わさった粘度の高いソースとカリカリトロトロの豚肉と紹興酒のマリアージュは何ものにも代え難い感動があった。

基本がしっかりしているなかでの奇をてらわない創造性は現代版の琳派と錯覚させるものがある。

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ソースがもったいないんで蒸しパン(花巻)をいただいていただく。

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満席状態の中シェフから白子はお好きですかと尋ねられ「Oui」と答えると四川風麻婆豆腐 焼き白子乗せが登場。空心で頂いたことのある食味で香りが立つラー油と花山椒がしっかり効いてピリピリと口が痺れる感がある。 辣油は、辛味よりも香りのほうが強く、
そこに花椒の痺れ。もちろん、白ご飯とともにわず白ごはんを所望して一緒に頂く。

炒飯か麺を薦められたがお腹いっぱいでギブアップ。

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デザートは胡麻団子(手作り黒胡麻の餡)柚子風味の杏仁豆腐。どちらも秀逸なり。

高級すぎずしかしながら上質な中華料理がいただけるこちらの店は私的には最近のスマッシュヒット。毎月訪問したい個性的な店が又できたと喜んで帰る。

大阪市北区西天満1-6-4
06-6366-0055
17:30~21:30LO
日曜休み

月泉中華料理 / なにわ橋駅北浜駅南森町駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5

大阪市 西天満 中華料理