表記の店を社員同伴で視察する。さかい利晶の杜は2015年の3月に堺市が作った千利休と与謝野晶子を知ってもらうためのテーマパークのようなもの。先日新聞でこの施設を作った堺市の経済効果は14億円と書かれていた(誰が計ったのかは不明であるが・・・)総檜で出来た平屋の外観はかなり上質感に満ちあふれる。店内も個室を含め、かなりハイグレードかつ美しい内装とすべての部屋から見える前栽の美しさで大阪府内の和食店ではホテルも含めてナンバーワンのデザインと建築意匠を尽くした店と思う。
平日でも満席状態が続く大繁盛店でこの日も数日前に予約をしてなんとか入店する。この日は割引デーでこちらのお店を代表する懐石「梅の花」4320円が3500円でいただけるとのことでそちらを所望する。
こちらのお店は全国で50店舗近くあり、特筆すべきはそのすべての店舗がコックレスで運営されているという点である。
和食店は昔ながらの職人気質をもった調理師の腕や考えに経営が左右されてしまうのが業界の常識で経営拡大のための阻害要因になる事が少なくない。こちらの会社はすべてパートアルバイトで会席料理を作り提供する仕組みを作り上げた業界のパイオニアである。
客層はほぼ女性のグループ客が中心で平日のせいか高年齢の方が目立つ。
先付け・前菜は引き上げ湯葉と牛乳と葛で作るクリーミーな「嶺岡豆腐」に柚味噌をかけたもの、小松菜のお浸しの3品。
続いてテーブルに備え付けの電磁調理器を使った湯豆腐鍋。豆乳と湯葉の風呂の中に大きな豆腐が入る。(写真は3人分)
取り分けてもらい出汁の入った豆乳にポン酢を少したらすとかなりいい塩梅となりお腹にスルスルとはいる。
お造りは鮪を醤油漬けにしたものにとろろ芋をかけたもの。
私が鮪が苦手と申し上げると湯葉豆腐と生湯葉のお造りに変更していただく。サービス、接遇はかなり訓練されて行き届いている。
」
金華ハムの入った茶碗蒸しにほうれん草の餡がかかったもの。特にどおってことないものであるが卵と出汁の割合と火入れ加減は完璧。
陶器のせいろで蒸された湯葉シュウマイは豆腐と鶏肉で作った餡の周りに刻んだ湯葉をくっつけたもの。商品は自社のセントラルキッチンで作っているらしい。
カボチャの炊いたものに鴨のミンチの入った餡をかけたもの。特にどおってことがないものであるが女性が好む商品。
生麩の田楽は粟麩と蓬麩の2種。それぞれに木の芽味噌と玉味噌がかかる。
こちらのお店の昔からあるスペシャリティで湯葉の天ぷら。中ははんぺんのようなフワフワの魚のすり身。レモンをかけていただく。
植物性タンパク質攻撃なんだけど物足りなさはあまり感じない。
湯葉グラタンは少し物足りない塩梅だけどこれもポン酢をかけていただくと味が変わるとのこと。
餅米を使った雑穀系の蒸しご飯と湯葉の生姜清汁と香の物。有田焼を中心とした食器もかなり美しく洗練された感がある。
デザートは自家製の水ようかん。セントラルキッチンで作ったもの。お持たせ用もある。
豆乳で作ったアイスクリームに黒蜜ときな粉をかけたもの。お茶も何度も新しいものに差し替えていただける。おしぼりも4回くらい替えてくれた。このような食器を使い、落ち着いた綺麗な部屋の設えでこの価格はかなりお得感を感じる。京都の料亭以上の設えとサービスでリーズナブルに健康的な和食が食せるという新たな価値をもたらしたこちらのお店に敬服する。
堺市堺区宿院町西2-1-17
072-225-0506